第22話 猛禽類先輩

「そう」

「まずまずの成果ね」

「失敗がなくて何よりだったわ」


 インフォメーションテクノロジー部の準備室で猛禽類先輩たちにゴールデンウィークの報告をするヒロとテックン。


 カレー愛好会とインフォメーションテクノロジー部を掛け持ちする切れ長の目にストレートボブが涼しげな知的美人の梟子きょうこ先輩。知的なところがフクロウっぽい。


 縦ロールの鷲子しゅうこ先輩とショートヘアの鷹子たかこ先輩はキツめの顔立ちの美人だ。3人とも狙った獲物は逃さない雰囲気をビシバシ放っており、この先輩たちにロックオンされている殿下は大変だなあ、他人事ひとごとでよかったなあと思うヒロだった。


「それで…?」

「それでとは?」

「勉強会を通じて桜子さんとの距離は縮まったのかしら?」


「…私服の桜子は可愛かった。桂子かつらこ様直伝のこうが、ほのかにかおって…サラサラな髪もいいな。課題に対して熱心になるところも可愛いし、課題を達成したときのドヤ顔も可愛いかったな。全体的に完璧だった」


「…ヒロさんに聞いた私がバカだったわ」

「テックン、恋に目がくらんだヒロさんの代わりに教えてくださる?」

「ガッチャ!」


「ヒロさんは本当に失敗していない?」

「ガッチャ!」

「桜子さんとの距離は縮まったかしら?」

「ガッチャ!」

「桜子さんとヒロさんの信頼関係は深まったとみて良いのかしら?」

「ガッチャ!」


「…信じてもよさそうね」


 猛禽類先輩たちは今日も俺に失礼だな…と思うヒロだった。

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