第7話 収 穫

 辺りが明るくなってきた。朝の食事の食材を確保する。アウラ達とルイは魚を調達、ヒロとカルディアは山菜を集める事にする。


「そういえば、カルディア。お前は里を出る時に当座の資金を支給されたんじゃないのか?」すでにヒロの財布の中は空っぽになっていた。ちょっと浪費が過ぎたかと反省している。


「私は……、私の分も含めてあなたに支給されていたはずよ。確か、そう五十万ガン!」カルディアは、何故か焦ったような表情をしてからヒロを指差した。


「いや……、俺が貰った金は……、全部使ってしまった……」ヒロはカルディアから視線を反らした。


「えっ、ええ!!ご、五十万ガンを!!って、里を出てからそんなに経ってないのに!?何に使ったのよ!!」カルディアは驚きのあまりひっくり返りそうになった。


「いや、あの、アウラ達を……、助ける為に……」相変わらず宙を見つめたままであった。


「ふーん……、まあ仕方ないというか、本当にヒロらしいわね」カルディアは呆れ過ぎて逆に笑ってしまったようだ。


「あっ、これ食えるのかな?」ヒロは誤魔化ごまかすように木の根っ子に生えているきのこを指差した。


「それはワライタケ!食べたら幻覚症状が出て死ぬまで笑い続けるわよ」


「じゃあこれは?」


「それはタマゴテングタケ!食べたら強烈な嘔吐と下痢で衰弱死するわよ」


「お前、詳しいな!」言いながら近くに生えている別の茸を手に取ろうとした。


「それは触っては駄目よ!カエンタケ!触るだけで皮膚がただれるわよ!」


「ゲッ!!」


「あなたねぇ……、師匠が教えてくれたでしょ!全然覚えてないのね!!」カルディアは再び呆れた顔をしてヒロを見つめた。「食べれるのは、それとそれとそれ!」彼女は辺りに生えている茸を指差した。


「あっ、ああ」ヒロは言われるままに、カルディアが示した茸を集めた。


 皆が食べれる位の量を確保してそれをポンチョを袋の代わりにして運んだ。


「ちょ、ちょっとあれ……」驚くカルディアの視線の先には大量の魚が積み上げられていた。


「こら!また不要な殺生を……」ここまで言いかけたところで、コイツらならこれくらい食べるのだろうと思い言うのを止めた。カルディアの使い魔であるルイも嬉しそうに魚を捕まえている。まるでアウラ達と親子のように見えた。 

 そういえばルイは雌の狼であった事をヒロは思い出していた。


「もうそれぐらいでいいから、今度は調理するぞ」ヒロは消えかかっていた焚き火の中に、集めておいた木の枝を放り込んだ。


「ああ、もうお腹一杯!これ以上は食べられないダニ!」イオは膨らんだお腹をさすりながらゴロリと寝転んだ。


「本当、それに凄く美味しかった」カルディアも満足したようだった。案の定、あの大量の魚を彼女達はすっかりとたいらげたのだった。

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