第12話 ネメシス戦争と恋の行方

ロリポップ「それじゃあ、出発なの♪」


聡&シェリナ「宜しくね、ロリポップちゃん♪」


 僕等は様々なデザインの水時計や一品物の魔法型ドラゴンメイルと言ったプレシアならではの品々と、移動が必要な場合の風珠をミックスフロートに乗せて、時計回りに出発した。


 この世界の芸術展は、シュクレの女の子が交代制で湖を二周する事で行われる。

 時計回りなのは、この子達と仲の良い主要国のスノードロップが左側に有るからだけれど、展示品を積む一周目と降ろす二周目を各国の国民が岸辺で見れば、東洋怪異は乗せる時に、サラマンダーは降ろす時に全国の展示品を見られる訳だね。


 もしかしたら、ミックスフロートの中央に有る小部屋には、ロリポップちゃんの御付きの人が仮眠という名目の熟睡をしているのかも知れないけれど、サニアちゃんもツリピフェラちゃんもこの船室に全く触れなかった事を考えると、やっぱり仮眠室を含む生活空間なんだろうね。


 セイレーンの国でこれぞ魔法楽器と言った雰囲気のオルゴールやピアノが積まれると、案の定ラフィちゃんの提案でシェリナさんとマリアンナさんによる船上コンサートが開かれた。


 装備品部門にはフェアリーの国の一対の腕用盾や軽量鎧も展示されたけれど、芸術品部門にはサラマンダーの国のランプやタクティカの駒、スノードロップの弦楽器や氷細工も有り、この世界での生活に興味が有る僕にとってはどれも目を引く品々だ。


マリアンナ「それでは、次は気分を変えて、この様な曲は如何でしょうか?」


 その言葉と共に、彼女はファンタジー要素を含む恋愛物のOP《オープニングテーマ》、つまり今の僕等の境遇にぴったりの曲を演奏し始めた。

 きっと、彼女の国には御題に合わせて俳句を詠むのではなく、作曲をするというハイソ《ハイソサイエティー》な遊びが有るのだろうね。


ラフィール「わぁ♪ マリアンナお姉ちゃん、凄いのー!」


シェリナ「たまにはこう言った明るい曲も、皆さん好みで良いですよね♪」


聡「セイレーンの国の音楽は、哀愁の中での恋とかを表現する硬派だからね」


 音階で言うと、僕等の世界が明るい曲調のCEG系統のC寄り(ドミソ起点系統のド寄り)なら、彼女等の音楽は、全体の♭(半音下げるフラット)により繊細側になったBDF系統のB♭(シレファ系統のシ♭)寄りだからね。

 哀愁側の4段御団子とも言えるセブンスの色々有った感も含めて、とても彼女等らしい音階なんだ。


シェリナ「説明を聞く前に分かるなんて、感受性が豊かなのですね♪」


サニア「聡お兄ちゃんですもの。 当然よね♪」


ツリピフェラ「そう言う事なの」



 オリハルコンランスの人達が浮いて移動するこの世界で再現MADをするのなら、僕は迷わず歌詞が冒険から始まるロボの方の勇者のOPを使うけれど、セイレーンを意識した深夜番組である事を考えると、やっぱりB♭辺りを使うのが道理だよね。


 ……環境問題を彷彿とさせる木本を冠した世界系が強キャラをしている事を意識すると伝説の勇者かも知れないし、火属性魔法は狙った場所に発生しているのではなく使用感が回数制の見えない誘導砲撃をしているのかも知れないけれど、恋愛物らしく人物を中心に考えると女性的な作風だし。


 それでも音の性格を考えて僕等の精神性に合わせると、哀愁寄りな夢想感のAm《Aマイナー》が流行りも考えると一番だろうね。

 C移動の場合Emみたいな音の鳴る王道進行ことユーロビートならまだしも、それや西洋意識以外では男性の表現には1番の立つE♭やD♭はあまり使わないからね。



 一時間半の演奏会を終えた僕等が、アスピスで乗り込んだセフィリカさんと共に東洋怪異の人達の説得について考えを纏める頃には、もうあの国の大地が見えていた。

 夜になった頃にやっと岸辺に到着した僕等が、魔力の実を乗せた台の上に観測機が付いた様な興味深い機具や装備品を脇目に姫君を探すと、案の定早めの停泊位置から見て少し奥の最前列で待ってくれていた。

 居たけれど……あの鑓の太いの持ってる。

 話題が話題だから、武装をしていても筋は通るけれど。


聡「蛇姫様、こんばんは。 この国の人達も、異国の文化に興味が有るんですね」


蛇姫「珍しい物見たさも有るとは思うが、そう言う事じゃな。

 小蔭は元気にしておるか?」


小蔭「勿論なの♪ 蛇姫様、御久し振りなの!」


蛇姫「久しいという程離れ離れであった訳では無かろうに。

 全く……律儀なのじゃな」


青龍「御言葉ですが、それも蛇姫様を想えばこそかと」


蛇姫「そう言う事じゃな。

 それでは、役者も揃った事じゃし、始めようぞ」


 その言葉と共に、彼女はあの魔法具の重量版を片手に、最前列から向き直る。

 振る時は中央付近を両手持ちするとは言え、これで杖二本分の魔力とは物凄い貫禄だね。



白虎「皆の者、良く聞け! 蛇姫様の、御前であるぞ」


 彼女の一喝により、場は静まり返った。

 上下関係が希薄な世界観だと思っていたけれど、この国はまるで時代劇だね。


蛇姫「儂等が武装している時点で勘付いている者も居るとは思うが、皆の者に話が有るのじゃ」


 話の流れを察して、彼女の左斜め後ろに移動する、セフィリカさん。


蛇姫「この場を借りて話している訳じゃし、率直に言おう。

 この大地は今、戦に向けて歩みを進めておる。

 じゃが、どこぞが魔法具を過剰生成している疑惑については、案ずるでないぞ。

 その国は、儂等をも巻き込み兼ねない外部からの侵略者に備えておったのじゃ」


 演説が始まったと思った途端に、話の切れ目で前列の一人が挙手をした。

 蛇姫様も、少人数なら応じるつもりなのか、彼女の方に向き直る。

 やっぱり、僕等の世界とは全く違うんだね。


虎耳の女性「御言葉ですが、警戒心を削ぐために嘘の情報を流した可能性は有りませんか?」


蛇姫「それは儂も考えた。 じゃが、全国制覇すら考えた事も有る儂等の隣国に属しながら、ぬけぬけとそれは私達ですと明かす等、東洋怪異を意識したやり方とは到底思えぬがの」


虎耳の女性「確かに。 ですが、その話を信じるとしても、戦乱に乗じた不敬にはくれぐれも御注意を御願い致します」


蛇姫「肝に銘じておく」



 一瞬の静寂。

 すると、彼女の後方に控えていた白虎さんが、辺りを見ながら前列に現れた。


白虎「話の腰を折る様で悪いが、この様に疑ってばかりいては、事と次第によっては戦友にも成り得るアスピスに、それこそ不敬と言う物ではないか?」


セフィリカ「私も非難は覚悟の上ですから、皆さんも気を悪くしないで下さいね」


虎耳の女性「私の方こそ、言い過ぎました。 しかし、これも我等の行く末を案じればこその行いですので、御許しと御理解を賜れればと存じます」


 一般市民なのに、物凄い迫力だな。

 これで民兵レベルって、やっぱり東洋怪異は強過ぎるよ。


セフィリカ「でしたら、模擬戦でプレシア兵を撤退させたミックスフロートのコアは白虎さんに持って頂き、中衛を得意とする部隊には、その最後尾にも木本プリバドを並べましょう。

 そうすれば、私達の動きを優秀な第三者に監視させる事ができますよね」


玄武「正気か? 彼女等に監視されながらの戦など、自滅行為としか思えん」


 彼女が驚くなんて、この国の人達から見た木本は本当にマグノリア属なんだね。



青龍「各々方も、彼女の覚悟が分かったであろう。

 近場の強国に敢えて内情を晒した上に、彼女等を監視に付けるとまで言ったのだぞ。 これ以上疑っては、無粋と言う物だ」


セフィリカ「御理解、感謝致します」


 棘を引き抜いたラスボスみたいな青龍さんの総括は、紛れもなく鶴の一声だった。


蛇姫「それでは皆の者、力の有る者を彼女等に共闘させる事については、異論は無いか?」


 彼女の質問に、今度は小型種らしい無表情な犬耳っ子が手を挙げた。

 猫や犬は日本妖怪にも多いモチーフだし、女性的な東洋怪異にその人口が多いのは当然なのかも知れないね。


犬耳の少女「強い人達が戦っている間の、町の護りはどうするのですか?」


蛇姫「それについては、朱雀隊を残すのが最適じゃな。

 機動力が有り点火系の中型種が多い彼女等であれば、万一裏を取られようと確実に御主等を守り抜けるであろうし、それ以前に、多くの危険を伴う前線を務めるのは、元来大型種の役目なのじゃからな」


犬耳の少女「御検討、有難う御座います」


 あの子の様にぺこりと御辞儀をした犬耳っ子に、蛇姫様も小蔭ちゃんにする様に微笑み掛ける。



サニア「どうやら、私達が口出しするまでも無かったみたいね」


ロリポップ「サニアちゃん、どうしたの?」


 安心しながらも、何かを言いたげに前に出て来たサニアちゃんと、理解が追い付かない様子であの子の後ろを追い掛けるロリポップちゃん。


サニア「確かに、右側の東洋怪異と左側のプレシアで挟み撃ちをすれば対立者を返り討ちにする事自体は容易でしょう。

 でも、それと周辺国の小型種を巻き込まないかは別の話よ。

 確かに小型種は小柄だけれど、高い属性値と言う特権が有るんだから、シュクレの様に裏方で協力する位の覚悟はしておいた方が、もしもの時に自衛ができるんじゃないかしら?」


ロリポップ「え? この国の小型種は、魔法具を作れないの?」


 一瞬、サニアちゃんの代わりに謝りかけたよ。

 この子に協力して貰って、本当に良かった。



蛇姫「作れない訳では無いが、魔法具の研究は主に中型種にさせておる。

 確かに、魔法具を武装応用すれば地の利を生かした自衛もできるであろうが、無理をさせないであろうか?」


犬耳の女の子「軽量化した鎧と盾でしたら持っていた方が安心できますが、私達にはやはり武器の扱いは専門外ですから、攻撃手段は魔法具に割り切った方が良いと思います」


朱雀「小型種らしい、的確な意見ですね♪」


聡「でしたら、両腕に小盾を付けて、両手に魔法具を持つフェアリー達の戦法を参考にすれば良いと思います。

 矢の斜め後ろ二方向に小型のオリハルコンを付けた弓矢なら、遠距離からでも強力な魔法攻撃が可能ですが、着弾地点の制御が難しく持ちながらでは防御も困難になるので、これを使う場合は脇差の様に持ち運び易い形状にするか、拠点にも弓を置くと良いでしょう」


白虎「ほう。 矢を当てずとも、魔法具の効果により攻撃ができるのか。

 中々興味深いな」


 この戦法を先に考案したアスピスは、追い付かれたら弓を置いて脇に差した短めの大剣で殴り合う訳だけれど、それは中型種だからであって、小型種ならフェアリーの戦法が最適解だろうね。



セフィリカ「問題は、相手もそれに近い技術を開発している可能性が有る事です。

 確かに、この技術は最近になってから私達が使い始めた物ですが、同じ種族ですし警戒は必要です」


玄武「相手の手の内が分かれば、退路も提案し易いと言う物。

 御助言、感謝致します」


蛇姫「儂からも礼を言わせて貰う。

 サニア殿、セフィリカ殿、聡殿も、本当に有難う」


ツリピフェラ「良かったね。 蛇姫様、玄武様」


蛇姫「ツリピフェラ殿、有難う。

 ……これからは、木本プリバドと呼ばせて頂こう」


ツリピフェラ「蛇姫様、ありがとうなの♪」


ロリポップ「それじゃあ、芸術展の再開なの♪」


青龍「そうだな。 話は全て纏まった。 これも貴女方の御蔭です」


蛇姫「それでは、これにて解散とする!」



 話が円滑に進んだ事で2週目に同乗して帰国できる事になった僕等は、シュクレ側に展示品を見に来ていたラミフロルスちゃん達と実戦での彼女等の役割やミックスフロートの運用について話し合うと、翌日の午前6時頃にロリポップちゃんの御付きの操舵で帰国の途に就いた。


 勿論、手前側の国にとっては2週目が芸術展の本番だから帰る頃には午後5時だけれど、本来陸路で帰る予定だったセフィリカさんとも入念な調整ができた訳だから、良しとしようか。


サニア「それじゃあ、セフィリカさん。

 次の吉日までに、完璧に準備しておくわね!」


セフィリカ「サニアさん、皆さんも、本当に有難う御座います」


 夕焼けの中で手を振り合う二人。 何だか、昔の僕等を思い出すよ。


聡「それじゃあセフィリカさん、またね」


セフィリカ「はい。 きっとまたこの国で御会いしましょうね!」


一同「はい♪ また御会いしましょうね!&またねなのー♪」


サニア「それじゃあ、私達も本題に取り掛かりましょうか」


 二人の瞳は、言葉以上にその意思を表していた。


 東洋怪異の朱雀隊所属の人達とプレシアの民家に2:1の割合で木本プリバドの9割を駐屯させる事で戦力を固めた僕等は、文字通り全面共闘の構えで吉日を迎えた。

 残りの一割はどうしているのかって?

 それは勿論、フェアリーの森にセイレーンの皆と共に隠れて貰っている。

 木造りの家は、三元素魔法のシェルターになるらしいからね。

 一千年前の木本プリバドの話を思い出しながらも、僕はもう一人の当事者に通信を入れる。



聡「各国の民兵も準備は万全みたいだから、計画の実行を御願いするよ」


セフィリカ「分かりました。 聡さん、改めて宜しく御願い致します」


聡「こちらこそ。 この代でしなくても良かったかも知れない事に巻き込んだのに、有難う」


セフィリカ「何れは対面しなければならない相手です。

 貴男こそ、気負わないで下さいね。 それでは、始めましょう。

 彼女等と話す際には、通信を付けておきますね」


聡「セフィリカさん、御願いするよ」


セフィリカ「光属性・第四攻撃魔法!」


 その言葉と共に、重量弓の発射音と凄まじい高音が響き渡る!


セフィリカ「彼女等にも準備は必要でしょうし、少しだけ待ちましょうか」



サニア「……遅いわね。 もう30分はしたわよ」


セフィリカ「……来ました。 いえ、正確には、近付いているですね。

 まだ距離が有りますが、やはり小規模ですし、初手は視察団と言った所ですね」


サニア「妥当な流れね。 各国にも、相手方は視察段階と伝えておくわね」


セフィリカ「御願いします」


 4時間後、僕等の元に初めて聞くのにあの子の様な話し方をする声の聞こえる通信が入った。


セフィリカ「初めまして。

 私は、カオス・エンジェルの姫君で、セフィリカと申します」


少女の声「どこの言葉を話しているのよ?

 まあ良いわ。 天界にも、東洋は有るから」


セフィリカ「長らくこの地に住んでいるため、こちらに慣れてしまったのですよ」


少女の声「そう言う物かしら? ……改めて、初めまして。

 私はルミナス=ホワイトパール。 ロウ・エンジェルの姫君よ。

 貴女方が、歴史書通りの人格者で安心したわ」


 何だか、サニアちゃんみたいな子だね。

 14歳以上なら、身長は170cm位だろうけれど。



ルミナス「それにしても、貴女は聖典の教えには従っているのかしら?

 過去に私達のやり方に異を唱えた聖女の末裔と言っても、それは私達の行く末を考えての行いだったのでしょう?」


セフィリカ「その事についてですが、私達はこの大地で心から信頼のできる大勢の異種族に恵まれましたが、彼女等を敬愛し共存する上では、私達の教義は持ち込まないべきと考えたのです」


ルミナス「大義のために、教えに逆らったという事かしら?」


セフィリカ「奇しくも、そう言う事になります。

 聖典は、万人を救う筈の物ですのに」


ルミナス「どちらに転んでも、天使は天使という訳ね。

 ……分かったわ。 貴女方には、私達のやり方は強要しないわ」


メイドさん「ルミナス様、良かったですね♪」



ルミナス「それでも、貴女達の様な覇気の無い仲良しこよし集団が、私達の様な……いえ、私達以上の強力な部外者から身を守れるとは到底思えないわ。

 貴女達、自衛の手段は?」


セフィリカ「魔法防御に長けるオリハルコン製の盾と全身鎧に、各種族に対応する防御魔法。 そして、致命的なダメージを防ぐ事ができる身代わり石を万人が数個以上持っております」


ルミナス「所持品は中々の物ね。 それでも、鈍ら刀では意味が無いわ。

 でしたら、ロウ側とカオス側のどちらが正しいのか、この際全面戦闘形式の決闘で決めませんこと?」


メイドさん「ルミナス様!? 確かに彼女等は、やり方こそ私達とは異なりますが、その理念や実行性は私達と同等か、それ……」


ルミナス「ルリス。 例え貴女でも、それ以上を言う事は、この私が許さないわ。 私達にも、ロウ・エンジェルとしての誇りが有りますの」


ルリス「出過ぎた真似を。 御許し下さい」


ツリピフェラ「後釜が、何を言っているの!

 誇りや心配は、傷付け合う理由にはならないの!

 ……そんなに彼女等が心配なら、戦い方を教えてあげれば良いの」


 無表情なのに声激怒しているよ。

 ド正論だけれど、こんなツリピフェラちゃん初めて見たよ。



ルミナス「……小娘にしては、随分と骨が有る様ね。 分かったわ。

 この国の左右に見えた広野の内、私は貴女方の居る方に降り立って、正面から迎え撃たせて頂くわ!」


聡「この際僕からも言わせて貰うけれど、左側が主戦力なんて流石に危険過ぎるよ!

 確かに僕も満潮一致なんて理想論だと思うけれど、木本の女の子は最強魔法が嫌いなんだよ。 それに、御付きのルリスさんだって、ルミナスさんの事を相当心配している様に見える訳だし」


ツリピフェラ「聡お兄ちゃん……」


ルミナス「ふうん。 左側に行けば、その聡お兄さんとやらとも対面できる訳ね♪

 ルリス、全力で迎え撃つから直ぐに帰るわよ!

 セフィリカさん、開戦は7日後で宜しくて?」


セフィリカ「問題有りません」


ルミナス「それじゃあ、決着が付いたら、また御会いしましょうね」


セフィリカ「そうですね。 彼は言わば副隊長な訳ですし」


 帰ったみたいだね。 それにしても、最後の方は喜んでいた様にも感じたけれど。


ツリピフェラ「……小娘は、ルミナスさんの方なの」


聡「ルミナスさん、大丈夫かな?

 悪い人ではないと思うんだけれど」


サニア「敵に向かって何を言っているのかしら?

 まあ、そう言う所が好きなんだけれど♪」


マリアンナ「そうですね。 私達は、どこまでも御主人様に付いて行きます♪」



 その7日後、アスピスの左側の広野には三カ国の姫君が決めた陣形を、右側の広野には二カ国の重鎮とツリピフェラちゃん達が考えた陣形を組んだ状態で、僕等は予告の日を迎えた。


 戦略や装備品に関して補足しておくと、水上限定の代わりに機動力の高いミックスフロートは、光魔法や軽量弓の効かない耐性と補助魔法を持つ草本プリバドを乗せて追撃のために運用する事が決まっていて、魔法戦を得意とするあの子達の装備はフェアリーの防具に両手持ち用の1.2m程のメイスなんだ。


 シュクレも軽量鎧を着けている事や、木本の装備が草本との比較からツインメイススタイルなのは言わずもがなだけれど、僕も17kg位の軽量版のセイレーンアーマーを特別に作って貰って有る。


 大まかな装備品重量は僕が20kg、セイレーンが30kg、弓矢持ち状態のカオス・エンジェルとスノードロップが40kg程の割に、近接の大型種は距離を詰める重量抵抗も考慮して50kg程らしい。

 こうして見比べると、浮遊を前提とした装備品の適正重量って、大体握力の2/3位なんだね。


 皆で魔法を撃ち合ったら魔法鎧の特殊防御が重要になる訳だし、浮遊系の魔法具による体感重量の低減を考えると、実際そんな物なのかも知れないね。

 それと、僕にはもう一つ奥の手が有る訳だけれど、特殊な魔力の実の話は前にしたから割愛するね。


ツリピフェラ「(ピクン!)ルミナスさんが、到着したみたいなの」


サニア「さながら、辞書に載っていた管制室ね」


 模擬戦の時にサニアちゃんが陣取った場所よりもかなり後ろの丘の上で、属性一致の魔法具を6個括り付けたツリピフェラちゃんを起点とする管制室をする事になった僕等に、もう一人の当事者からの通信が入った。

 この魔法具はアスピスの産物だし、二カ所同時に通信を入れられるのだろうね。


ルミナス「どうやら、御互いに準備万全みたいね。 それじゃあ、始めましょうか」


聡「そうだね。 ルミナスさん、宜しく御願いするよ」


 その言葉を受けて、木本以外が力強い叫び声を上げながら陣形を保ったまま衝突して行く。


ビキィーン!

木本プリバド達「効かないの!」


エンジェル兵「この子達、一体何なの!?」


プレシア兵「今だ! ミドルドラゴンアーム!」


エンジェル兵「ホーリーランスが、折られた!?」


 やっぱり、木本か。 僕にも見えたよ。

 三色の三角形を組み合わせた、一万列の六角形が。


白虎「皆の者、気を付けろ! 奴等、光属性の射撃武器を持っている」


 向こうも、始まったみたいだね。


聡「皆、相手は遠距離武器を持っているから、光属性に強い人を盾にして!」


一同「了解!&了解なの!」


蛇姫「ならば儂の出番じゃな! 土属性・第四補助魔法!

 皆の者、攻撃魔法を使うのじゃ!」


青龍隊「仰せのままに。 三元素・土属性・第四攻撃魔法!

 射撃武器には、応えるであろう!」


エンジェル兵「重力魔法!? それにこの障壁、一体何で出来ているの?」


 青龍達のは土と岩で、木本のは原初の土……多分アダマンタイト。

 確かに重力と地震の性質を併せ持つ土の第四補助魔法は射手にはかなり有効だし、前戦はかなり有利みたいだね。



聡「前線は有利だけれど、相手は中衛に回り込んで突き崩そうとしているよ。

 気を付けて」


玄武「聡殿、でかした! ならば我等が、上級水魔法で御相手致そう」


 ああ、引っ張って強打ね。

 確かにあれなら、フェアリー並の機動力でも無視できない。


玄武隊「水属性・第四攻撃魔法! 打ち逃しは、中衛に任せる!」


プレシア兵「我等に任せろ! 水属性・第四攻撃魔法!」


エンジェル兵「何が起きているの! 信じられない!?」


 案の定、一撃でエンジェル兵の光の壁を破壊して、追撃で吹き飛ばす水属性の大型種達。


ルミナス「転送装置で、増援を呼びなさい!

 あの壁も、裏を取れば無視できる筈よ」


白虎「ほう、増援か。

 後列で機会をうかがっていた甲斐かいが有ったというものだ!」


白虎隊(虎耳の女性)「ならば、我等、虎隠良こ いんりょうが相手だ!」


サニア「ルベライトさんも、前進して迎え撃って! 増援で奇襲して来るわ!」


エンジェル兵「転送装置、起動!」


ルベライト「分かった! 皆の者、サラマンダーの誇りを見せてやれ!」


サラマンダー兵「任せて下さい! 我等こそ、龍剣道こそが、最強なのだ!」



聡「草本の女の子達も、敵が来たら三元素の土魔法を構えて!」


草本プリバド「分かったの。 三元素・土属性・第三攻撃魔法なの!」


エンジェル兵「重力魔法部隊!? 貴女達は、何者です?」


 ……何だか、中列の方がヤバい奴等揃いに見えるのは、気のせいかな?


コーティス「そろそろ、頃合いでしょうか?」


聡「そうだね。 サラマンダーが増援に挟まれ掛けたら、第五魔法を御願いするよ」


エンジェル兵「追撃します。 転送装置、起動!」


サニア「今ね。 私は温存するから、先に発動して!」


コーティス「分かりました。 氷属性・第五攻撃魔法!

わたくしが、オリハルコンです!」


セフィリカ「やりますねえ!」


 え、この人今何て言った!? と言うか攻撃範囲広すぎるんだけれど!

 流石はフェンリル。 それに、向こうのセフィリカさんも通信を繋ぎながら重量弓を撃ち続けてくれているんだ。



白虎「使い時だな。 喰らえ、ミックスフロート・コア!」


ルミナス「貴女達、かなりできるみたいね。

 でも、これならどうかしら?」


 その言葉と共に、エンジェル兵に光の羽根が付いた様な航空型が1000人以上出撃した! 両手には光属性の魔法具と思われるレーザーブレードまで装備されている。


セフィリカ「まさか、本当に聡さんが言った通りの兵力が居たなんて!?」


聡「だいぶ違うけれど、航空型の魔法具にした騎兵ポジションだね。

 それでも、あの類は大抵弓に弱いからセフィリカさんはかなり相性が良い筈だよ。

 それじゃあ、コーティス様と蛇姫様は遠距離封じも検討して。

 草本の女の子も、飛んでいるのを優先して!」


セフィリカ「それでは、弓兵は全員あの航空型を狙って下さい!」


アスピスの皆さん「セフィリカ様、分かりました!」


コーティス「分かりました。 皆さん、氷属性の第四補助魔法を御願いします」


蛇姫「分かった。 土属性の第四補助魔法を使える者は、それに専念するのじゃ!」


草本プリバド達「そこなの! 三元素・土属性・第三攻撃魔法なの!」


木本プリバド達「頃合いなの。 三元素・土属性・第四攻撃魔法なの」



ソフィア「次は私達の番ですね。 蛇姫さん、第五攻撃魔法を御願いします」


蛇姫「そうじゃな。 同じ島の民のためじゃ。

 次の増援に合わせて、奮発しようぞ!」


エンジェル兵「転送装置、起動!」


ソフィア「参りましょう。 水属性・第五攻撃魔法!

サニア、後は貴女に任せますよ」


蛇姫「土属性・第五攻撃魔法! アスピスの大地よ、我等は返って来た!」


その言葉と共に、激しい地鳴りが広域に響き渡る!

やっぱり、叔母様もマジ良い人だよ。



サラマンダー兵「火属性・第四攻撃魔法! そこだ、ドラゴンアーム!」


白虎隊「ネコ科の基本は暗殺だ! グルルルァー!」


白虎「今だ! ザシュン! ……勝負、有ったな」


 二人共……いや、皆強過ぎるよ。


聡「ここから先は木本に頼る訳だけれど、僕等はラミフロルスちゃん達を信じているからね」


ラミフロルス達「……ありがとうなの」


ルミナス「飛行型を殲滅するだけの重力使いに第五魔法……それなら、私もあれを使うわ! 光属性・第五攻撃魔法! 魔道兵器、ネメシス!」


 あの光は!? それなら、この魔力の実で。

 シェリナさんも、僕と同じ事をするみたいだね。


シェリナ「聡様、頃合いですね。 水属性・第五補助魔法!」


聡「そうだね。 水属性・第三補助魔法。 光属性・第五回復魔法!」


ルミナス「え!? 貴男達、今何て……」


 相手側とこちらの光で、完全に視界が遮られる!



ルベライト「聡さん、助かりました。

 プレシア兵よ! 前衛は点火系の我等に任せろ!」


サニア「確かにそうね。 皆、一旦サラマンダーの後ろまで下がるのよ!」


プレシア兵「はい! サニア様」


シェリナ「援護します。 水属性・第四補助魔法」


ルミナス「後衛は、第四魔法と共にこれを使いなさい!」


エンジェル兵「分かりました! 光属性・第四攻撃魔法!

魔道兵器、ネメシス!」


ラミフロルス達「全面的に効かないの!」


吸収した!? 流石は最強生物だね。



蛇姫「セフィリカ殿、今こそ過剰生成した魔法具の使い時じゃ!」


セフィリカ「それでは、これを御使い下さい。

 魔力を全回復できる物ですが、この戦況では一つでも十分でしょう」


蛇姫「ならば、追撃しようぞ! 土属性・第五攻撃魔法!

 皆の者、東洋怪異が怪異たる所以ゆえんを、あの者共に見せてやれ!」


玄武隊「仰せのままに。 水属性・第四攻撃魔法!」


青龍隊「ならば我等も、三元素・土属性・第四攻撃魔法!」


セフィリカ「それでは、私達は敢えて遠くの方々を狙いますね。

 光属性・第四攻撃魔法!

 オリジンフルート・アロー!(原初の果実を冠した弓技)」


 この轟音は……向こうは、圧勝なんだろうね。



ツリピフェラ「聡お兄さん、ツリ達を信じてなの。

 ……三元素・第五攻撃魔法なの」


草本プリバド達「三元素・土属性・第三攻撃魔法なの!」


 第五攻撃魔法!? それに、草本まで合わせてる!


ラミフロルスの多数「それじゃあ、ラミは……三元素・光属性・第三攻撃魔法なの」

ラミフロルスの少数「……三元素・土属性・第四攻撃魔法なの」


聡「ルミナスさん、逃げて! 水属性・第四補助魔法。

ロッド・オブ・ピアース!」


ルミナス「光属性に補助魔法!? 貴男達、何をやって?

……皆、防御に徹しなさい!」


エンジェル兵「はい! ルミナス様」


 その直後、彼女等に大量の三色の光線と重力波が襲い掛かると共に、あの時の説明通りに上からの重力と下からの水圧に追撃する様に、光の魔力が凝集して暗くなった周囲から大量の熱と光が集まり始めた!

 それに続く、まばゆいばかりの閃光と、圧倒的な重圧!

 あの時の吹雪の様な白光が収まった頃には、もう勝敗は決していた。



ルミナス「貴男達……一体何なのよ?

 ここまで本当に危ないと思ったのは、今回が初めてよ」


聡「同感だよ。 色々な意味で」


ルミナス「それに、まさか貴男に守られる事になるとはね。

 私達、間違っていたのかしら?」


聡「その事なんだけれど、僕等とルミナスさんとでは生きている世界が違う訳だから、片方が普遍的に正しいなんて事は言えないんじゃないかな?

 向こうでは、貴女達が主流な筈だし」


ルミナス「貴男は勝者なのに、まるでルリスみたいな事を言うのね」


聡「そうかも知れない。 でも、大義や思想がどうであれ、一番ルミナスさんの事を心配している様に見えたルリスさんの事は、もっと大切にしてあげてね。

 彼女は、貴女達の理念とこの世界との友好を天秤に掛けてでも、ルミナスさんの身を案じていた様に見えたから」


ルミナス「……確かにそうね。

 貴男はさぞかし、メイドの扱いに慣れているのでしょうね」


聡「この世界ではとても優秀なメイドさん達に恵まれたけれど……僕も元の世界ではただの平民だよ」


ルミナス「何ですって!?

 貴男程の人が平民だなんて、それこそ宝の持ち腐れじゃない!」


サニア「その通りよね。 この際だから言わせて貰うけれど、聡お兄ちゃんも、私達が特別良く見える様な貴男達の世界なんかにこれ以上固執する必要なんて、もう無いんじゃないかしら」


ツリピフェラ「そう言う事なの」


聡「ツリピフェラちゃんまで。

 でも、これまでの事を振り返ると、二人がそう思うのも当然なのかも知れないね。

 僕も、できる事ならここに居る皆に賛同してあげたいし」



 サニアちゃんはこの穏やかな精霊界を賛美し続けて来たこれまでの僕の言動と、あの時シェリナさん越しにこの世界に伝えた僕等の世界の負の遺産も含まれる辞書への高過ぎる理解力から、ツリピフェラちゃんは僕の事を包括的に観察した結果、色々な意味でこの世界に残った方が良いと判断したのだろうけれど、弱い立場に居る小蔭ちゃん達の幸せを自分の事の様に大切にしたい僕の心の内は、ラフィちゃんを迎えに行った時から既に決まっている様な物だよ。

 向こうの世界から見たら、決して格好良くは見えないと思うけれど、その方がシェリナさんだって……


ルミナス「それなら、無数の世界を見下ろして来た私に考えが有るわ!」


聡「それじゃあ、ここはルミナスさんの妙案に任せようかな。

 向こうの皆を悲しませたい訳ではないけれど、神主さんの協力の下、公式に行方不明として認められないと、去るにも戻るにも体裁が悪い分、こう言う時の立ち回りは特に難しいし」



 それに、ここは同一種から讃えられているルミナスちゃんに花を持たせた方が、皆も幸せになれるだろうし。

 こう言うと、自分の居るべき場所という主題に取り組んだ古典童話の鬼才みたいだけれど、僕はこの子達をお兄さん目線ながらも下支えするために生まれて来たのかも知れないし。


ルミナス「人の帰りを素直に喜ばないなんて、随分と窮屈な世界に住んでいたのね」


聡「そう見えるのは、天界でのルミナスさんの内政が正しいからかも知れないね」


ルミナス「そんな風に言ってくれたの、貴男が初めてよ。

 ……それじゃあ、こうしましょう!

 聡お兄さんは、貴男達の世界をどんなに探しても足の付かない怪盗に攫われた。

 それでも、その女性は理知的な貴男に特別な感情を抱いて、トリックの開発に協力して貰うという名目で恋人の様に暮らしている。

 彼を返して欲しければ、私達を見付けてみなさい!

 これを書いた挑戦状を、貴男の世界に送り込むのよ。 完全犯罪って、最高ね!」


サニア「私の言葉を取らないでよ!

 それを言うなら、高性能って、最高ね! でしょう?」



聡「確かに高性能な完全犯罪かも知れないね。 絶対に足が付かない事は明白だし、寄せ書きを付ければ向こうからの心配も要らない」


 足が付かなくても、これなら彼等には「ああ、そっちを選んだんだな」って分かる筈だし。


ルミナス「あら、全く反論しないのね。

 まあ、貴男はメイドさん想いですものね♪」


聡「正確には、恋人想いだね。 でも、これで恩ができる訳だし、ルミナスさんさえ良ければ今度天界に連れて行ってよ」


ルミナス「……本当に、どうして貴男は私の言って欲しい事を言ってくれるのよ?」


聡「それは、ルミナスちゃんみたいな恋人の皆の御蔭だね」


サニア「聡お兄ちゃんだから。 それだけで、理由なんて十分でしょう♪」


シェリナ&シャンナ&マリアンナ「そうですね♪」

小蔭&ラフィール&ツリピフェラ「そう言う事なの♪」



エピローグ

 こうして、僕等の旅路にはプレシアの城を新しい住まいとする事で一定の区切りが付いた。

 今までは終始エンジェルアーマーを着ていたらしいルミナスちゃんが、白と赤のドレス姿で僕と一緒に参加した次の吉日の湖越しの会議では、フェアリーの森に隠れていたセレーネさんにもこの子がセフィリカさん達と対立した理由が明かされた訳だけれど、聖典や教義に対する誇りや使命感が火種となった今回の大規模過ぎる決闘は、神格の大義による憤りを意味するらしい魔道兵器の名前にちなんでネメシス戦争としてこの世界の歴史に残る事になった。


 あれだけの総力戦をしておいて両陣営に全く犠牲者が出なかったのは、身代わり石の高過ぎる性能と、それを消耗した相手に一切の追撃をしなかったこの世界の亜人達の民意の御蔭だけれど、もしかしたら、この精霊達の住む異世界スピリッツサイドの湖にも、あの時に出会った様な本物の神格が潜んでいるのかも知れないね。


 大怪盗ことルミナスちゃんが書いた挑戦状の入った魔法瓶入りの木の器を湖に流しながらそう思った僕は、勇者である柔和な御二方に挨拶をしてから上側の聖域に歩を進めた。(僕自身が勇者と讃える別行動をした御二方に挨拶をしてから、ラフィちゃんの御両親が住むフェアリーの森林を目指した)



 後書き

 読者の皆様、私流の異世界は如何だったでしょうか?

 物語の随所で12話構成に纏め易い登場人物の等身大の物語を意識したので、もっと異世界での生活に焦点を当てた方が読み易いと思った方もいらっしゃるとは思いますが、それに関してはまず大筋を決めて、その上に人物を乗せて進めていく硬派寄りの物語調と考えれば頷ける筈です。


 それと、7人目の小さな花嫁は予想通りだったでしょうか?

 今までのハーレム物に抵抗が有った方でも読み易い様に、聡がこの世界に馴染んでいく過程に関しては可能な限り推敲しましたが、彼から見た優先順位が高いにも関わらず後半まで別行動の小蔭ちゃんについては、あの子が事前にどんな根回しをしていたかに注目して考察してみると思わぬ発見が有るかも知れませんね!


 後、私は戦力が関係する物語を書く際は、初めから合理的な強キャラの葛藤にも焦点を当てたいとは考えていましたが、書いた後に読み返してみたら重力魔法版の抑止力の物語になっていましたね。 東洋怪異からプレシアまでとスノードロップまでを見比べると確かにその有無が露呈していましたし、あんな物を木本の30万人程が撃てたら精霊界に危険が及びそうですが、これに関しては、

Ⅰ身代わり石が有る中での重力魔法なので厳密には一撃必殺ではなく毒も残らない

Ⅱ使い手が草本とも仲良くしていて集団心理の無い木本な上に一人1発と発射権が分散している

Ⅲあれの危険性を熟知している神格の様な木本は他者には悪用できない事等を考えれば、森から出たあの子に抑止力の周知を目的として1発使わせても整合性は取れていると判断しました。

 むしろ、ここまで前提が違うと、地球側の人間があれより強力な物を的確に扱えるかよりも、木本が第五魔法を牽制力として使い熟せる様になるまでの道筋に注目して神格版の歴史ドラマと考えた方が自然ですよね。


 東洋怪異が全体的に中国だったり、木本プリバドの方がロウ・エンジェルより神格をしていた事は今更言うまでも有りませんが、後者の理由は属性値*モチーフの重量と種族の強さにかなりの相関が見られるという暗黙のルールが有ったからです。

 コーティス様とセフィリカさんの身長とあの台詞ですか? あれは体格を西洋に合わせた上で亜人補整を乗せたら、殆ど良い奴等のパロディになったからですよ♪

 フェンリルを装備した第五攻撃魔法や、天使もとい精霊界では亜人の力を利用した重量弓の光魔法、強かったでしょう? 直線的な水属性攻撃以外は近接戦に全振った極端な性能は、むしろ水の精霊の方でしたが。


 後、実は身代わり石を持ったスノードロップも、3人集まれば単体の木本でしたら倒せる程のファイトパワーが有るんですよ! 流石に初手の重力を密集して使われたら無理ですが、柔和な女性がその世界の正攻法で強いのは、作者自身もお気に入りのスタイルです。


 とまあ、魔力の実も含めてデザイン面はかなりエキサイティングをしていた訳ですが、異世界の最大の魅力は、やっぱりもしも聡の流した挑戦状を神影神社で見付けるのが自分だったら? とか、もしも聡の境遇に立たされたら自分ならどうする? と言った没入感ですからね! 後、勿論サニアちゃんや小蔭ちゃんみたいな年下の女の子ですからね♪(狂気)

 聡に対して主はあの様な小娘 (ルミナスちゃん170cm)が良いのか?(怪異)の様なツッコミが入らない内に、この場を借りて本作の核心に近い部分で一度はやってみたかった事をした上で、この物語の本編は幕引きと致しましょう!



ツリピフェラちゃんと作者による最終問題

1.ツリとサニアちゃんは、向こうの世界の専門家が聡お兄さんを行方不明と判断したら、彼の知り合いはきっぱり探さなくなると考えてあの発言をしたの。 その理由を推理してなの。


2.作者は、聡の恋人の殆どを幼女や小型種にする程のロリ好きですが、本作の小型種の比率は明確な理由により30%程度に抑えました。 前提知識次第ですが、この理由を尋ねます。


3.ツリから見たら中型種もかなり非力だけれど、この世界では上級魔法 物理攻撃 中級魔法の順に強力なの。 その主な理由を尋ねるの。


4.本作は「」の前に名前が無くても割と話し手を予想できますが、その見分け方を尋ねます。


5.ツリは、他の人が来ていたら中盤にシュクレも疑ったと思うの。

 その理由を尋ねるの。


6.セフィリカさんや蛇姫様が聡に協力的だった主な理由を尋ねます。


7.ルミナスさんが、聡お兄さんを好きになった主な理由を尋ねるの。


8.作者は、フェアリーの国の統治は今後改善すると推測します。

 その理由を尋ねます。


9.ツリには、聡お兄さんがこの日に誰を優先するか分かっているの。

 その二人を尋ねるの。


10.作者は当初、本作のジャンルを決め兼ねていましたが、最終的には直感を信じて恋愛物に致しました。 ここでは、そんな恋愛物らしく聡から見たヒロイン7人の優先順位とルミナスちゃんの立ち位置について尋ねます。


 記述式なので、意外な解答が送られて来る事も予想できますが、私が考えた答えや聡達によるその後の考察に興味が有る方々は、考察編でまた御会いしましょうね!


 実写に例えられるスピリッツサイドのB√や現世恋愛物寄りの全く別の御話のハーモニックテイル2 ドーリーサイドも、乞うご期待!

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る