第6話

毎日、首相官邸へ意見文を送っている。その内容は果たして政府の人間に届いているのかどうかは定かではないが、出来ることはやると決めた以上、結果が出ずとも構わない。


この事態に給付金を出し渋っている時点で政府の対応は非人道的であると言わざるを得ない。戦争で戦う自国に兵士に支給品を送らないで勝てると思うのだろうか。それほどおかしなことが起きている。


世界金融のほとんどはある組織によって牛耳られている。日本は国債を発行して金を刷って配れば済む簡単な話なのだが、そのことについての政府の発言がないことからも、このことは明らかと言えよう。


裏で何が行われているのか理解するには、WHOの事務局長を例にすれば理解は早い。彼の故郷は中国から莫大な資金を得ている。貧しい国であるからアメリカや諸外国からは見放されていたのだが、そこが返って中国には都合が良かった。


今、中国からの資金が絶たれるとしたら、絶大な影響を及ぼしかねない。つまり、弱みを握られている。日本の政府も例外ではない。


中国からの根回しで生きながらえてきた政治家は今後、身元の整理が必要になるだろう。中国の今の政権はもう未来が経たれた。それだけ中国の犯した罪は重い。


日本政府はここで立ち返り、誤ちを認めて対策と練り直さなければ、共倒れになるといっても過言ではない。


沈みかけた泥舟に、依存していたことから目を背けて降りる決断が遅れれば、それだけ痛い目を見る覚悟をしておいた方がいいだろう。


そうなれば、その影響は日本の国民にもダイレクトに届くはずだ。


自らの働いたお金で食料を得て食べていた時代が終わり、野菜を育て、魚を獲り、獣を狩る。そんな生活をすることさえ検討に入れなければならない事態に陥っている。


マンションのような家庭でも栽培できる簡単なものはいくらでもある。水耕栽培や鉢植えを使った栽培法とその道具について今から調べておくと良いだろう。


まだ物流があるこの時に、ネット通販などで土や肥料その他諸々、購入して備えておくこともできる。


仮にそんな事態にならなかったとしても、今はこれくらいのものの見方で考えて慣れ親しんだ生活を変えて行かなくてはならない程、とてつもなく大きな変革の時代を迎えている。


時が経つほどに一年が早く感じる人もいるだろうが、今はまさに一年が十年ほどにも勝るような濃度の時間を過ごしている。


地震や火山噴火などによる自然災害の懸念も忘れてはいけない。大変な時に重なる不幸によって生きる執念を途絶えさせず、益々生きようと奮起するようなそんな過ごし方が望ましい。


今は戦後の焼け野原のような心の衰退期を迎えている。幻の高度経済成長と引き換えに心を失った日本は今こそ本当の意味で成長せねばならない。無気力や絶望感から欲望のままに動いたところで何が残ろうか。


心の姿勢を一人一人が築き上げて対抗することはできる。心の基準はとうに失われてしまったが、それがまだ完全に消えたわけではない。少なからず、そのようなものがあった自体が思い起こせるのだから、我々の中に潜在的に眠っているのだと思う。


この事態が収まったところで、元の世界に戻る事はないだろう。そこは全く新しい世界の誕生に立ち会う覚悟のある人たちの済む世界になる。残酷さや理不尽さ、不平等さなどを抱えていてもそれにもかかわらず生きていく事を考えて闘う人の世界。そうでなければ徐々に生きていく場所は失われていくはずだ。


この世界は甘くない。そんなわかり切ったことがこれからの世界に生きる人の基準になるだろう。


都会のコンクリートジャングルの中でも、自家栽培などで生きていく事は実際には可能だと思う。こんな自体でなければ考えもしなかったことが、実際に起ころうとしている。それは何を我々に伝えるために起こるのだろう。世界は一つではなく、一人ひとりが作る生活の基盤によって全く多種多様なものになっていくだろう。

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