第59話 七つの大罪(憤怒)のサリィー・リリ

===(憤怒)サリィー・リリ===


 

 真紅の髪の毛をしており、胸は貧乳でありながらも無防備に強調している。

 眉毛も赤くてとても濃い。

 今日も赤いドレスを着こなしている。

 


「まったく、リュウケンともあろう者がこのような罠にひっかかるとは、付いてないわね、でもリュウケンと一緒にいたかったなぁ」



 激しい物言いをすると思えば、突如デレてしまう、それがツンデレと呼ばれるものである事を、本人は知らない。


 サリィーの周りには沢山の人々がパニックになって逃げまとっている。

 それを追いかけるレベル100を超えるモンスター達。

 サリィーの職業はサタンドラゴンと呼ばれる物だ。

 こんなところで本来の姿になると、さらなるパニックを引き起こすのでそれは我慢しておく。

 次に脳裏に過ったのは槍術師としてのサブ職業であった。


 

「まぁこれくらいなら、モンスターを駆逐出来るレベルでしょう」


 

 サリィーは異空間から槍を引っこ抜いた。

 それはアイテムボックスとは違っており、空間そのものと契約を済ませる必要がある。

 これを【異空間の狭間】と呼ばれている。

 異空間の狭間から引っこ抜かれた槍は真っ赤な炎に染まっていた。

 穂先自体も爆発するように小さな爆発が空気を轟かせる。


「爆発の槍ね、久しぶりに使わせてもらおうかしら」


 サリィーがいつも使用していたのは普通の槍に少し魔力を付与した程度の槍であった。

 それに対して今回の槍はレジェンド級の伝説の武器だ。

 爆発の槍を構えると、突き刺す。

 爆発の道が出来、それをコントロールするサリィーに対してモンスター達が次から次へと吹き飛ばされる。


 これは【爆竜如き】というスキルであり、槍を竜のように爆発させながら操る攻撃だ。

 普通の槍なら槍自体が竜のように変質する。

 しかし、この爆発の槍ではそうではなく槍からオーラのように飛び出る爆発する竜なのだ。

 次から次へと雑魚モンスター達が駆逐される。

 それでもレベル100は超えているのだが。



「まったく早く仲間達と合流しないとね、嫌な予感がするのよね」



 その時であった。1人の美青年が歩いている。

 背中からは美青年の5倍はするであろう白い翼が天使の様についている。

 彼はこちらを見るとにかりとキラースマイルを発するのだが、サリィーにはまったく通用しなかった。



「やぁ、お嬢ちゃん、僕の美青年ぶりどうだい?」


「さぁ? それよりあんた人間でないね」


「さぁだって? この僕が尋ねているではないか、まぁいい、君は七つの大罪だね」


「そうだよ」


「僕は滅びの7柱と呼ばれたり七つの美徳と呼ばれる事もある。不思議だね、七つの大罪と七つの美徳、そっくり、きっと神様は手と手を取り合わせようとしたのだろう、さぁこのミリーシャ王国を一緒に滅ぼそうではないか」



「嫌です」



「は、はい? それはどういう、まったく、ここまで僕の言う事を聞かない奴は初めでだね、お仕置きが必要だ。天使として、そしてミカエルとしてね」



 次の瞬間、空間が凍り付いた。

 そこら辺にいるモンスター達がこちらを凝視している。

 それはミカエルの美貌ではなく、ミカエルの誘導のような。



「君達に素晴らしい力を謙譲させよう」


 

 そこには確かにモンスターが3体はいたはずであった。

 ミカエルの背中から白い羽が飛んでいくと3体のモンスターの頭に突き刺さった。

 そして白い羽がなくなると、先程まで静かだったモンスター達3体は。

 咆哮をあげた。


 1体はオーガのようであったのにさらにでかくなりキングオーガとなる。

 1体はミノタウロスのようであったのに体が小さくなり最強となるスモールミノタウロスとなる。

 1体はただのリザードマンだったのに鱗が強靭となりてシールドリザードマンになる。


 3体のレベルは恐らく数千は超えていると思っていいだろう。


「まったくめんどくさい奴」


「そしてこの僕が戦いに加われば、最高のパーチーが始まるぜ」


 七つの美徳のミカエルの力の1つをサリィーは理解する事が出来た。

 

【爆発の槍】を構えると、まっすぐに突き進む。


 3体のモンスターがこちらに向かって地面を叩きつけるように走りながら。

 ぶつかり合って殺し合いが始まるはずであった。



 その時、一陣の風となりて、3体のモンスターが突如やってくる。

 1体目はゴブリンソルジャーであるコーブだ。

 2体目はギガドンベアーのクマサンに。

 3体目はハイマンティコアのスコーピだった。


「サリィーの姉御、こいつはこちらに任せてくれ」


 そう言葉巧みに会話したみせたのはゴブリンソルジャーのコーブであった。


「モンスターってここまで意思を言葉にする事が出来るのね」


「蜂蜜が食べたいなぁ、でも目の前の敵は蜂蜜もってないだろうなぁ」


「食べる事よりやる事があるであろう」


 ギガドンベアーはイメージ通りのモンスターであり、ハイマンティコアはリーダー感を漂わせていた。



「他の奴等は?」



「それぞれ助け合ってます。人間達は話す事が出来ると理解すると、こちらに攻撃してきません、今冒険者とモンスター達で連合を組んでます。それとリュウケン殿ですが、とんでもない敵と戦ったようで、震えていました」


「リュウケン様が、早く行かなくては」



「落ち着いてください、ここを離れるという事はあのミカエルなるものにここ等辺の人々を助けないという事です。リュウケン殿はそのような事を望まないはずです」


「それもそうね、されにしてもあんたすごい知恵ね、レベルは?」


「50000レベルです」


「はい?」


「こちらのモンスター達は全てがレベル50000を超えています」


「すごいわね」



「そうでもありません、このスコーピはまだまだです。さて敵さんも無視されてお怒りです」


「それもそうね」



 コーブとクマサンとスコーピはキングオーガとスモールミノタウロスとシールドリザードマンの相手をすべく動き出す。


 その時空から何かが降って来た。

 沢山の槍そのものであった。


 その槍が人々に串刺しにする事は無かった。

 あらゆるモンスター達が槍を叩き落している。


 もちろん敵のモンスターはそれを妨害するが。


 槍の雨が降る中、サリィーとミカエルは向かい合っていた。


 ミカエルはにぃっと嫌らしい笑顔を浮かべると、地面から跳躍した。











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