第49話 鑑定結果のアイテム達

 熊のような女ギルドマスターは大きな空気を吸った。


【神の兜】被った者には絶大なる魔力と絶大なる防御力。

【神の鎧】装備した者には絶大なる魔力と絶大なる防御力。

【神の靴】装備した者には絶大なる魔力と絶大なる防御力。

【神の剣】それを装備した者には神の力を与える。

【伝説魔導書】伝説の魔法を学ぶ事が出来る。

【走る要塞】移動が出来る要塞で色々な設備がある。

【絶対地図】全ての物や人や生物がその地図に表示される【ダンジョン可】

【海魔法の書】海魔法を学ぶ事が出来る

【鬼の仮面】狂戦士を自動発動する。外すには別な人の力が必要。

【知恵の輪】それを解くと何かが起こる


「残りの10個はこの冒険者ギルドでは鑑定することが出来なかったアイテムだ」


 

 熊のような女性であるギルドマスターがきょとんとしながら大きな箱に入れてあるアイテム達を返してくれた。

 猫ババをするような人ではないが、もしもの時の為に、確認すると。

 全てが鑑定不能となっており、さらには記憶していた形そのままであった。


 

「何か質問はあるかい?」


「いえ説明で大体は分かりました。ですがこの【神の兜】とか【走る要塞】とかは見た感じだと玩具のようにしか見えないのですが」



「それにはスモールの魔法がかけられている。ビックと唱えれば解除され元の大きさに戻るし、またスモールと唱えれば小さくなる。これは古代魔法だね、このアイテムは古代からあったんだよ」

「そんなに長い間をゴミダンジョンに眠っていたという事なんですね」

「その通り、ではクエストを受給するかい?」

「いえしばらくは不滅のダンジョンの攻略に力を注ぎます」

「そうだね、今色々な国から不滅のダンジョンの攻略組がやってきているのさ。争いに巻き込まれないようにね」

「それはもちろん、1つ質問していいですか?」

「なんなりと」



「ダンジョンは攻略されたほうが有益なのか? それとも攻略されないで沢山の冒険差を呼び込むほうが有益なのか?」

「どちらも有益だけど、ダンジョンが攻略されると、色々な現象が巻き起こる。その方が沢山の人々に有益になるのさ。だから思う存分あばれてきな」



「そうさせてもらうよ、では皆行くとしましょうか」



 全員がこくりと頷くが。



 事前に勇者と超能力者の2名には伝えてあった。



「僕と玲子はしばらくこの辺りの治安を維持したいと思ってる」

「こっちは安心しな君達は攻略に専念するんだ」



 全員が頷くと。

 僕達は沢山の人々の眼を受けながら外に出る事となった。

 そして気づくのだ。先程より人が増えているという事を。

 しかもほとんどが冒険者である事を。

 競争相手は沢山いる。

 

 

 蒼龍の力を取り戻すアイテムを他の人間に獲得される前に、僕達が不滅のダンジョンを攻略する必要があるのだ。


 

 不滅のダンジョンに到達するまでに心臓がバクバクと音を立てていた。

 何度もバクバクする機会があるので心臓病ではないかと自分自身を疑ったりした。

 やはり不滅のダンジョンには沢山の人々が居た。

 彼らはダンジョンの入り口で大きな宝石を握りしめると次から次へと消えて行った。


 

 ダンジョンの入り口は実は初めて見た。

 ゴミダンジョンを攻略した時は別な入り口から入ったので、ダンジョンの仕組みについては素人だ。


 

「ふむ全員手をつないでくれ」


 玄武がそう告げる。


「でないと皆バラバラに転送される」

「それはそれで困る」



 僕が頷いてそう言うと。

 全員が手を繋ぐ。

 テレポート制のお陰で、沢山の冒険者で並ぶ事は無かった。

 全員が手をつなぎ、大きな宝石、つまりテレポート石を掴む。

 風が一瞬だけ吹いた。

 そう思って。目を一瞬閉じた。

 それだけで、そこに立っていた。

 もちろん仲間達も勢ぞろいしている。



「ふう、無事に転送し終わったみたいだ」


 

 今回のダンジョン攻略組は、七つの大罪、冥王、玄武、蒼龍、ボンバー魔王。

 僕を含めて11人のチームメンバーとなっている。

  


「周りには人の気配はありませんが?」

「サリィー殿それは違う、彼らは沢山ある小部屋に飛ばされた。わしらが数えただけでもテレポート用の小部屋は1000個以上ある」

「それが本当ならすごいことですね、まったく1人じゃ寂しいです」



 いつものツンデレ具合を皆に見せつつも。



「という事ーはーダンジョンが迷路のようになってー地下に到達するのに何十年もかかるのでは?」

「わしたちの時で2か月を要した」

「それだけでもすげーんだぜ、白虎に乗ってすいすいと向かったけな」



 玄武と蒼龍が懐かしむように呟くと。

 


 皆は小部屋から歩き続けた。

 小部屋ながらに端っこに到達するだけでも結構歩くものだと思った。

 風など臭いすら一切しなかった。



 大きな扉があったので、そこを僕達はゆっくりと開いた。

 そこに広がっていたのは、絶大なる海そのものであったのだ。



 後ろの扉を閉めると、天井や壁が消滅した。

 遥かな地平線には太陽が昇っている。

 それが幻覚である事を僕達は理解している。

 空は太陽が昇り続けており、海が遥か向こうに連なっている。



 眼の前には1つの台座が置かれてある。

 その台座には何かを嵌める物がある。

 その場にいる僕達には理解できないものだったが。

 2人だけ理解する者体がいた。彼らは元4賢人と呼ばれていたのだから。

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