第38話 モンスター達が天下無双(後編)

 それはまるで銅像のようだ。

 それはまるで巨大な毛だらけの案山子だ。


 そうそいつは、ギガドンベアーのクマサンと呼ばれるモンスターであった。

 ギガドンベアーの大きさは遥かに巨大、トロールよりも2倍はでかい、

 いつもは体を縮めている。 

 しかし戦争となると興奮して巨大になる。


 配下にはキラーベアー9体がいる。

 彼等もギガドンベアー級に大きい、

 前方には巨人族がいる。

 まさか熊と同じ大きさになるとは思ってもいなかったのだろう。


 巨人族は50体くらいであった。

 そいつらはこちらに向かって巨大な棍棒を振り回して落とす、

 それをクマサンは片手で防いで見せる。


 クマサンはにかりと笑い、くいっと頭で合図する。

 キラーベアーが暴れ出す。

 巨人達が次から次へとそのカギヅメにやられていく。


 キラーベアーたちの叫び声は巨人達に恐怖を覚えさせる。

 クマサンは巨大さだけでもなく、身軽でもあった。

 熊とは木をも登るとされている。

 つまりクマサンは軽々とジャンプする、

 まるでサーカス劇場のように、

 着地すると地響きのような音がする。

 周りにいるモンスター達はパニックになる。


 クマサンは右手て空気を凪ぐように、

 2体の巨人の頭を吹き飛ばす。

 まるで爆発級の攻撃力に巨人達は恐怖の顔でクマサンを見ており、

 巨人体が戦場を放棄して逃げ始める。

 さすがに巨人クラスだと敵前逃亡しても誰も止める事が出来ない。

 クマサンはゆっくりと案山子の様に動き出す。 

 クマサン達はこの前線を守る、

 攻める事はせず、

 やってくる敵をカウンターで倒して行く、

 その為のクマサンなのだから。


 そして俺様は彼の攻撃をじっくりと見ていたかった。

 それこそがキャプテンことクリエイトゴミスライムだった。

 彼は今人間の形をしている。

 

 右手にはスライムの剣を握りしめている。

 それが沢山のゴミなどから作られている事を剣の形やいびつさから理解できる。


 彼は1人で歩く、

 その後ろを沢山の仲間のモンスター達が付いてくる。 

 キャプテンはスライムの剣を構える。

 そして振り落とす。

 それだけで目の前を縦の斬撃が繰り出される。

 一瞬にしてモンスター達が蒸発する。


 120億体のモンスター達がどれくらい減ったのか、

 それは分からないが、

 モンスター達に恐怖を覚えさせるだけのものはあっただろう、


 その時だ。


 敵のモンスター達がパニックになっているのを見かねて、

 1人の若造が出てきた。  

 頭からは角が出ており、

 右手には巨大な槍を持っている。

 左手にも巨大な槍を持っている。


 2本の巨大な槍を使うというのはただ事ではない、

 普通の力では無理だし、相当な訓練をしないと出来ない事だ。


 奴は唾を吐き捨てると、

 走り出した。


 次の瞬間、

 魔王コールが始まる。


「魔王、魔王、魔王、魔王」

「魔王、魔王、魔王」

「魔王、魔王」


 まるで手拍子の様に繰りかえされる音、

 即座にキャプテンでは手に余る事を察すると、

 僕と勇者が走り出す。


 冥王と玄武と玲子は防衛ラインを守ってもらっている。

 なぜなら防衛ラインを越えられると、それが1億でもミリーシャ王国の軍事力2万では心もとないし、なんとか七つの大罪がいたとしても危険だろう。



 魔王の槍の突撃を勇者が弾く、次に僕が真上から竜魔人の剣で振り落とす。

 勇者に盾でガードされた魔王は、僕の真上からの攻撃を視線を合わせずともすらりとよけて見せる。


 俺様は一定の距離を開けると、

 勇者と魔王が剣劇を始める。

 

 鑑定眼鏡をかける事にして、魔王の力を分析すると。


 全ステータスが20000越えであり、

 レベルは30000とされている。

 スキルは数100を超えており、もはや把握する事は不可能。


 120億体のモンスター達は、冥王と玄武と配下のモンスター達でなんとかなるとしても、

 問題はこのレベル30000を超えている化け物だ。

 チート級だと俺様自身が想っていた俺様のレベルでは叶わない事を悟る。

 

 だが今までもそうだ。レベルが圧倒的に上だろうが、

 俺様が出来る事は死に物狂いで戦う事、

 そしてその戦いがとてつもなく面白い、

 いつからだろう、あの破滅竜と戦ったあたりから、 

 死のやり取りがとても楽しく感じてきた。


 俺様は【魔剣召喚】を発動させる。

 1本の剣が異空間より召喚されると、

 左手におさまる。

 それは鑑定眼鏡で【神速の魔剣】

 という武器が出ている。

 体の筋肉が細くなって行くのを感じる。

 次に圧倒的なスピードが体からあふれ出ている事を感じる。


【前世最強】【最強武芸】【肉体強化】を発動させる。


 前世の一部の力を引き出し、

 最強の武芸を繰り出し、肉体を強化させる。しかし肉体強化は15分間の使用が可能で、30分のリキャストを待たないと再発動できない。


 両手には神仏のメリケンサックを装備しておき、

 背中には俊足神の弓がある事を確認する。



 俺様は一歩歩き出す。

 一歩ずつ歩くスピードが速くなって行く、

 それがいつしか、超越なスピードになり、

 もはや人の気配察知では認識出来ないくらい、

 人の領域を超えてしまったそのスピード、

 魔王は2本の槍を構えると、2本同時胃繰り出す。

 勇者山中は盾で1本を防ぐ、

 しかしもう1本が山中の心臓にまっすぐに落ちて行く、

 それを弾いたのが、人間を超えた。


「俺様参上~~~」


 格好をつけてみた。

 魔王はこちらを見て舌打ちしたのであった。


 勇者は後ろに下がる。

 神のスピードを手に入れた男と、

 それでも追いつく魔王の叩きが始まった。



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