第26話 やっと普通のモンスターテイムしまくり

 ミリーシャ王国に向かう前に玄武の爺から伝説魔法が発動された。


 それは地図のような物を立体的に表したもの、

 あまりにもリアルすぎる地図、

 それはもはや地図ではなくて1つの小さなフィールドになっている。

 どこにどのような人が歩いているかとか、

 沢山の情報がリアルタイムで表示されている。


「この森にいるモンスターはすごい数だな」


「そうですよ、この森はですね、ここは魔界の森と呼ばれています」


「なるほどなぁ、そこに行ってみるか」


「迂回する道を考えていましたが、修正いたしましょう、この森を突っ切る道にいたしましょう」


「頼むよ玄武、君はどうやらすごい大賢者のようだ」


「はは、それは当然です」


 実は僕の中では、その魔界の森で普通のモンスターをテイムしようとしていた。

 使い所は分からないけど、仲間を増やす事は大事な事だし、

 何よりレアらしいがゴミスライムにも友達が出来たらいいと思う、


 他のモンスター達は超人クラスで言葉を発するからなかなか打ち解けないみたいだ。

 なのかいつも僕の髪の毛の中に入って、フケなど汚いものを食べてくれている。


 それはそれで助かるのだが。


 美少女達は美女達同士で会話に盛り上がり、


 僕と玄武さんと冥王は、黙って歩き続けた。


 玄武と冥王は自然光景が意外と当たり前なようで、

 しかし七つの大罪の美少女達は、

 ずっと地下深くのゴミダンジョンにいたのだから、


 森が、平原が、岩が、川が、そして空が、雲が沢山の自然が真新しい物の様に感じているようだ。


 その度に美少女の可愛らしい声が響き渡る。


 僕は右手を上げる。


「みんなは迂回路を通ってくれ、ここから先は僕1人で行く」


 玄武が冥王が七つの大罪が心配して行くなか、

 この中で一番強いとされる僕が1人になったくらいでやられるとは思わないらしい。


「みんなはこの先の迂回路と魔界の森が繋がる所で待っていてくれ」


 全員がこくりと頷くと、

 僕は1人で歩こうとして、


「これは数時間しか持ちませんが、マップです。人差し指で空中を付き刺せば出現します」


「助かる」


「よきモンスターと出会えればいいですなぁ」


「玄武さんにはお見通しみたいですね」


「ふぉふぉ」


 僕は久しぶりに1人で歩く事になった。

 村からルンデウスの街に向かう時、独りぼっちでの移動だった。

 とても寂しかった。

 いつまで1人でいればいいのだろうと思っていた。


 そんな時あの4人と出会った。

 そして騙されてゴミダンジョンに追放された。


 それが結局はよき結果だとしても、

 僕の心はずたずたに引き裂かれた。

 人を信用出来なくなっている。


 僕の職業はモンスターテイマーで、なぜかボスクラスのモンスターをテイムしまくるという結果になりつつある。

 何よりも僕自身がどんどんと強くなっている。そのような気がするのだ。


 だから僕は冥王と玄武を仲間にした後の自分自身の鑑定が怖くて出来ないのだ。


 この森で何か学べる事があれば、

 魔王との戦争が起きる前に、

 自分自身の事を鑑定し直す必要があると思っている。


 森の中に入ると、

 太陽の光が森の葉っぱ達によって遮られ、

 所々葉っぱの隙間から日光が覗いている。


 草花も色々な薬草や毒草があったり、

 キノコが木々から生えていたり、

 本当の自然がここには広がっている。

 目の前に沢山のモンスターがこれでもかと出現しまくる。

 わっさわっさと出てくる。

 次から次へと流れ込むようにして、


【ゴブリン100体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【ノーマルスライム500体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【ロックビー100体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【ノーマルトレント300体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【グリフォン50体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【ドラゴン2体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【マンティコア50体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【死神1体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【ビッグラット1000体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【フォトンモグラ500体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】

【キラーベアー10体が眷属モンスター事仲間になりました。おめでとうございます】



 僕は唖然と周りを見ていた。

 そこには無数のモンスター達がいたのだ。

 そしてなぜ集まってきたのか、

 恐らくだけど、僕自身がレベルが上り、スキルにテイム出来るモンスターを集めるスキルが作動しっぱなしなのだろう。



 なんだか恐ろしくなる。

 モンスターボックスがあって助かったと思いつつも。


 頭からゴミスライムが落下して、

 周りを見つめている。


 そして「きゅいきぃ」


 と可愛らしい声を上げると、

 そこにいるモンスター達を統率したではないか、


 さすがは先輩としての力をゴミスライムは使っているようだ。


 なので、彼に名前を挙げる事にする。


「君は今日からキャプテンだ」


「きゅい」


 その時だった。


 ゴミスライムの体がぴかっと光出した。

 一体何が起こるのかとわくわくしながら見ていると、

 ゴミスライムが人の形を取り始める。


 そしてそこには悪ガキ少年が表れている。

 右手と左手をゴミスライムの状態にもしつつも、


 彼はどうやらゴミスライムからクリエイトゴミスライムになったようだ。

 名前の所にキャプテンと表示され、その隣にクリエイトゴミスライムとなっている。

 レベルは一桁なので、戦闘には参加させる事は出来ないだろう。


「さすがにここにいる全員に名前を付ける訳にもいかないよな」


 モンスター達はこちらを期待の眼差しで見ている。


「そうだな、キャプテン、君が見て活躍した奴がいたら教えて欲しい」


「了解したであります。マスター」


「へぇ話す事も出来るんだね」


「もちろんであります。マスター」


「なら、クリエイトゴミスライムならどのような物にクリエイトできるの?」


「なんでもは出来ませんが、ほとんどが出来ます。一度見てしまえば記憶いたしますので」


「なら僕をクリエイトしてみて」


「了解しましたマスター」


 次の瞬間、目の前には僕そっくりの少年がいた。

 背丈も何もかも同じで、瓜二つ、双子と間違われても可笑しくない、

 これなら色々と戦術を練る事が出来る。


 僕はワクワクしていた。


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