第18話 緊急クエスト

「ちょ、これどういう事ですかあああ、リュウケンさん」

「どうって言われても」


 僕は冷や汗を掻きながら困り果てる。

 まぁ考えられる可能性はあったのだろう、

 だがこのステータスは隠す方法がないしなぁ。


「レベル6000~10000ならまだ許容範囲です」


「それが許容範囲なのかい」


「問題はあなたですよリュウケンさん、レベル12000なんて聞いた事ないですよ、レベル限界突破してるじゃないですか、これは前代未聞、一体受付嬢としてどうすればいいのですか」


「んと、普通にクエストを」

「あなたはすでにSランク以上の立場になってるのですよ、ランク外、つまりあなたはランクで規定出来ない範囲に」


「へぇ、やばいねぇ」


「やばいねぇ~じゃねーわ、こちらのセリフだわ、さっきまでの雰囲気あなたがぶち壊しじゃあないですか、じゃあ彼女達のランクは?」


「七つの大罪者さんたちはSSSSSランクでなんとかなります」


「すげーな、経験もないのに」


「いえ強すぎる人が低レベルで覚える事はあるでしょう、しかし、レベル差が激しいと覚える事が限られますし、依頼人がびびります」


「ですよね~」


「ですが貴方の場合はレベル12000なので、どのランクにも当てはまりません」


「それはひどい」


「あなたがひどいのです」


「ええええええ」


「だからどうすればいいという顔ですねえぇ」


「受付嬢さんってそんなキャラでした?」


「パニックになれば乙女だって暴走するのです」


「それはご愁傷様」


「ではあなたランク外の冒険者です」


「それどゆこと?」


「だからランク外、つまり異常事態の時に出動する冒険者です。1000年前に一度いたそうです」

「いたんかい」


「まずありえない事なので、その場しのぎだったそうですが、おめでとうございますランク外冒険者です」


「は、はは、それ喜んでいいのか」


「仕方ないじゃないですか」


 7人の美少女達は話に巻き込まれるのがめんどくさいのか、テーブルに座って、ご飯を食べているようだ。お前らさっきも食っただろとは言えず。


 冒険者ギルドのシェフが本気を出して作っているのだが、7人の美少女の勢いのある食いっぷりに負けているようだ。


 受付嬢はもんもんと悩み、僕はふーむどうしたらいいだろうかあなぁ? と考えていると、

 冒険者ギルドの扉がばたんと開かれた。

 そこには全身がボロボロになった1人のおっさんがいた。


 そのおっさんは走って僕を押しのけて、受付嬢の所にやってくる。


「緊急速報だ。受付嬢ちゃん、俺は観測所のミディーだ。一刻も早く防衛線をつくれ、モンスターが暴走した。この前のゴミダンジョンで魔王が倒されたので、その魔王の力で押さえていたモンスターたちが数億という数でこの街に向かっている。どうか、速くしてくれ」


「大丈夫ですか、ミディーさん、回復系の魔法を使える人をお呼びするので」


「その必要はないわ」


 そう大きな声を発したのは、

 今まで僕の背中で眠だったベリーだった。

 

 ベリーは背中に縛ってある物を外すと、 

 地面にていっと着地する。

 彼女は祝詞のような言葉を呟く、

 次の瞬間、

 ミディーさんの怪我はみるみると回復していく、

 なんと衣服までも回復していくではない、

 後ミディーさんは髪の毛が薄かったのだが、

 髪の毛までふさふさになっている。

 


【青い焔の回復】スキルだとすぐに分かった。

 一応魔法スキルに入るのだろうかは分からなかったが。



「ふぉおおおおおおおおおおおおおおおおおお」


 ミディーさんが突如大きな声で叫び出した。

 


「髪の毛がふっさふさやんかあああああああ」


「ミディーさん事情を」


「君、ありがとう、俺の髪の毛が復活した事、末の代まで引き継がせよう」


「いえ、眠たいので」


「それはすまない、では受付嬢さん説明いたそう」


「はい、お願いします。モンスターの接近は? 後どのくらいで到達しますか?」


「ふむ、後5分だ」


「そうですか、あと5分ですか、って、嘘でしょおおおおおおお」


「嘘じゃない髪の毛だって正直には生えたじゃないか」


「髪の毛はどうでもいいでしょうが、早く避難させないと」


「ふ、だな」


「そこは格好つける意味ないでしょうがあああ、そ、そうだ。ランク外の任務があったわ」


「それ無茶ぶりいいいいいいいいい」


「あなたにお願いしたいのランク外の冒険者さん、そして七つの大罪さん達、数億のモンスター達から街を守って」


「つまり普通の人なら死んで来いって命令だけど、ここは俺様達の出番って訳だな」


 僕から俺様モードに変換すると、

 俺様はそこに決めポーズを取りながら、ふふんとばかりに歩き出す。



「てめーら俺様のすごい所ちゃんと見てな、あと邪魔だては必要ねーからな、てめーら巻き込まれたくなかったら俺様の目の前にやってくるなよ」


「彼は?」


 ミディーさんが受付嬢さんに聞いている。



「はい単なる馬鹿です」



 俺様はすってんころりんとぶっこけそうになりながらも、

 受付嬢のナイスユーモアに見とれつつ。


 扉を開けた。


「てめーらいっちょやるぜ」


 七つの大罪のメンバー達は大きな声で叫び声をあげたのであった。


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