第17話 冒険者ギルド再び

 僕は久しぶりの冒険者ギルドにワクワクしながら、

 後ろでは7人の美少女が観光旅行さながらに、

 辺りを見渡している。

 それを見逃すまいと沢山の人々が彼女達を観察していた。


 もちろん僕の背中には眠り続けている怠惰で小人族のベリーがいるわけだが、

 まず冒険者ギルドに入るなり、

 そこにいる全員がどうでもいいという風だ。

 しかし後ろから7人の美少女達が入ってくるなり、

 みんな目つきを変えて真剣に見ている。

 なんと女性の冒険者までこちらを見ている始末であった。


 僕は冒険者ギルドの受付嬢の所に到着すると。

 美人の受付嬢は真っ青になる。


「あ、あなたは、死んだはずでは? 4人の冒険者達が死亡届を出していましたが」

「ああ、あれなんですが、実は……」


 僕は何があったか簡潔に説明した。それでも30分の時間を要した。

 そこにいた冒険者達も聞き耳を立てて僕の体験した物語を聞いては、

 涙を浮かべてうんうんと頷いてくれる冒険者もいた。


「なるほど、その剣士と回復術師と魔法使いとシーフという所は分かっていて名前は分からないと、ご安心ください、リュウケン様にはお見せできませんが、彼らの名前などはこちらが把握してあります。指名手配しておきます」

「それは助かります。たぶんあの口調だと僕以外にも被害者が出ているかと」

「そうですよね、実は可笑しいと思っていたのです。あの4人が関わる新人たちが次から次へと死亡届を出されていますから」

「やはりそうですか」


「それで、ダンジョンクリア放送の件であなたは死んでいたはずだから、同姓同名だと思っていました。おめでとうございます。どんな形であれ無理矢理死なせようとダンジョンに向かわせるのは違法です。しかし攻略し七つの大罪を手懐けるモンスターテイマーになった。それは誇るべきですよ」


「あなたに褒められてとても嬉しいです」


「さて、いっそのこと七つの大罪さんも冒険者に登録しませんか?」


「ですがボスモンスターですがいいのですか?」


「モンスターだから冒険者になれないと誰が決めたのですか?」


「ふふ、そうですね、おっしゃる通りです。ちょっと待ってください」


 僕は後ろを振り返ると、

 7人の美少女達はなぜかサインを求められていた。

 今の会話で彼女達が伝説の七つの大罪だという事が判明したからだろう。


 それだけ七つの大罪というのはすごいポジションのボスモンスターだという事になる。


 ちなみに髪の毛の中にはゴミスライムが滞在しております。

 ゴミスライムは僕のフケなどを食べ放題がてら食べまくってます。

 間違って髪の毛は食べないようで。


 なぜなら数か月お風呂に入っていないので体はとても汚い状態になっている。

 ゴミスライムは見た目もゴミみたいだが、それでもゴミに対しての掃除意欲が強く、

 そこが普通のスライムとの違う点なのかもしれない。



「皆聞いてくれ」


 僕の背中にいるベリーも抱っこのようにして話を聞かせる。


「みんなは冒険者になる事が出来る。冒険者とはクエストを引き受けて、モンスターを討伐したり、モンスターの素材を集めたり、野生の薬草、または鉱石を集めたりする事があったり、防衛クエストなる物が生じたりする。そして君達はそれに参加出来る資格を得ることが出来る。さぁどうしたい?」


 七つの大罪同士で相談し合っているようだ。

 そして1人また1人と決意を固めたように。


 憤怒のサリィーが生唾を飲み込み、赤いドレスをぱんぱんと弾く。

 

「あたしは冒険者になりたい、いつまでもあのゴミダンジョンにいるボスモンスターで終わりたくなかった。こうやって知恵ある人々の世界にやって着て、あたしはもっともっと冒険がしたいわ、これはあなたが冒険者だからって訳じゃないんだからね」


「ああ、サリィー、君がツンデレという事も分かっている。そしてこれは君が決めた事だ」


「うん!」


 暴食のネメが涎を垂らしながら、


「僕はたーくさんたーくさん食べられればいいよ、だから冒険者になる」


「ネメらしくていいと思うよ」

「えへん」


 傲慢のルシュフは巨乳の胸を支えるように腕組をしてお嬢様らしく構えている。


「ふん、愚問ですわ、このわたくしに出来ない事はないのです。そして冒険者になって、人間など色々な種族にルシュフ様はここにありと示すのですわ」


「君らしい傲慢な答えでいいと思う、これからもよろしく」


「そんなの当たり前ですわ」


 嫉妬のレイディーは魚人族で水着のような衣服の為、周りの男達からの視線が強かったりする。それでもこちらの事ばかりを気に掛けて、そわそわしている所がとても可愛かったりする


「王子様が行く所どこにでも見参する為に、うちは王子様の為の冒険者になるのです。間違ってはならないのは王子様が冒険者を辞める時はうちも冒険者を辞める時なのです。はうー」


「レイディーはそれでいいと思うよ、レイディーらしくて良いじゃないか」


「そんなに褒めないでえぇええええええ」


 レイディーは真っ赤になって暴走している中、

 

 怠惰のベリーは僕に抱っこされている状態で眠たそうにしているのかと思ったら、

 意外と目をパチリとしている。


「ベル様は色々な場所を見てみたい、そして色々な場所で寝てみたい」


「ベリーそこには」

「はい、あなたが必要、ベル様をいつまでも抱きしめてくれるのはあなただけですから」


「任せろ!」

 

 強欲のゴーナはゴブリン族の美少女と言うだけに、

 沢山の見もの人達は、珍しい生き物を見るようにゴーナを見ていた。


「問題は皆さんを束ねる人が必要なのですわよねぇ、それなら、このおいらに任せてほしいので、なぜならそのための強欲なのです。全てを支配して強欲は成り立つのですわねぇ、ではよろしくお願いいたしますわねぇ」


「ああ、ゴーナにはいつも頼りにさせてもらっている」


「それがおいらの役目ですからねぇ」


 色欲のサキュラは相変わらず黒いぎりぎりのミニスカートを穿いており、

 沢山の男性陣の目線を奪って、

 ジャンプとかするもんだから、おおおおという男性諸君の叫び声が上がる。


「あちし冒険者になる。それでたっくさんの人々を助けて見せる。今までは人々を倒す役目だけど、今回は違う、なぜなーら、あなたがいるから」


「誰だ?」


「リュウケンだよおおお、ばかったれえええええ」


【はっはっは】


 その場が笑いに包まれて、

 全員が冒険者登録する事となった。

 そして僕はある事を忘れていた。

 僕たちのステータスが異常だという事に。



「きゃあああ、なにこれええええええ」


 やはり冒険者ギルドの受付嬢が、

 僕達を鑑定した結果、明らかになる化け物級の僕達に驚愕したのだろうと、

 この時ようやく気付いた。

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