ゴミダンジョンに追放された冒険者は実は前世最強~ボスモンスターばかりテイムしてしまったテイマーの物語~

MIZAWA

第1話 初めての街

 街外れの村から僕はこの街にやって着た。

 それは何の為なのか? 冒険者になる為なのだから。


 今僕の前には冒険者ギルドが立ち並んでいる。

 ゆっくりと扉を開くと、

 そこには無数の冒険者達が話し合ったり、クエストボードを見て次に何のクエストを受けるかを仲間同士で相談し合っているようだ。


 僕もいつか信頼の置ける仲間を見つけて、

 沢山の冒険をしたりしたい、


 それが僕という1人の少年物語の始まりだった。


 冒険者ギルドの受付嬢はやはり街の女性とは違って見えた。

 村の女の子たちの恥ずかしげもない笑い声が嘘のように脳裏を過っては消えて行った。


「あら、ここ初めて?」

「はい、僕は村から出てきたばかりの初めての人間です」


「あら、それはそれは、冒険者になりたいのね?」

「そうです」


「冒険者になるのはいたって簡単、あなたの手のひらを見せて欲しいわ」


「こうですか」


「その手のひらでこの板をゆっくりと押してみて」

「こうですか?」


「完了よ、あとはあなたのレベルなどが表示されるようになるのよ、あなたが元々少し強ければレベルも上かもしれないわね」


「すごく楽しみです」


「うふふ」


 黒髪のロングヘアーの受付嬢の魅力に負けないようにびくびくしながら、椅子で座っている。


 すると呼ばれたので、僕はそこに向かった。

 そして1枚の紙を渡されたのだ。


――――――――――――――――――

名前リュウケン

職業:???

サブ職業:冒険者

レベル5

攻撃力1

防御力3

素早さ5

器用さ2

知力 3


スキル???

――――――――――――――――――


「まずは、サブ職業として冒険者が登録されます。それと基本的に冒険者職業はサブと認定されますので、ただ不思議なのは職業が表示されない事です。スキルもです。今まで鑑定を頼んだ事はありますか?」


「いえありません、今日が初めての自分自身のステータス表です」

「なるほどねぇ、これは冒険者の皆さんに提案している事なのですけど、定期的に鑑定をしたほうがいいでしょう、この冒険者ギルドを使用していただけると嬉しいわ」


「それはぜひ受けにきます」


「ではあなたのランクはGランクからスタートです。基本的にスライムの討伐、薬草採集、ラットの退治など、すごくシンプルなクエストばかりです。また何かありましたらいつでも来てください」


「何から何までありがとうございます」


 僕は冒険者になりたててありながら、

 謎の職業と謎のスキルを持っている事が判明したのだが。


 僕はクエストボードに向かった。

 そこには沢山のクエストの紙が飾られており、

 一番端っこがGランクのクエストボードであった。


 そこには誰もいなかったのだが、

 行くに行けず、考えていると、


「おい、そこの君一緒に冒険しないか?」


 それが誘いであり、

 それが僕の運命を変えた者だ。


 あまりにも弱い自分を変える為、

 その仲間達と一緒に冒険して、先輩冒険差として色々と教えてもらうつもりだったのが間違いだった。

 そのあと僕は4人の仲間達に身包み剥がされてゴミダンジョンに叩き落されたのだから、

 要はゴミダンジョンに強制追放みたいな物だった。

 今僕はパンツとシャツ一枚だけになり、

 この時の為にブロードソードを購入していたのだが、それすらも取り上げられた。


 僕は無一文になり、


 崖の上からこちらを見てあざ笑っている元仲間達がいた。



「騙される方がわりーんだ。おめーは雑魚だな」

「きゃっきゃ、そこで朽ち果てて死ぬんだよ」

「ゴミダンジョンに入る事をお勧めするよ、それでも死ぬがな」

「これだから新人潰しは楽しいぜ」


 4人の腐った仲間達はこちらを見下し笑っている。


 僕は初めて、人生で経験のした事がない気持ちを味わっていた。

 全身がゴミで汚れてしまっている。

 どろどろの物があったり、家具が溶けていたり、


 色々な事が脳裏をよぎる。

 冷たい肌を刺激するかのように飛び跳ねる泥。

 歩けど歩けど周りはゴミだらけ、

 ゴールなんてない、

 ここから這い上ろう、

 崖を登ろうとするも、ドロドロとそのまま墜落して、後ろにバウンドして頭をぶつけて気絶していた。


 すると雨がぽつりぽつりと降り始めた。

 まるで泥の滝に残されたような、

 滝の中1人でがんばれと言われた気持ちになる。


 そしてその扉を見つけた。

 恐る恐る入ると、

 そこはダンジョンそのもの、


 ゴミダンジョンのはず、


 ゴミダンジョンは聞いた事がある。

 沢山のゴミを収容するダンジョンと呼ばれており、

 最上階から地下99階層までがゴミ置き場として利用されている。


 その100階層から先へは誰も行った事がない、

 行った所で特別なアイテムがある訳でもないし、

 そうみんなは思っている。

 

 それに誰しもが汚い道を通りたくないのだから。


 僕はゆっくりと扉を開けてから閉めて中にのそりのそりと歩く、

 すると目の前をミノタウロスが歩いている。


 あとモンスターは直視すると、名前とレベルが表示される。

 ステータスが見たいならそれなりのスキルを覚える必要がある。

 それこそ冒険者ギルドで出来るとされる鑑定のようなスキルをだ。


 巨大なミノタウロスを直視していると、

 レベルが表示される。

 レベルは100というありえないバケモンだった。

 僕があそこにいけば即死間違いなしだった。


 ゆっくりと歩き、次は別な通路に出る。

 そこにはスライムがいた。

 それくらいなら倒せるだろうと高をくくった。そもそも僕には武器がないという事を忘れていた。

 名前を直視すると。


 ゴミスライム:レベル120


 何気にさっきのミノタウロスより強かったので、後ろに後退、

 後ろからはリザードマンが表れる。

 前に行けばミノタウロス、横にいけばスライム、後ろに行けばリザードマン、

 積んだ。


 その時僕の脳裏に死が踊っていた。

 こちらに手を差し出して一緒に死にましょうと告げられている。


 そんな気がしたんだ。


 その時扉があった。

 厳重に重たい扉をゆっくりと開くと、

 その不思議な広い空間に出た。


 透き通った湖があった。

 まるでダンジョンの中にある休憩所のような場所だった。


 ゆっくりとそこに顔を近づける、

 水があった。

 その水で体を洗おうとしたら、 

 水面に何かとてつもなく恐ろしいドラゴンが映った。

 僕はゆっくりと後ろを振り向くと、


 そのまま気絶した瞬間、何かが頭の中でスイッチを押されたのだ。


 【さぁ飛び発てモンスター】とその時確かに聞こえたのだ。



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