第二話


【選択可能スキル:以下から一つ選択


 ・基礎能力強化 (身体の基礎的な能力を一時的に強化する)


 ・暗殺術 (暗殺に対する造詣が深まり、短剣術や気配遮断、隠密の技術が高まる)


 ・反転 (選択した事象を反転させる。1度のみ使用可能)】


 目の前に表示される3つの選択肢。取り敢えず一つ一つのスキルについて考えていこう。


 まず『基礎能力強化』だけど、これは生体情報の値――面倒だから『ステータス』と呼ぼう――を上昇させるものだろう。レベルの存在があったらステータスの上げ方も予想がつくがそれが無い今は分からない。だから優先度が高いスキルと言える。


 次に『暗殺術』。これは俺に適したスキルだと思う。ゴブリンを倒すときも暗殺したし、普通に考えるならこれを取るべきかもしれない。


 そして『反転』。この選択肢が『暗殺術』を取得させるかを悩ませる。恐らくだがこれを『器用貧乏』に使用すると『一点特化』のようなものに変化させる、そんなスキルだろう。


 これからも魔物と戦うことになったらある一つに特化した方が戦いやすいと思う。だからこのスキルも選びたい。



「…よし、『反転』を取得する」


さらに少しだけ考えて、明確な意志を込めた言葉を発する。


【特別報酬――スキル『反転』を取得しました】


 スキルの取得を知らせる声が聞こえた。とりあえず生体情報の確認を、



生体情報


名前:柳田 龍時

職業:学生

HP:76

MP:50

ATK:64

SPD:65


スキル

・器用貧乏 ・体術 ・気配遮断 ・隠密 ・隠蔽 ・反転



「『反転』が追加されているのは当然として、ステータスが上がっているのは何故だ」


 そう、何故かHPとATKの値が合わせて5上昇している。


「俺が倒したゴブリンの数と同じだけど、関係しているのか…?」


 まあ今考えても分からない。最初から考えていた通りに『反転』を使うことにするが、ある一つの考えが頭に浮かんだ。



「もし『器用貧乏』に使用するのではなくて、その中の『貧乏』という単語だけに使用したらどうなるんだ…?」


 もしだ、俺の考えが正しければ凄いことになるのではないだろうか。取り敢えず使ってみるか。



「スキル『反転』を使用」


 スキルを使用するために生体情報を表示しながら声を発する。


【スキル『反転』の使用を確認――対象を選択してください】


 そして俺は、自分が持つスキルの一つ『器用貧乏』の「貧乏」という単語を選択した。


【対象を確認――実行完了】


【『反転』の効果により『器用貧乏』が『器用富豪』に変化しました】


【スキル『反転』の使用回数が尽きたためスキルが消去されました】



「まじか、本当に成功するとはな」


 名前の通りの効果なら『器用富豪』は強力なスキルだと思う。取り敢えず確認してみるけど。

 スキルの確認のために『器用富豪』という文字に指で触れた。


ピロン


【器用富豪 ・ ・ ・ あらゆる技術に対し、達人以上の才能を得る。】



「まさかここまでの効果とは…嬉しい誤差ってやつか」


 そうだな、ちょっとゲームでもしてみるか。男子高校生たるもの嗜みにゲームくらいはするものだ。


―――数十分ほどレーシングゲームをプレイし続けた。


「こんなにも簡単に優勝できるとは」


 そう、当たり前だがあらゆる技術ってのにはゲームプレイ技術も含まれていたようだ。それもプロ並みの技術である。

 今日はもう寝るとして、明日から何をしようか。


「そうだな…ネットで情報を集めて、世界に設置されたという『迷宮』って場所に行ってみるか」


じゃあ、おやすみ。

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