第7話 プレイ解禁

頭から漂白剤を浴びたかのように肌の色が白くなる。


「今日から我が校へ転校してきた、シグマさんだ。では、自己紹介して。」


憧れの先生が俺の空気嫁に普通に話しかけてる。

少し興奮する。


「はじめまして。東京の高校から転校してきました。シグマです。よろしくお願いします。」


俺の空気嫁が同い年のクラスメイトの前で普通に自己紹介してる。

俺の空気嫁じゃなかったら大笑いしてた。


「な、なんて美しんだ。。い、いや、待て。俺には美幸ちゃんが。。」

「決めた。告白しよう。」

パシャシャシャシャ!!

「お、おい!!シグマさんの写真、俺にもよこせ!!」


知能指数の低いクラスの猿どもが、俺の空気嫁に欲情してる。。


「ちょっと天沢さんに似てるわね~」

「でも、天沢さんとは、ちょっと違う美人かも」

「天沢さんのライバルね。」


話し好きな女たちが沸き立つ。


「あれ。。バレてない。。」


なんで、こいつらシグマが空気嫁だって気がつかないんだ。。

見た目や中身は人間だが、同じように空気嫁作成をしているであろう、

男子高校生なら空気嫁だと見抜けないのは不自然だ。。


「じゃあ、シグマさんは鈴木の隣の席に座りなさい。」

「はい!」

「え!?」


空気嫁が俺の方へ近づいてくる。。

やばい。動揺を隠せない。

来る!来る!キターーー!!

俺の膝の上にーーーーーーー!!!


「お、おいーー!!!」

「何!?」

「いや、俺の上じゃなくて!隣の席に座れよ!!」

「あ。そうなんだ。」


ざわざわざわ。。


「お、おい今絶世の美女が鈴木の上に。。」

「え!?もしかして、鈴木くんの恋人なのかな??」

「なにーーー!!あんなグラマラスな人が鈴木の恋人だぁーー!?」


瞬く間に噂が膨らんで広まっていく。

無論。俺のパンツも同じように膨らんだ。


「あの鈴木くんがーーー!?」

「ん?鈴木って誰だ?」

「え~!鈴木くんって美幸が好きなんだと思ってた~」


隣のクラスまで騒ぎ始めた。

これは放課後には全生徒に知れ渡るんじゃないだろうか。。


「おめー…天沢が好きなんじゃなかったのかよ…裏切りもんがーーーーー!!!」

「お、お前落ち着けって!!シグマさんと俺は、なんの関係性もない!!シグマさんは、ちょっと緊張してただけだ!!」

「そうなんですか!?シグマさん!?」

クラス中の視線がシグマに集まる。

頼む!!俺との関係性はないことにしてくれ!!

「スズキーノ。天沢と美幸ってどの人?」

少し眉間にシワを寄せたシグマは、俺と山田の会話を根底から無視した一言を放った。

「スズキーノ?…え?あだ名!?」

「あだ名で呼びあっている仲だ!」

「おいおい。じゃあ、さっきの鈴木の発言は嘘か…」

「あだ名きもっ…」

シグマの発言から初めて会ったわけじゃないとバレた。

それだけではなく、俺のさっきの発言が嘘とバレて、関係性を隠そうとしていることの証明となった。

「天沢さんは、すすぎの好きな人で!美幸ちゃんはすすぎの幼なじみだ!!」

「お、お前!!なんてことを!?」

「そうなんだ…じゃあ、私と少し同じかも。だって、私はスズキーノの幼なじみで義理の妹でバッチバチの空気…」

「ゲホッ!!!ゲホッ!!!」

「…だからね!」

咳で誤魔化したが、シグマの基本設定のせいで、危なく俺の空気嫁とバレるところだった。


「その表情を見て確信した!!シグマさんは、すすぎのことが好きなんだな!?」

「ま、まぁ…ね。」

恥ずかしそうだが、俺の目を見てそう言う。

か、可愛い…

「このクラス中全員が思ってることを言うぞ。

あまりにもシグマさんとすすぎは不釣り合いだ。全然お似合いじゃない…」


…まぁ、そうだろうな。

自分で作った空気嫁でなければ、俺みたいな凡人を、こんな完璧な美女が好きになることなんてあるはずがない。。


「…じゃあさ、釣り合うようになればいいんでしょ??」

「ん?」

「え?」

「シグマさん。それは天地がひっくり返ったって無理だよ?」

「やってみなきゃわかんないじゃない!!

 絶対スズキーノに釣り合う女になってみせる!!」

「え?何を言って…」


シュッババババババ!!


シグマが自動車と並走するほどの足を惜しみなく使い教室から出て行く。


「シグマさんがすすぎの階級に落ちるなんて!!ドブにエロDVD放り込むようなもんだぞ!!!」

「誰がドブだ!」

「シグマさんをエロDVD扱いするな!!」

「お前が言ったんだろうが!!」


空気嫁の初登校は1時間ほどで終わった。

恥ずかしくて、天沢さんを見ることができない。。


帰ったらシグマの緊急停止プログラムを、どうにかして起動させよう。

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