第4話 SNS

 裏アカウントで本音を呟き続ける美月、それを見つけた叶奈。

 叶奈はこのまま黙っているか、本人に云った方がいいのか。

 そういう所か。


「叶奈ちゃんの力になるのか? お前が好きそうな感じだもんな」パールが寝転びながら云った。

 部屋に居る時、パールは元の姿に戻れる。サイズは小さいが。

 部屋というか、空中に空間を作った。

 部屋の中は好きな家具を置ける。紅茶も飲める。

 しかし人間界では存在していない事になるので、飛行機などはぶつからない。


 僕はしばらく、タブレットで二人を眺めていた。


「興味が沸いた」僕は岩田美月に近づく事にした。

「美月の方? 意外だなー」ポテトチップスを食べながらパールは云った。


 しかしどうやって近づこうか。

 いきなり姿を現すより、SNSを使おう。

 現代の人間はSNSが重要らしいから。

 

 僕は岩田美月のSNSに書き込みをした。

 岩田美月の好きなアニメと同じファンという設定だ。

 アニメは実際に見た。先ほど二十倍速で全話を見た。


 今日の放送はどうなるかとか、あの声優が好きだとか、徐々に話題を振った。

 踏み込みすぎないように。

 アニメの世界に入り切って妄想話をするのが一番盛り上がった。


 岩田美月にとって僕は、仕事や人間関係のストレスを癒す相手、といった所か。

 岩田美月の心は僕に傾いてきた。

 

「そろそろか」二週間ほど経った頃、僕は岩田美月にメッセージを送った。

 

 内容は『良かったらお会いしませんか』といった所だ。

 TL上だと他の人の目もあるし、出会い系だと思われて通報されてもいけない。

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