第3話 橋本叶奈

 次は黒髪の女の子。

 橋本叶奈かな、二十七歳。恋人まではいかないがボーイフレンドがいる。

 美月の友達。


―橋本叶奈の心―

 私はアニメと漫画が好き。時々作品の世界と現実世界の区別がつかなくなる位にのめり込む。

 本当は自分でも漫画を描いてみたいけれども絵が描けないので、会社員をしてオタク活動の資金稼ぎをしている。

 

 空き時間はSNSで好きなアニメ作品の単語検索をしている。

 色んな意見が面白いし、新しい情報も知れるから。

 

 いつだったか、同じ県の人を発見した。

 同じ県で同じアニメが好きだなんて、何処かですれ違ってたりして。

 そんな軽い気持ちで見ていた。


 けれども、何だか引っかかる。

「この呟き方……誰かに似ている?」

 気になったので、そのアカウントを毎日チェックしていた。

 

 ある日、そのアカウントに自撮り写真がアップされた。

 顔は隠されていたが、ファッションを見て美月だと気付いた。

 この間私と行ったカフェのスイーツの写真もアップされていた。


 新しいアカウントなんて、SNSでお知らせしてないよね?

 TLを遡ると、友人の結婚・妊娠報告が辛いと綴っていた。

 私だと思われる『友人のガチヲタが羨ましい』とも書かれていた。


 プロフィールを読むと【本音アカウント】と書かれていた。

 本音を盗み見ている罪悪感と、本人に云い出せないもやもや……。

 けれども心配でTLを見てしまう。

 何も出来ないまま、毎日が過ぎてゆく。


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