読むべきとは言わないけれど、このままでいいの?

 ここでは最近流行りの異世界モノについて、作者の忌憚ない意見が述べられています。有り体に言えば、警鐘が投げかけられていると言えるでしょう。
 先に申し上げておけば、私は異世界モノが大好きです。なぜならある程度のフォーマットを基に、作者が独自な設定やキャラクターを演出しやすくなっているため物語をつくりやすくなっているから。そのためランキングでは回転率の恐ろしく早い様々なアイディアが、蟲毒の壺とはかくやといった具合に溢れかえっています。
 アイディアが面白ければ数話しか投稿してなくても驚くほどファンがつく。そのことが現在のラノベ業界を表しているいるのでしょう。
 ですがそれによって見落とされることがあることも、物書きとして頭に入れておくべきです。このお話では設定や情景描写などさまざまなテーマで、物書きとして考えるべきことをわかりやすく投げかけています。私はとくに8~9章の状況・情景描写の書き方を見て、もっと勉強せねばと反省しました。
 文字は私たち人間の考え方や生き方、人格などを構成する大切なものだと考えています。だからそれを扱う私たちは、そのことに畏れを抱きつつ神妙に接していかなければならないのでしょう。そのことを改めて考えさせてくれました。

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