第4話 ロイヤルロード

 川から出て街を探していた。


 雨も降っていなくて最高に晴れていたから傘なんていらなかった。


 しばらく歩いて街がどこにあるか分からないから一度花畑に戻ろうと思って森の中へ入ったがよく考えてみると花畑がどこにあるかも分からないのだから完全に道に迷ってしまった。


 最高に晴れていたのに日も暮れてきて森の中も薄暗くなってきたからここで寝ようかなと思った。

 よくよく考えればちゃんと寝るのはここに来て初めての体験かもしれない。

 いつも死んでいたから。

 まぁ、大差はないけど。


 じゃあ寝ようと思ってゴロンと横になったのだけど何だか周りが明るくなった。

 どうも近くの花や虫が光っているみたいだ。

 

 虫はゲンジホタルみたいなものだと思ったけど光る花を見るのは初めてだから興奮した。

 光の色だって信号機みたいに三色だけじゃなくて、色とりどりでダンスするには持ってこいだった。

 一通り踊ったあと、サフィニアにプレゼントしようと光る花を一輪引き抜いたのだけど、どうもそれが駄目だったらしく光が消えてしまった。

 

 何だか悲しい気持ちになってその花を地面に埋めた。

 やっぱりサフィニアが悪いなと思って怒りを覚えて地面を殴った。


 光る花はルシフェラーゼと名付けた。


 暗くないと眠れないからどこか別の場所へ移ろうと思ったのだけど光る虫が付いてくる。

 鞄から虫取り網を取り出そうと思ったけどワンピースを着ていたから出来なかった。

 鞄から取り出せる物は一日一個だけだ。

 

 そういえば一日が何時間か分からないけど、まだ一日過ぎてないんだなと思った。

 槍の男には心臓を一突きされただけだから再生も早かったんだ。


 結局、歩いたり走ったり早歩きしたりしたけど光る虫は振り払えなかった。

 とんだストーカー虫だ。

 そんな風にしながら森を奥へ奥へと進む内に妙な場所に出た。


 森の中にできたミステリーサークルみたいにそこだけ木々は覆い茂っていなくて、真ん中に大きな樹が一本王様にみたいにそびえている。


「王様はいますか!」と叫んでみたけど返事はなかった。


 その大きな樹には割れ目があって奥を覗くと暗かったから、しめしめと思って先へ進んだ。

 ラッキーなことに光る虫も付いてこなかったからここで寝ようかなと思ったのだけど、どんどん先へ進めるものだから楽しくなって歩いているとまるで宇宙を歩いているかのようにどこに向かっているのか分からなくなった。


 それでも適当に歩いていると何だか奥の方から光が見える。

 これは不味いと思って引き返してゴロンと横になって眠った。


 その日は夢を見なかったから死んだのかなと思ったけど目が覚めたので生きていた。


 とにかく服を着ていないと槍の男に刺殺されるから鞄を叩いてワンピースを取り出した。

 ワンピースの色は白色がいい。


 それからサフィニアに会うために花畑を目指したかったけど、どこにあるか分からなかったので眠る前に見た光の方へ歩いてみるとやっぱり奥の方で何か光っている。


 光の方へ出てみると小さな庭と小さな家があって、おまけに小さな女の子がいたけど、それはサフィニアではなかった。

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