3話目

意識が戻らないままの

彼女の名前がアーリア・ラスと

決まってすぐのこと

この当たりの集落から来た人ではない

この辺りにはない格好をした人が

2人洞穴を訪ねてきた


どうやらこの辺りで少女が

ある国の兵士たちに追われおり

その後行方不明となっていたと聞かされた


ネスタミア、フヤ、ミツの3人とも

謎の感により

洞穴で眠るアーリアのことは

一切口にもせず

その人らに見せることもしなかった


「フヤ、ネスタミア様

あの人たちのことどう思いますか?」


「なんか、いかにも怪しいって感じだったな」


「うんうん、なんて言うか…怪しさ全開!」


「それに聞いてる限りじゃ

ソイツらの出処の国も分からねぇし

ありゃどこの国のもんだ?」


「んー?ネス様はあの二人が

どうして国から来た人たちだと?」


「ネス様って…いやいいんだけどよ」


「えぇ、そう呼びます!だってネスタミアって

長いんだもん」


「また、そういう呼び方をして!」


「あー、あー、うるさいよーミツー

うるさい人はモテないよぉ〜?」


「なっ!そ、そそそ、そんなこと

今ここで関係あるわけないじゃないですか!

どうしてそうやっていつもいつもいつも!

全く、あなたという人は………………」

((以下略))


「あー、また始まった

ミツのお説教、これ始まると長いんですよ…

なのでいつも耳を塞ぐか

こっそりにげだすんですよ

ネス様ちょっと川で魚でも獲るのどう?」


「いや、これは聞いといた

方がいいんじゃねぇの?

これ今聞かなかったら

後で長くなっちまいそうな勢いだぞ?」


「あ…確かに……仕方ないのでここは

大人しく聞くことにする…」


「ちょっとお二人共!

さっきから私が話しているのに

ずーーーーーーーーーっと話しているなんて!

今は!話しているのですよ!

聞いてるんですか!ちょっとそこに

お座りください!

いいですか?お二人共、あなた達ったらも………」

((以下略))


「………なぁ、ミツ……」


「なんでしょうネス様、」


「やっぱりさぁ…」


「あ、分かりましたよ?

言いたいことわかっちゃいますよ?」


「あー、やっぱり分かっちゃう?」


「当たり前でしょう?

よし、ここはせーので言いましょう

いきますよ?

せーのっ」


『ちょっと魚でも捕りに行こう!!』


「あ!ちょっと!待てやゴラ…

お待ちなさーい!!!!」


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5分後

帰ってみると


「いやー、大漁だったな!

あれほど捕れるとは思わなかったわ!」


「えぇ!大漁大漁!最高ですね!

ほら見てよミツ!こんなに捕れたよ!

ほらほらほらほらぁ!

……おーい、ミツ?……ミツさ〜ん?」


「………」


「ほら、ミツ見てみろよこれ!

これなんか大当たりじゃねぇか?

このデカさ!この脂のノリよう!

そしてなんてたってそのでけぇのが

まだいるんだわ!

アッハハハハハハ、ハハハハハ……」


「お二人共…そこに座ってくださいます?」


『いやいやこれを見…』


「そ こ へ 座 れ 」


『ハイ、かしこまりました!』


それはそれは

恐ろしい顔をしたミツがそこにいましたとさ


その後彼らはミツに

3時間しっかり怒られたとな


----------------------------------------------------------------------

その頃、とある国にて


「では、そこに寝そべっている兵士とも呼べん

ゴミクズ共の処刑を行う、意義はないな?

それとも何かいいわけでもあるか?クズ共」


と、その言葉の後

拘束具を付けられ

座らされていた

兵士の1人が口を開く


「どうか、もう一度だけ、

もう一度だけでもチャンスをお与えください!」


それに便乗し、他の兵士も次々と口を開く


「どうか今回はご容赦を!」


「次こそは必ず連れて戻ります!」


「命だけでもお助け下さい!」


そんな声が広い処刑台に響き渡る


そんな願いを


『黙レ』


1人の声が容赦なく叩き潰す


たった3文字の言葉を発した

それだけで場は静まり返る


座る兵士の祈りも願いもなにもかも

一瞬で打ち砕く


ただデカい声ではなく

物理的に空気が一気に重くなる


死刑執行人も死刑場にいた観客も

見張りの兵士もその場にいない

その国の民たちですら

その瞬間、重石に潰されかける感覚を味わった


『もう良いココで死ね』


ただその一言で兵士たちの結末が決定した


1人目が無理やり立たされ柱に括り付けられる


地面から伸びてきた槍が

肛門に刺さり

ゆっくりと上へ上へ上がってゆく

痛み苦しむ声が無惨に辺りに響く


やがて口から臓器や血の付く槍が姿を見せる

もはや声も出せず苦しむのみ

すぐには死ねず

槍がこれ以上体を貫かぬように上を見る


広く果てしない大空を見る


痛みを耐えようと足を動かす

無様に揺らす

すると、その揺れで

唾液が、血液が、涙が辺りに飛び散る




その後1人、もう1人と始まってゆく

声も出ぬ故に

響くは鎖の音、臓器を貫く音

足が地面を蹴飛ばす音


鳥のように空を飛ぶ自由だけを求めた


それ以上は何もない


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とある国の使者が

ネスタミア、ミツ、フヤと接触して

すぐの事


別の国の兵士に追われ

姿を消した少女についての

情報を集めるために


辺りの集落にて聞き込みをしていた


だが一向に情報は入ってこず

目撃者すらいない


このまま成果なしに帰れば

殺されるやもしれない


そう思った2人

モナガとヒナガは

話し合いの末

もう一度先程の洞穴にいた3人に

話を聞くことにした


どうしても何かを隠しているような気がしたのだ


3人の態度からも怪しさが少し出ていた


話を聞いている時に

視線を洞穴に移そうとした時に

大きい男がその視線を必ず塞ぐ


洞穴の中について

聞いた時は

瞬時に2人の女が話題を逸らした


どう考えても怪しいので

2人は洞穴に潜入することに決めた



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モナガとヒナガが潜入を決め

動き始めた頃


洞穴ではフヤとミツが出払っていた


ネスタミアは洞穴の中で

先程捕ってきた魚の保存のための下処理をしていた


「おい、どうするよ、あの男あれじゃ

出てこねぇよ」


最初にヒナガが口を開く


続けてモナガが口を開く


「なにか外に出なきゃならない口実を

作らないといけないわね」


考えた末

モナガが爆発を起こした


案の定それに誘われるように

ネスタミアは外へ出てきた


外へ出したら

爆発を徐々に遠くへずらしてゆく


そうしただけで

簡単に洞穴から爆発音のする方へ

誘導ができた


その間にヒナガが洞穴の中へ


奥へ行くと

ひとつベットがあり

その上に少女が寝かされていた


「ッ!」


その少女の顔を見て

ヒナガは驚き、その後すぐ笑みを漏らした


各国が戦力を回して

回収しようとしていたものが

自分の目の前にあったのだ


当然のこの場で強引にでも連れて帰れれば

出世間違いなしなのだが

今日は引くことにした


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その頃、爆発を起こしているモナガは

驚愕していた


爆発を起こす仕掛けは

決して敵にバレないようにしてあるのに

全て壊された、その上こちらのいる場所まで

特定された


逃げ出そうと思った次の瞬間


「おいてめぇ、何のつもりだ?」


後ろにいた

「ヒッ!」


「んなビビるこたァねぇだろう

森ん中でボンボンボンボンやりやがって

何処の国の人間だ?」


「あなたにそれを教える義理も理由もないわ

だいたい今どき自分の出身国なんて

べらべら話すバカなやつなんていないのよ。

ちょっとはその辺、勉強したほうがよくってよ?」


「てめぇ何が目的だ、

なんの為にここまで連れ出した」


「はぁ…あなたって信じらんないほど馬鹿ね!

話すわけがないって言ってんでしょうがっ……」


言い終わる前に首を掴まれ絞められる


「そうか、ならここで死ね。」


一気に首を絞める力が強くなる

首をへし折る気満々だった


「ァッ!ガッ!……」

(これは死んだわね)


意識が飛びかけた時

ネスタミアの背後から

鋭く尖った鉄の棒が首を目掛けて飛んできた


ヒナガの投擲

狙いはネスタミアを仕留めるか

モナガを助けること


欲を言えば前者が1番なのだが


ネスタミアに投げた結果はそのどちらでもなかった


投擲された鉄の棒は

絞めあげていたモナガの首を貫通し

絶命させた


「わかり易すぎる奇襲たぁ、テメェ

いい度胸してんな、それとも

俺の事を舐めてんのか?」


「外したか……ッ!………

どうして…モナガが首から血を流している……」


何故その事を知らなかったのか

投げてすぐ

外れた時のことをカバーするために

投擲結果を確認せず

別の場所に身を隠したからである


「ァ…ア……ァァァ!何故!

モナガは動かない!何故だ!」


「んなこたぁ見ればわかんだろ、

お前さんの投げた鉄の棒が首に刺さってっからだ

あとはお前が死ねば今回の件は解決だ。」


「ふ、ふざけるな!そんなこッ……!」


途中まで喋ったヒナガは

首を飛ばされ、そこで人生を終わらせた。


「ベラベラとうるせぇ、いいから死んでろ」


この場で2人を殺したネスタミアからは

いつもの陽気さやふざけたノリもなく


酷く濁った復讐者の目をしていた


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おキロ、交代だ…


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気がつけば

森の中で突っ立っていた


どうしてここにいるのかを思い出せない

しかし

狩りをしに来た訳では無いことはハッキリしていた






目の前には

《《少し前に、この辺りで行方不明となった

少女の話を聞きに来た》》

2人が


惨たらしく死んでいた



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