第7話


緊張の糸が一気に緩み、思わずふらつくシュトュル。

「シュトュル様っ!大丈夫ですか?」

咄嗟に支えるのはレイディエ殿下の従者、ディフェンだ。

「だ、大丈夫です。ちょっと立ちくらみしただけですので…あの、自宅に帰りたいのですが…」

「わかりました。では、こちらへどうぞ…」

ディフェンにエスコートされ、馬車に乗る。

自宅に到着するまで時間があるので、シュトュルさっそく、レヴィアタンに話しかける事にした。

(レヴィアタン、私を操って、嘘、言わせたわよね…?)

シュトュルがそっと聞けば、直ぐに返事があった。

(えぇ。なかなか面白い物が見れたわぁ。とっても可愛かったわよ?あたしのお人形さん?)

レヴィアタンは心底嬉しそうに言う。

(それと、貴方に操られている間、全身が痛くてしょうがないんだけど…)

(あぁ…悪いけど、我慢してね)

(それと…私の名前、シュトュル・シュトロー…)

(シュトュル・シュトロームよね。何?名前で呼べって?いいわよ、でも、『シュトュル』って呼ぶの呼びにくいにしシュトーって呼ぶわね)

シュトュルの言葉を途中で遮り、シュトュルを愛称呼びにするレヴィアタン。

一瞬、愛称呼びはどうかと言おうかと思ったが、レヴィアタンに聞いてもらえなさそうなので諦めるシュトュル。

(そういえば、レヴィアタン。レイディエ殿下についた嘘…あれじゃあ、私と殿下の…その、仲をふ、深めてるじゃない?あれだと、恋を壊す目的から遠ざかってるじゃない。レヴィアタン、一体、何がしたいの?)

(…何でもいいから嘘をつけばいいって訳じゃないのよ。それに、普通に恋を壊すなんてもう、飽き飽きだわ!)

(え?じゃあ…)

ここで、レヴィアタンはシュトュルの言葉を遮る。


(貴方達が幸せ絶頂の時に、一気に破壊するのよ!)


「シュトュル様、ご自宅に到着しました」

ディフェンの言葉など、右から左へと流れた。

歌う様な、叫んだ様なレヴィアタンのあの言葉がシュトュルの耳から離れなかった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る