第3話

「れ、レヴィアタンが、私に取りついてる…」

(そうよ?これから貴方はあたしの思い通りに動いてもらうわよ!ふふふ、そんなに体を固くしなくてもいいわよ。貴方は、あたしにすべてを委ねていればいいわ…さぁ、さっそくあたしの言う通りに動いてもらうわ。まず、家に帰りなさい)

「い、家?」

(貴方、まだ、気がついてないの?さっきまで貴方、海の中にいたのよ!その美しい髪もドレスもずぶ濡れなのよ?そのままでは風邪になっちゃうじゃない!)

レヴィアタンの言う通り、シュトュルの髪もドレスもベタベタで、肌に張り付く。それに砂浜で寝ていた時もあったので砂だらけにもなっている。

シュトュルはレヴィアタンの言う通り、家に帰ることにした。

みすぼらしい格好なので、人目の少ない道を通って…


家に着くと、メイドたちと、従者たちにこっぴどく叱られた。

何故、勝手に従者をつけず出かけたのか、何故、こんなにずぶ濡れなのか。

(だって、死ぬつもりだったんだもの…)

そんな事は口が裂けても言えないシュトュルは、ひとまず謝り、ずぶ濡れの件に関しては、ごちゃごちゃと口を濁している間にメイドたちが用意した湯浴み突っ込まれ、メイドたちの説教を聞きながら髪や体を洗われた。そして、そのまま自室に連れてかれる。

「お嬢様、しっかりお休み下さい。何かありましたら、私は外に控えていますので、いつでもお呼び下さい…勝手に外に出ては行けませんよ?」

「わ、わかりました…本当にごめんなさい。」

シュトュルがそう言えばメイドはふっと微笑んだ。

「お嬢様が無事、帰ってきて安心しました」

メイドはそう、一言いうと、頭を下げ部屋から出ていった。

シュトュルはベッドに座る。

「レヴィアタン…?」

(なぁに?綺麗になったあたしのお人形さん?)

シュトュルが名前を呼べば返事が来る。やっぱり、夢でも何でもなく、レヴィアタンはシュトュルに取りついている。

「ありがとう…貴方のお陰で風邪にならなくてすみそうだわ」

(別に?あたしは家に帰れって言っただけだわ)

シュトュルはなんだか眠たくなってきた。

「レヴィアタン、私、少し寝てもいいかしら…」

(いいわよ。しっかり休息しなさい。また、あたしの思い通りに動いてもらうから)

「…おやすみなさい、レヴィアタン」

シュトュルは横になり、瞼を閉じる。


(そう言えば、レヴィアタンの童話…昔、お母様が読んでくれた様な…明日、調べようかな…)

シュトュルは、そんな事を考えながら眠りについた。

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