第3話 セリド・マーセル


ラルスとの結婚から約1年半…


「おめでとう…カトラ。」

「ありがとう、ラルス…ついに私達の子供が生まれたのよ。」

白い毛布に包まれながら、その小さな命は私の腕の中で眠っている。この子の名はセリド…亡き父と同じ名前をつけようとラルスが提案した名前だった。

「大きくなったらどっちに似るかな?女の子だからカトラ似か?」

「意外と表情とかはラルスに似るかもしれないね。」

「そうか?それじゃあいつしか周りから「お父さんと似てる」とか言われちまうな!」

生まれてきてくれてありがとうセリド…マーセル家へようこそ!





「お母さん、それって何?」

「それはね…お母さんと同じ髪型にするのはどうかなーって。」

「お母さんと同じ髪型かぁ…」

この子が生まれてから一度も親子で同じ髪型とかをしたことがなかった。だから、この機会に同じにしてみないかと話を持ちかけてみたのだ。

「お母さんと同じにするよ。いつも動きやすいように一つ結びにしてるけど、玉にはそういうのも良いかなーなんて…」

「ふふ…嬉しいわセリド。それじゃあお母さんと同じにするね。」


ー数十分後ー


「はい出来上がり。」

少し切った髪に緩やかなウェーブをかけて私と同じようにした。これで少しはイメチェン出来てると良いんだけど…

「凄い…本当にお母さんと同じだ!ありがとうお母さん!」

心無しか、今のセリドは私にそっくりな気がしていた。

「これお父さんに見せたらどう?」

「お父さんに?何かちょっと恥ずかしいな…」

そう言いつつもセリドはラルスの前に出ていく…

「お、お父さん…この髪型どうかな?」

「髪型変えたのか?似合ってるじゃん。」

「私と同じ髪型にしてみたのよ。」

「こうやって見ると二人ともそっくりだな…」




「なんだか懐かしい気がするよ。」




夫の言葉に私は心の中で「私もそんな気がする」と答えていた。

終わり。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

ロスト・サイド―孤独な吸血鬼― Next @Trex

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ