あとがきではないけれど(ネタバレ要注意!)


 さて、ここまでです。

 ノートに下書きしてあるのは、ここまで。


 ええー! かーくん。これからだよ?

 ここからおもしろくなっていくと思わない?


 思うよ。僕も、そう思う。

 でも、泣いても笑っても、ここまでしか書いてないんだよ。責めるんなら、過去の僕を責めて!


 ちょうどこれを書いてるとき、角川のホラーかなんかの一般公募があって、それ用に『金星のラプソディー』を書き始めちゃった気がするんだよね。

 金星を書かずにこっちを書きあげてるほうがよかったか……。


 このさきノートは完全に真っ白で、何をどうするつもりだったとか、まったく書いてない。

 なので、ここからは僕のおぼろな記憶を頼っていくしかないんですが……。


 いちおう、この話、いつかは完結まで書きたいと思ってます。ただ、そのいつかがなのかという断言はできないです。青蘭をシリーズの完結まで書きたいし、ついでと言ってはなんだけど、ワレスさんの話のジゴロ探偵シリーズと墜落のシリウスシリーズをつなぐ話がぬけてるので、それを書きたいなぁとかも思ってて。

 ほんとはジゴロシリーズ、かめ恋のあともたくさん事件を解決するんですが、あいだをはしょってでも、二つのシリーズをつなぐ話は欲しいなぁと思うので。

 

 とにかく、青蘭シリーズが完結したあとですよね。そのときの気分で何を書くかはわかりませんが、今の感じだと最低でも五冊ぶん、途中でもっとふくらみそうなエピソードを思いついたら、さらに数冊ぶんは青蘭にかかりきりになるので。まあ、どんなに急いでも来年いっぱいは青蘭ざんまいかなぁ。


 そんな感じなので、とりあえず、ここから僕の記憶を頼りに、この話のさきの展開を書いておきます。

 なので、ちゃんと書かれたときに作品そのもので読みたい!——というかたは、ここからさきは読まないでください。ラストまでのネタバレになりますので。


 と言っても、この話を書いてたときから数年経ってるので、記憶も定かでないんですが、この直前で終わってる誠の部分で、なんとなくわかるかもですが、誠は最後、相手が春蘭だということを思いだします。

 そうそう。それで、経過をよく覚えてないんですが、たぶん、トムが意識をとりもどして、すきをみはからって逃亡。もしくは修士が逃亡。するんだけど、春蘭は彼に殺されるはず。バラバラ殺人事件です……。

 ただ、そこに通りかかったのがジャンクなんですね。通りかかったのか、春蘭が殺される現場にずっと隠れていたか。

 ここまでのところで、テロリストによって、かなりの数のコロポックルが殺されていたように思う。へたすると、ジャンク以外の全員が死んでたような気も……。


 というのも、このあと、誠たちは乗ってきた輸送船に逃げこんで、旧医療センターから逃亡する。で、そのとき、なかに入りこんでいたのが、春蘭、蘭、薫、猛、イズミ……などの主要人物なんだけど(猛とかはボートで追うかも)、コロポックルがなんで輸送船に入りこんでたっけ?

 あっ、思いだした。たしか、ブーツが食べ物を探しに一人でどこかへ行ってしまったので、ジャンクたちはそれを追いかけていって、輸送船に乗りこんじゃうんだった。だから、コロポックルの大多数は海鳴りに逃げだすけど、ジャンクと行動をともにしていた、ひよこ豆、ジャーニー、途中で合流するシルクスクリーンとホオジロザメが輸送船のなかへ入ってしまうんでした。で、誰かに見つかるかなんかして、ジャンク以外が殺される……と。


 えーと、どっかで猛とイズミの対決とか、かーくんが「これは蘭さんじゃない」と気づく場面とか、細かいとこもいろいろあったんですが、どっちかっていうと、そっちは枝葉なんですね。

 今回の主役はじつは春蘭とジャンクなので。


 春蘭が蘭さんじゃないと気づいたあとも、かーくんが優しくしたので、春蘭がかーくんをかばって犯人に殺されるんじゃなかったかなぁ。


 でも、そこで終わりじゃないんですよ。この話、みんな不死とか、不死に近い存在だったりするので。


 もともと、この話をなぜ書こうかと思ったかっていうと、たいていSFものって、根源的なところの謎が解けないまま終わる作品が多いじゃないですか。

 で、けっきょく、それってなんなの? みたいな。この話で言えば、「で、御子ってなんで不老不死なの?」ですよね。その部分。そこが解き明かされる作品って凄いインパクトがありますよね。なので、それをやってやろうとしてたわけです。御子がなぜ不死なのか。それがこの物語のコンセプトなんですね。


 その大事な部分をちょっと忘れちゃってるとこが困るんだけど、春蘭が殺されてバラバラになったところを、ジャンクが見ていたと。

 卵の祭ってありましたよね。

 ジャンクたちの種族は栄養源として、定期的(数年に一度とか、十数年に一度とか)に仲間の一人をバラバラにして、みんなでわけあって食べてたんです。お察しかと思いますが。

 ただ食べてたわけじゃなく、彼らは食べた相手の遺伝子情報を自分の遺伝子のなかに蓄積することができるんですね。なので、夫婦のあいだに生まれる子どもは、過去に食べた仲間の言わばクローンのようなもの。仲間に食べられて死ぬことは彼らにとっては再生されるための大事なプロセスでもあるんです。


 そう。それで、春蘭を蘭さんだと思ってるジャンクは、神さまがバラバラにされてるのを見て悲しんで、「神さま。大丈夫。僕があなたを死なせません」と言って、春蘭をんですね。そこに行きつくまでに仲間の肉も食べてるんで、ジャンクはブーツがそうだったように急成長します。春蘭もふつうの人間じゃなく、不老長寿の巫子なので、成長したジャンクは春蘭と一体となって蘇った。つまり、外見的には春蘭。ただし、記憶は完全になくなってる。


 そこに来たのが誠で、記憶をなくした春蘭に、機械での記憶複写をします。これが冒頭の殺人犯に殺された記憶を封印するという蘭さんのエピソードにからんでて、じつはこのときのための伏線でした。


 誠が使ったのは、封印するときにバックアップをとられた、蘭さんの記憶だったんですね。春蘭はもともと遺伝子的には蘭さんと同じものなので、蘭さんの記憶を複写されちゃうと、心も体も蘭さんになっちゃうっていう……。

(誠は本物になりたがっていた春蘭のために、最期に春蘭の願いを叶えて死ぬ。たぶんここに行きつくまでにトムと争って瀕死)


 で、ここで冒頭です。

 プロローグ、猛が「手を伸ばせ、蘭!」とか変なこと言ってましたよねぇ。問題は『今ここに蘭が二人いることだ』っていう。


 内部で戦闘したり、あれこれしてるうちに、輸送船はブラックホールに近づいてしまいます。ブラックホールがワームホールになってるってのは僕が勝手に考えただけなので科学的根拠はありません。アリアの時代、ワームホールを宇宙旅行に使用してはいるんだけど、それは光速を超える耐重力宇宙船(ブラックホール専用船)でないといけなくて、通常の船でブラックホールに落ちると、永遠にそこから出られなくなるというのが一般的な概念。

 なので、そこに引きこまれたら一巻の終わりなんですが、蘭さんの場合、不老不死だから、それでも死なないだろうと。

 で、なんとか小型のボートに乗せて脱出したい、でも、外壁が壊れるとか、ハッチが開いたとか、なんかの突発事故で、蘭さんと春蘭が同時に宇宙船からなげおとされそう……あるいは、ボートに乗りこめずに、そのまま輸送船ごとブラックホールに飲み込まれそう……。


 猛の前に二人の蘭さんがいて、どっちがか、わからない。しかも二人を助けることは不可能。一人を助けるのが精一杯……。

 そういう状況がプロローグなんです。


 で、猛は自分の勘を信じて、蘭さんだと思うほうを助けるんですが……。

『今でもときどき、わからなくなる。あのとき助けたのが、ほんとに蘭なのか、そうでなかったのか……』みたいな苦悩もあって。


 さて、猛に助けてもらえなかったほうはブラックホールに落ちます。

 でも、ブラックホールのなかって時間さえ止まっちゃうらしいんですね。光が閉じこめられるから、光が進まない場所には時間が存在しないんだとかなんとか。

 永遠のような一瞬のような『時』のなかをさまようんですが、あのころに帰りたい、あの場所に帰りたい、地球のみんなのもとへ……と強く願う思いが奇跡を起こして、ワームホールを通りぬけるんですね。

 で、地球に帰ってきたのはいいものの、そこはまだ原始の地球だった。

 猿の惑星の逆バージョン。

 ブラックホールのなかは時間が存在しないから、宇宙のあらゆる時間に通じている、という乱暴な理論で、春蘭か蘭さんかわからないどちらかは地球に戻ったはいいものの、時間まではもとの時代に戻れなかった。そのあと、原始の海を漂ったり、大型魚類に食われたり、恐竜に食われたり、長い長いときを孤独にすごし、例の子ども(細胞まで退化。春蘭が僕はゾウリムシって言ってるのは、ここらへんの伏線で)に戻っていく退行現象を起こし、人としての自我も失われたころ、ようやく人類が誕生し、ふたたび人間として生きていく。

 そうです。それが御子なんですね。

 だから、御子は蘭さんか春蘭なのか、そのどっちか。ララバイのころになぜか蘭さん自身に似てたのは、当然なんです。本人の遺伝子なので。


 もともと不老不死だった御子が時間を超えて古代に現れたから不死なのか(落ちたのが蘭さんだった場合)、それとも、不老長寿のジャンクたちの遺伝子が時間の止まったブラックホールのなかで不死性を得たのか(春蘭だった場合)……。


 理論としては、春蘭が落ちたんだってほうがスッキリしますよね。蘭さんだと、御子がすでにお腹にいるから、タイムパラドックスになってしまうので。


 最後、どっちだったのかハッキリするのかしないのかは決めてませんでした。

 猛は「いや、おれが蘭をまちがうはずなんてない」って言いますが。

 さて、どっちでしょう?

 という謎を残して、物語は終わる。


 そんな予定でした。

 ジャンクたちは地球で仲間たちのなかから蘇ってくるといいですね。


 ここまでのところ、西暦21517年しか出てきませんが、後半、ワームホールから出たあたりで《紀元前40億年》とかも出てくるんですよ。そのための西暦でした。


 細かいところはもっと煮つめないといけませんが、おおむね、こんなところだったと思います。

 ただ、紀元前のあたりで、ものすごい筆力を要しますよね……僕に書けるのか、ちょっと不安になる内容です( ̄▽ ̄)

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