第007号室 魔鏡
陰鬱と薄暗いマンションの中程、カタカタと整備不良の換気扇が音を立てて回転し、寿命間近の蛍光灯が乾いた放電音と共に点滅しながら、青白い光で共用のランドリールームを照らし出す。そんな中、スクール水着にランドセルな
洗濯機に溜まっていた水で身体に付着したガソリンと赤錆を
流し台の鏡に姿を写し、髪型が決まらないと毛先に指を絡めて
帽子の角度や着こなしの微調整をしていると、突然鏡との同期が途切れ、鏡の中の自分が睨み付けてくる。血涙を流し、顔面の皮膚が断裂するまで口を広げた鏡の中の
順小夜がフフンと鼻を鳴らしながら一歩踏み出すと、首を狙った逆小夜の両手が打点をズラされ順小夜の背面で交差する。殴りつけるように順小夜が鏡から出てきた逆小夜の襟元を両手で掴むと巴投げ、自分はランドセルで受け身を取りつつ、鏡から引き摺り出した逆小夜の脳天をランドリールームの床に叩き付ける。
「ぱんぱかパ~ン………☆」
ずっと鏡の中に居られれば、どうしようもなかったのだが、相手から出て来てくれるのなら話は別で、海老反りで跳ね上がる逆小夜の首を小脇に抱え、ジャンピング・ネックブレーカー・ドロップ、首を圧し折る。
なお立ち上がる逆小夜の
ドラムからはみ出した足首を掴んで投げ込み、這い出そうと抵抗しドラムの縁に掛けられた逆小夜の指が、勢いよく閉められたガラス扉に挟まれて
金切り声を上げる逆小夜が収まった洗濯機の扉にロックが掛かりドラムが回転を始める。徐々に加速する洗濯ドラム、暴れる逆小夜も直ぐに遠心力で押し付けられ指一本動かせない様子、それにしても回り過ぎでしょうと、洗濯機のモード表示を見て驚愕する。
【
「ウソ………!?ここから出られるってこと………っ?」
一瞬都合良く解釈し、期待に胸が高鳴ったが、際限なく加速を続ける洗濯機と、その中で何処までも薄く引き伸ばされていく逆小夜を見て、これは使えないでしょうと冷めきってしまう。
「フフン、これはない………」
辺りの空気がざわつき途端に膨らみ始める洗濯機、ドラムの中が輝きミラーボール状態へ、プラズマやレーザー光が眩しく弾けたので、ちょっとこれは離れた方が良さそうと、少しだけ行く末が気になりながらも
「あら………?」
………ランドリールームの一画が直径4
「ぎゃ!!!」
幽霊や悪魔、怪物に異形だけではなく、人知を超えた意味不明、理解不能な家電や雑貨、衣服に食べ物と、人々を
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