紅茶好きの日本旅行記

困難人形

第壱話 ひとまず東京駅へ

 私がまず旅に出るとき、必ず向かう駅がある。赤い駅舎が目印となっている「東京駅」だ。やはり、田舎者だからなのか、日本人だからなのか。東京駅に一度行き、そこで気持ちをリセットし、旅に出かけないとすっきりとしないのだ。

 しかし、私は東京に住んでいるわけではないので、東京駅に行くまでがで、もはや小さな旅行なのだ。私が住んでいるのは茨城県南部なので、つくばエクスプレスという電車に乗り、東京へと向かうのだ。始発駅であるつくば駅へと行き、快速が発射する時間まで、改札の反対側にあるスターバックスでコーヒーや紅茶を飲み、時間をつぶすのだ。時々、ゆっくりしすぎて、電車に乗り損ねることもあるのだが…

 そうこうしているうちに、数分後に出発するという旨のアナウンスが聞こえてくる。それを合図に私は改札を通り、ホームへ降りるのだ。

 ホームへ降りると、見慣れた電車が扉を開けて待機をしていた。快速ということもあり、始発駅だというのにそこそこの人がもう乗っていた。私も適当な扉から乗り込み、車内を見渡す。やっぱりシートには他の乗客が座っているようだ。私は隣が壁じゃないと落ち着かないので、基本的に端の席が空いていない時は絶対に立っているのだ。というのも、この列車は45分で終点に着くので、立っていてもさほど苦にはならないのである。

 私はドアにもたれかかり、持ってきた小説を読んで時間をつぶす。小説を読んでいると、時間が過ぎるのは早いものだ。気が付くと電車は、終点である秋葉原駅につこうとしていた。

 つくばエクスプレスの秋葉原駅は、地下深い場所に作られているため、ホームから改札に行くまでに2本、改札から地上に出るまでに3本の長いエスカレーターに乗る必要があるのだ。これがまたそこそこ時間がかかるのだ。なので私は、極力エレベーターを使うことにしている。

 エレベーターで地上に出ると、少し左に行くと、JRの改札がある。ここで山手線か京浜東北線に乗って、二駅で東京駅だ。やはり、どちらも通勤電車ということもあって、時間を問わずにまぁまぁ混んでいるものだ。二駅だけなので4分ぐらいで着く。

 さぁ、もうすぐ旅の始まりだ。

 

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