番外編(アズベル視点)

迂闊だった。

まさかギルドの連中が密告するとは.......いや、もしかしたら王族の手のものがギルドにいたのかもしれんな。

小さく擬態していればバレないと思ったが、流石にドラゴンのままではダメだったか。


「ヒナを王族に関わらせたくはなかったが.......そばに居るように言っておかないとな。ヒナがいる以上、この国と争うことはしたくないからな。」


コンコン


「ご主人様、お嬢様のドレスを手配致しました。急なことでしたのでオーダーメイドとはいきませんでしたが、柔らかい肌を傷つけないよう肌触りの良いものを選ばせて頂きました。お嬢様の着替えを手伝う許可を頂けますでしょうか?」


「ロールクか、入れ。」


「失礼致します。」


「ドレスは何色だ?ヒナの黒髪に映える色がいいんだが.......ピンクか、流石だな。着替えの前に風呂に入れてやってくれ。」


本当は俺が手伝ってやりたいが.......いくら幼女とはいえ独身の俺が肌を見るのはよくないだろうからな。

それに、妻帯者のロールクなら変な気も起こさないだろう。


「かしこまりました。では、失礼致します。」



そういえば、ヒナは俺の人間形態を知らなかったな。

どんな反応をするだろうか.......。

自分で言うのも何だが、顔は整っている.......と思う。

ヒナは気に入ってくれるだろうか.......チビドラゴン姿には喜んでいたが。

流石に、ずっとチビのままヒナに運ばれるのは.......俺の身がもたん(照)



「そろそろいいか.......。」


コンコンガチャ


「ヒナ、できたか?」


「じゃじゃーん!どお?お姫しゃまみたい?.......ってベル?」



心の準備など、ヒナの可愛さの前では意味をなさない。

あぁあぁ、ヒナのつやつやサラサラの漆黒の髪に、ピンクのドレスがよく似合っている。

もはや可愛さが異次元だ.......もう自分でも何を言っているのかんからん。



「グッよ、よく似合ってる、本物のお姫様みたいだ.......ぐはっ」


「ベルだいじょぶ?服汚れちゃうよ?」



こんなみっともない俺の心配をしてくれるのか.......ヒナはどこまで可愛いんだ。

はぁ、王族になど見せたくないぞ俺は!

ヒナに手を出したら.........................(ボソッ)

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