第10話 テスト勉強ってなんかありがちだよね
「はぁ……全く終わらない……少し休憩……」
「ほら、手休めないの。そのペースだとテスト範囲間に合わないよ?」
「は、はい……」
優美さんが俺のお世話をするようになってから早1ヶ月。すっかり季節は夏を迎えようとしていた。
そしてそれと同時に俺は期末テストという名の地獄を迎えようとしているわけで……現在、俺は優美さんの監視の下でテスト勉強に励んでいるわけなのだが……
「あの、優美さん」
「何? 分からないところでもあった?」
「いやそうじゃなくて……なんで俺にぴったり密着してるんですか……」
優美さんは現在俺の左腕にぴったりと拳一個分も入らない距離で密着している。
ということは俺の左腕には優美さんのお胸の感触が当たるわけで……正直な話、最初から勉強なんて頭に入ってきてない状況が続いている。
いやでも健全な男子高校生ならこれくらい普通だよね? 別に俺が変態エロガキ童貞だからなんてことないよね? ね?!
「えっ、それは春樹くんと1ミリでも近くにいたいからだよ?」
「にしても近づきですよ……」
「え〜ダメ……?」
優美さんは上目遣いで俺を見つめながらさらにグイグイとその豊満なお胸を押し当ててくる。
さ、流石にこれは俺の身が持たない! 俺みたいな童貞には刺激が強すぎる!
俺はそう思い離れようとすると優美さんは俺の腕にしがみついたのでそのまんま体制を崩して俺に覆いかぶさってきた。
待って。さっきより状況まずくね……? 腕どころか胸の感触ダイレクトに伝わってきてんだけど?! てか髪からいい匂いするし、距離近いし、無理! 童貞には刺激強すぎ! ぴえん!
俺が頭の中グルグルで焦っていると優美さんが顔を上げる。すると涙目にして顔をめちゃくちゃ真っ赤にした可愛い優美さんの表情がそこにはあった。
「あ、あのご、ごめんね。こ、こんなつもりじゃ……」
「だ、大丈夫です。とりあえず起き上がれますか?」
俺が優美さんに尋ねると何故か優美さんは黙り込んで俺の胸に顔を埋める。
「あ、あの優美さん? どうしました?」
「も、もう少しだけ……」
優美さんはか細い声で呟く。
「えっ?」
俺はうまく聞き取れず、というか優美さんの言ってることが理解できずもう一度聞き返す。すると今度は顔を上げて優美さんが切なそうな顔で俺の顔を見つめてまるであの時の告白のように、
「もう少しだけこのままがいい……」
「…………」
俺はその表情のあまりの衝撃に言葉を失った。やっぱり優美さんはずるい。
だってどんな表情も可愛いんだから。料理を作る顔も勉強する顔も俺と楽しそうに話してくれるその顔も全部。やっぱ俺、優美さんの事……
「好きだなぁ……」
「えっ? な、何が?」
「えっ? い、いま俺なんか言ってました?」
「えっ、いま春樹くん「好きだなぁ」って」
……うっわ。嘘だろ。なんで俺口に出してんだよ馬鹿かよ……てかこの展開あれ? あれれ? 何このいかにもラブコメでありそうな告白展開?! えっ早くない?! まだ読者の人、俺が優美さんのこと好きになった経緯知らないんだよ?! えっとえっと……
「好きってもしかして……」
や、やばい! 流石にバカで天然ドジな優美さんでも流石にあれは気付かれたか……?!
「おっぱいのこと……?」
「……………はい?」
「いやだって、春樹くんもその健全な男の子だしさっから私の胸ばっか見てたし……私が覆いかぶさった時、そ、その大事なところがあ、当たってたし……」
「………………優美さんそこにあるシャーペン取ってください」
「ど、どうして?」
「いますぐそのシャーペンで自分の首刺して死にます」
「だ、だめだよ?! どうしてそうなるの?!」
「恥ずかしいからに決まってるでしょ! てかそれじゃ俺ただの変態エロガキ高校生じゃないですか!」
「私はそれでも春樹くんのこと好きだよ?!」
「そういう問題じゃないわ!!!」
結論、俺は優美さんが帰った後も何も手につかず期末テストは大惨事になったのであった。ちなみに優美さんは余裕だったらしい。まじおかしいだろ。
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