第41話 混沌の前触れ

 「ようこそ、剣聖の間へ。桃太郎よ汝の望むものは何だ?」


 「大賢者!僕たちに鬼を退治するための力を!――」


 放課後の教室、俺たちのクラスでは劇のプチ練習会が開かれていた。

 ...え?これ本当にすんの?

 ちなみ俺の役は鶴の恩返しの鶴役。あれ?これ桃太郎じゃなかった?


 「これ脚本書いたの誰だ...?」


 「さ、さあ?」


 隣で見ていた有希乃に話しかけてみるが有希乃もさっぱりといった感じでこの話の生い立ちは不明のままだ。

 こんなめちゃくちゃな桃太郎書けるの逆にすごいな。

 ちなみに有希乃の役は桃を拾うあのおばあさん。俺も普通の役やりたかった。


 「ほれほれ、そんなもんか?」


 「くっ!ひっ!」


 少し目を離しただけで大賢者が鞭でバシバシ桃太郎をしばいてんだもん。何かがおかしいというレベルではない。全部おかしいよこれ。

 もひとつちなみに、今目の前で大賢者の役やってんのは晃德な。

 あいつ真面目だからああいう所で本気出しちゃうんだよな。しかし妙に違和感が仕事しないな...。何かちょっと嬉しそうだし。


 「はいカット。うーん思ったより刺激が強い...ここは修正がいるな...。」


 当たり前だ。公衆の前でそんな姿見せられてたまるか。

 まぁ分かってるなら最初からそうして欲しいもんだが。


 「そ、そうか?もう少し優しくすることもできるぞ?」


 おい晃德いくら楽しかったからって野暮なこと言うんじゃねえ。

 誰が見たってあれは没だろう。男同士がそんなことしてるとこなんて誰が見たい?


 「頑張ってるのはわかんだがここは保留で。」


 「そ、そうか...。」


 え?保留?没じゃなくて?聞き間違いかな...?


 「じゃあここは保留ということにして次、桃太郎が決戦前に神族の衣を授かるとこで。」


 間違いではなかった。おいおい...冗談だろう?

 っと俺の出番だ。行かなければ。


 「それじゃ。」


 「頑張ってね。」


 有希乃に応援されて練習に入る。


 「あいやまたれい!桃太郎主!」


 「だ、誰だ!」


 「我は神が遣へたもうた神獣ぞ。貴殿の使命の助けとならんがために参った。これを受け取るが良い。」


 「これは...!?」


 「それは神族の衣。使ひし者によりそのかたちをかえることができる代物ぞ。」


 「す、すごい!これで奴らを仕留められる!ありがとうございます!...あれ?いない...。」

 

 「はいカットー。いいね、ここはあまりいうことないか。柳沢お前演技上手いな。」


 「そ、そうか。」


 きつすぎだろ。

 参考に俺の台詞の口調は全部「そろりそろり」を想像してくれ。

 もうやだ。早く終わんないかな文化祭。



―――――――――――――――――――――――――――――――――――――

 お詫びとお願い

 このような拙作をここまで読んでいただきありがとうございます。ただでさえ遅筆な私ですがこの話をもちましてストックが切れてしまいました。

 以前も何度か平気で更新をサボったりしていましたが、この際本音を言わせていただければと思います。


 キ ツ い な 。


 かなりキツい状態です。

 かといって打ち切りにするかと言われれば乗り出した船なので最後まで書きたいと思います。

 当初の予定は自粛期間の暇つぶしにでもチャレンジしてみようかしら~といった軽率な気持ちから始めたのですが、まさかそこそこの人数に読んでもらえるとは思ってもおらず、大変驚いていました。

 長々といらない話をしましたが何が言いたいのかというと「ストック切れたから更新が不定期化しますよ。でも最後まで書きたいから付き合ってください。」といった身勝手なお願いです。

 どうかご理解をお願いいたします。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る