2020年5月13日

 昨日は脳の医者に行って、色々嫌な思いをしたあと、今日はずっと眠っていた。見た夢の話でも書こうかと思ったが、頭の中パンパンに詰め込まれた夢のイメージたちは、起きてすぐ栓が抜かれたようにドボドボとこぼれて床一面に散らばってしまった。


 鳳仙が掃除機を持ってきた。私はもったいないからと言ってこぼれた夢を一生懸命に集めるが、ネバネバした液体質のイメージ群は、私の手や部屋着に汚らしくこびりつくものの、殆どは指や腕の隙間から逃げてしまう。


 せっかく楽しい夢、心に刺さる夢、もう二度と見たくない夢を見ることができたのに。私が泣きそうになっていると、鳳仙は掃除機の電源を入れてそれらをスイスイと吸ってゆく。夢々は抵抗を示すが、吸引力の優れた掃除機なのでそんなものなんの役にも立たないのだ。リモンがくあっとあくびをする。


 残ってた夢は、教室のような部屋でBBQをするが、誰もが私を無視しており、私はひとりで肉を焼いて、焼いたものを端から取られるというやつだ。あんまりにもしょぼくれた夢なので、耳に指を突っ込んでその夢を引っ張り出すと、洗面台に流してしまった。


 掃除機で吸われた夢は可燃ゴミに出すので生き残れないだろうが、さっきの夢は下水を通じて川だか海だかにでてそこで生きるのかもしれない。私は夏の海でクラゲとともに泳ぐ夢を想像した。

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