第26話 売られているのはどっちだろうか
「それでぇ、この仮想通貨は上場確実で、そこまで持ってると数百倍になるんですよ!」
「なるほどなるほど、そのための資金集めに通貨を売ってるってことなんだ?」
「はい!しかも、この販促活動に協力して購入者を紹介すれば、報酬金としてさらにお金が入るんですよ!」
「なるほど!いいねそれは!!」
皆さんお気づきだろうか。
もうすでに今の時点で、「矛盾」がある。
上場するのが「確実」なら、「そのために資金が必要」というのはおかしい。
確実という言葉を信じるなら「じゃあもうお金はいらんよね?」となるし、資金が必要という言葉を信じるなら、その上場は「確実」じゃないリスクがある案件ということになる。
だが別に論破するのが目的ではないので、ここは調子よく合わせる。
「参加したいけど、どういう案件の商品なのか説明資料とかほしいかな。そういうのある?」
「あ、えっと。紹介者はそういうの持ってなくて。運営の方に声をかければ、見せてもらえるはずです。」
なるほど。カモ以外の不特定多数に資料がばらまかれたりしないよう、そこはきっちりしてるわけね。
「OKOK!じゃあまぁ、とりあえず50万円ぐらい投資するから契約用紙とか資料、また持ってきてもらえる?」
「わかりました!ありがとうございます!!」
これでおそらく紹介料が入るんだろうな。にっこにこだ。
「ところで・・・このサービス、若い学生さんとかがすっごい注目してるみたいな噂聞いたことあるんだよね!場合によっては追加投資するから、話せる範囲で話を聞かせてくれない?」
「わかりました!わかる範囲でよければ。」
さぁ、ここからが本番だ。
----------
結論から言おう、「ハズレ」だ。
だが、こういったインチキ商品には必ず複数の案件に投資している奴が存在しており、その「コミュニティ」に潜入できたということは大きい。
また何とかとハサミは使いよう、というやつだが、すでにこの手法に加担している「亜紀」という知り合いができたことも大きい。使い方によっては調査がはかどるだろう。
「とりあえず進捗報告と・・・こういうケースの場合どう進めればいいのか、確認するかぁ」
目指すは京都だ。
次の一手が本命に近づくための大事なターニングポイントになるだろう。
悪の投資・経済・金融学と愉快な仲間たち 紅蝶 @butterfly20200403
★で称える
この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。
フォローしてこの作品の続きを読もう
ユーザー登録すれば作品や作者をフォローして、更新や新作情報を受け取れます。悪の投資・経済・金融学と愉快な仲間たちの最新話を見逃さないよう今すぐカクヨムにユーザー登録しましょう。
新規ユーザー登録(無料)簡単に登録できます
この小説のタグ
関連小説
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます