第4話 暴落と懲りない人々04

投資にしろ事業にせよ、新しいものというのは「成功すれば革新者イノベーター、失敗すれば詐欺師」とわれる。起こりがどうこうではなく、結果だけで世間的には判断されるというわけだ。刑事罰的な話になると、また前提は変わってくるが。


それはさておき。

世の中には絶対に儲かるなんて虫のいい話はないが、素人で、且つ中途半端な小金持ちほど損をするとしょーもないことを言います。「聞いてない」「損したのはお前のせいだ」「こんなはずじゃなかった」エトセトラ、エトセトラ・・・。


まぁ、そんなクズどものことなんざどうでもいい。

本題に入りましょう。


仮想通貨も、そんな要素を持つ商品であります。

そんな魑魅魍魎ちみもうりょうの世界で取引をする、ナカイさんの話

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「仮想通貨って、ぶっちゃけどうなんですか?」

ちなみにこれ、ガンガンの事後報告相談である。


いやぁ・・・フドウさんもそうだが、買ってから来られても困る。とはいえ、新規の顧客さんはほとんどがそんな感じではあるんだけど。


「んー・・・投機ですか?投資ですか?」


「なんか違うんですか?」


そっからか。ちなみに「投資」か「投機」かってのは、就職先が「警察」なのか「マフィア」なのかというのと同じぐらい違う。本質は同じで市民権を得ているか否かの違いだけであるという意味でも。


「えっとですねー。投資は、資本を投下した物の価値が実際に上がるまで待つという話。投機は、実際の価値何座どうでもいいから、値動きで儲けられればいいや!って話ですね」


「ぶっちゃけ儲かれば何でもいいです」

そらまぁそうよね。


「んんー・・・。では、一般的な金融経済の観点からいいますが。いまは、バブルのような気がしますね。価格も、150万を超えてますし」


「まじっすか。じゃあ、売りですかね」


「自己判断でお願いします」


ちなみに、仮想通貨取引には株やFXのように「売り」、つまり値段が下がればもうかる、という取引ができる。ものすごく雑だが、仕組みはこう。


Aさんという通貨を持っている人から1つ借りてきて、それを市場で売る。その時点で150万円だとする。

その後、130万円になったら買い戻してAさんに借りたものを返す。これで、差し引き20万が儲かる、という仕組みだ(超簡略化して説明している。念のため)。



「ところでもういっこ、相談があるんですよ」


「はい?なんですか??」


「仮想通貨をつかった、自動売買ツールなんですけどね?」

でた。


「とりあえず最後まで聞きますが・・・プログラムが自動売買して、利益が出る的な?」


「そうそう」


「・・・どうしたいんです?」

何となく答えは分かってる。


「いや、怪しい案件なのは分かってるんですけどね?」

・・・あれ?なんか流れが変わったぞ。


「ええ。」


「こういうのって、ある一定数信用させるために、タコ足配当する《集めた金で配当》じゃないですか?なんかうまく立ち回って、儲けられないかなって」


「なるほど。中々に、したたかですね」


「ナカイだけに?」

そのジョークはいただけない。


「・・・。とにかく。まぁ、タイミング次第ですが、行けますよ。追加出資に応じない、運が悪ければ投下した金額を全部擦る覚悟でやる、とか条件と覚悟はいりますが。」


「先生、ポイントは?」


「直近で始まったばかりのものであればあるほど、勝率が高まりますね」

逃げるまで、それだけ時間があるということである。


「なるほど。参考にしますわ」



・・・ちなみに。

このときはまだ、知りませんでした。これが後々、大きなドラマを生むことに・・・。。。


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