0505 今までで一番すごいと思ったSF作品は「ナウシカ」

 子供の頃、私が読んでいた創作物のほとんどは、少女漫画でした。自分自身、親から何も買ってもらえなかった状態で、姉の部屋に忍び込み、そこにあったものを読んでいたのです。

 ええ、ですので単行本は「キャンディ・キャンディ」や「ときめきトゥナイト」、月刊誌なら「りぼん」と「マーガレット」。

 そんな私が、初めて一人で見に行った映画が「天空の城ラピュタ」でした。いやあ、衝撃でした。今でも、No1の映画を挙げろと言われれば、これです。

 しかーし、今までで一番すごいと思ったのは、これではないんです。あくまでラピュタは「映画No1」ですね。


 じゃあ何か。それは「風の谷のナウシカ」です。


 いやいや、それあんた、映画やん。そう突っ込む方もいるかもしれませんし、ああなるほどと思う方もいるやもしれません。


 私がすべての作品の中でNo1と思うのは、コミック版の「風の谷のナウシカ」です。映画? あんなの、〇ミです、ゴ〇。見ろ、映画は○○のようだ!


 コミック版のナウシカをもし読んでないのなら、人生の五分の七は損していると思って間違いなし。あ、五分の二は来世分です。


 いや、もうあれだけでも宮崎氏は天才と言えるでしょう。なんたって、ナウシカやクシャナ、みんな「人間」ではないという衝撃の事実。明かされる「腐海」の意味。そこにSF要素がこれでもかといわんばかりに詰め込まれています。


 いや、すごい。すばらしい。そんな賛辞すらすべてが陳腐になるほどの超作品。ナウシカこそが、SFとファンタジーを融合させた究極の形の一つであると、私は思います。

(もしかしたらそれ以前に、そういう作品があったかもしれませんが、私が見聞きしたものの中にはありませんでしたし、それ以降もなかったです)


 私自身様々な作品を読んできたと思ったのですが、意外にジャンルが偏ってますね。歴史もの、フランス文学、SF、さもなければライトノベルでしょうか。SFのほとんどは神林長平氏の作品ですね。あ、そういえば、富野由悠季氏の作品もけっこう(笑) 富野作品には中高生があんなん読んだら駄目でしょう的な作品が並んでいます。

 バイストンウェル系は確かにSFとファンタジーの融合と言えますが……んー、面白いんですが、衝撃というほどではないですねぇ。

 ちなみに、ナウシカのような世界観(いわゆる終末後のファンタジックな世界に機械を登場させるもの)を使った作品ってあまり見ませんが、私が見ないだけでしょうか……あの世界にいる動物、トリウマや王蟲も、ちゃんとSFがベースにあるんですよね。いやあ、すごい。しかもそれが「現代の遺伝子工学」の予見なのですから、ほんとすごい。


 ファンタジーにSFを持ち込んでみる。ファンタジー世界をSFで説明する、といいましょうか。それが「ナウシカ」なのだと思います。SF要素を無視してしまえば、単なるファンタジーの世界があり、SFに興味のない人でも「ナウシカ」を楽しめるからです。スチームパンク的な「ラピュタ」とはここが違いますね。


 私はと言うと、学園ものやRPG的なものも書いてみたいと思う時もあるのですが、人生は有限ですので、一番創りたいものを優先させるべきなのでしょう。そういうものは、他に素晴らしい作品を書く人がいらっしゃいますからね。


 私は、新しい『舞台』、プラットフォームと言いましょうか、それを生み出したい。そう思っています。

 今書いているものは、どちらも「新しいプラットフォーム」として設定しているのですが、少しファンタジー要素が欠けているかもしれません。SFにファンタジーを持ち込もうとしたからかな……どこか既視感があるんですよね。私の「空想」の限界でしょうか。


 一旦、ベースを真っ白にしてみる。タブラ・ラサです。そこに新しい世界を描いていかなければ。ニーチェの言う「幼子の精神」でなければ、新しい価値観を生み出すことはできない。


 そんな唯一無二の世界観を死ぬまでに一つ創ってみたいなと、思ってます。

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