第5話 能力の使い方
ウィリアム様!ウィリアム様!
レフィーナ、それと
どうやら馬車を止めた場所が悪かったらしく、
「
――ごめんなさい!ごめんなさい!
ユメは心の中で
元はと言えば自分の魔法が引き起こした大雨でぬかるみができたのに加えて、自分のところに立ち寄ってくれたばかりに、そのぬかるみに馬車が
「今の誰も乗っていない状態で、馬車をぬかるみから出せるか?」
ウィリアムが
「や、やってみます!」
しかし、ぬかるみで馬も力が入らないのか、馬車はびくともしない。
そうこうしている間にも
「むぅ…。それでは私が後ろから押すとしますかな。」
ウィリアムは上着を脱ぎ、シャツの
それでも馬車は動かない。
何とかしなきゃ…と思ったユメがふと
(私、
神様に
でも、さっきの水魔法みたいに最大の力を
どうしよう…
こんなはずではなかった。
――あれ、でもおかしくない?
さっき私は雨に濡れたコルセットの
何か
魔法の時はどうだったか…。私は水魔法を使った時を思い出した。
確か、最初
もしかしたら、頭に描いているだけでは発動しないのかもしれない。
だって
きっとそうならないよう、
あいつ呼ばわりしてからまだ舌の根も乾いてはいないが、私は少し神様を見直した。
あとはタイミングと
例えば、小指の爪でつつくのはどうだろう?
私が考えを
「ウィリアムさん、私もお手伝いします!」
そう言って私は馬車に
「いえ、見ず知らずの方にそこまでしていただくわけにはいきませぬ。」
「でも、その見ず知らずの私に服を貸して下さいました。恩には恩で
というか、全部私のせいだから!
と本当は叫びたかった。そこまで言うなら、とウィリアムは
さぁ、ここからは
残念ながら
「うーん!よいしょー!」
「
発動する言葉はよく分からないが、これでダメならまた試せばいい。
私は力いっぱい馬車を押すフリをして、自分の
――ちょんっ
ズズズズッ!
馬車がぬかるみから出てきた。大成功だ。
「おおお!」
「ユメ、すごい!」
レフィーナが
「これは驚きましたな、ユメ
ウィリアムは最大級の
女の子に
「さぁ、また沈まないうちに、移動すると
「はい!ありがとうございます!」
ウィリアムの申し出を私は
道中、レフィーナが目を
「ユメ、
「お
ウィリアムが
「しかしながら、この
これは少し
異世界から来たと言って、果たして信じてもらえるだろうか?
それこそ
いや、でもこの世界では転生者がいるのは当たり前かもしれない。
どうなんだろう?…この異世界の
「すみません。実は私、
そう言った私に、レフィーナがハグをしてきた。
「ああ、なんて
いや、最初に会った時は言葉が分からなかっただけで…と
レフィーナはハグをしながら泣きじゃくっている。
私のことを
なんていい
思えば確かに不幸だった。
前世では人生を一度も
異世界に転生したとはいえ、身よりもなくどこで生きて行けばいいかも分からない。
気が付くと、私の両目からも
この日私は、久しぶりに声を上げて泣いた。
さすがに
ひとしきり泣いた後、レフィーナが私の目を真っすぐ見つめてきた。
「ねぇ、ユメ。ユメさえ良ければ、私の…オルデンブルク
なんて
「ありがとう、レフィーナ。あの、でも、大丈夫ですか?
これ以上はない申し出だが、かえって迷惑になりはしないかと心配もする。
レフィーナは育ちの良いお
「それについては大丈夫でしょう。
そう言ってウィリアムはニッコリとほほ笑んだ。
私はこの笑顔にとても救われた気がした。
20分ほど馬車に揺られると景色はすっかり変わり、
ここがレフィーナのお
――レフィーナお
――門を開けぇーい!
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