シティ・ゼロ年とコロナウイルス

いわのふ

光瀬龍のシティ・ゼロ年を知っていますか

 わたくしは若いころにサイエンス・フィクションを多読し、またあんまり役に立たない妙な研究をながいことやってきた学者モドキでもある。


 で、コロナウイルスについて思うことは多くあるのだが、光瀬龍が病気と隔離について非常に面白いSFをかいているのはご存じだろうか。


 宇宙開発で、ある惑星に「シティ」がつくられた。シティは繁栄したが、ある時なぞの伝染病が流行し、危機におちいる。


 シティ当局は、感染地域をドームで隔離して埋没させ、その上に新たな都市を建設する。その状態が長いことつづいたが、やがて上部に作られた都市においても再流行が起きてしまう。このようにして何層にも及ぶ層状の都市ができあがる。


 流行がおきるたびにシティは新たな隔離領域を作り、伝説の形でなぜ世界が狭いかを説いて住民たちを幽閉する。しかし、隔離されたドーム内部での定期的流行によりやがて住民たちはなぜ隔離されたのかに気付いてしまう。


 最後にはドームを破って、上部の都市に患者たちがあふれ出してしまうというディストピアである。しかし、ディストピアながらいまのコロナウイルス惨禍を予測したような物語となっており非常に面白い(あくまでも物語として面白い、と言っているのであって現状の惨禍を面白いとは思っていない)。


 これを参考に新たな小説もできるかもしれない。今は光瀬龍を知る人も少なくはなってきたが、先見的な小説を多く書いている。私も模倣したい作家であり、太宰のつぎに好きな小説家である。

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シティ・ゼロ年とコロナウイルス いわのふ @IVANOV

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