-第2章- 来訪

「いやーギリギリセーフだったなー」

右手で顔をパタパタと仰ぎながら

拓也が言った。


「俺らはいつも早めについてんだよ!

お前が遅いんだよお前が!」


拓也の顔を指差しながら

嫌味ったらしく武瑠が言う。



「キーンコーンカーンコーン」


チャイムの音と共に

散り散りになっていた生徒達は

各々の席につき瞬く間に静寂が辺りを包む。


彼ら仲良し3人組が通う学校は

いわゆる"出来る子達"の集まる学校で、

授業中に教師に横槍を入れたり

私語をするものなど1人もいない。

ただ3人を除いては。



「ガラガラガラ」


教室のドアが開く音がして

担任教師が入ってくる。


「あの後ろのやつ誰だ?」

拓也が教師の後ろに続いて教室に

入ってきた知らない顔を見て指を指す。


「転校生とか!?」

ワクワクした表情を

浮かべながら龍太も身を乗り出す。



「いやでも男じゃん。興味なーし」

そう吐き捨てると

机に突っ伏して早くも眠る体制に入る武瑠。


「はじめまして本日からこのクラスで

お世話になる事になりました。

明光 洋平(あけみつ ようへい)と

申します。宜しくお願い致します。」


彼は一通り挨拶を終え軽く会釈をして

サッと先生の横に並んだ。


「はい!いま本人から

挨拶があったようにそう言う事だ!

皆、仲良くしてくれー!

とりあえず席はあそこの

空いてる所に座ってくれ。

雷堂!お前教科書とか見せてやれよ?」


「はーい(、、うわぁめんどくせぇ、。)」


荷物を軽く片付け

拓也の隣の席についた

明光が拓也に告げる。


「お久しぶりです。拓也様。

またこうしてお会い出来て光栄です。

私が拓也様の元に現れたという事は、、

状況は理解できていますか?」


拓也は耳を疑った

イメージとは違う転校生の

発言に戸惑いを隠せない。


「ふぇ??」


拓也がやっと吐き出した言葉だ。


すると前の席に座っていた龍太が

振り返り言った。


「明光。事情があって

拓也様はその件に関して

何も覚えてないんだ。

君が来たら話そうと思ってた。

後で場所を変えてゆっくり話そう。」


「かしこまりました龍太様。」



「ん?拓也様?ん?」

全く状況が飲み込めない拓也。




こうして止まっていた時は

動き出したのだ。





-第2章- 来訪 END








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Ragnarøk〜神々の黄昏〜 @tombo_world

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