17日目「小さな同行人」


 見知らぬ声がはっきりとしてくると、私達は目を覚ます。


 そこにはふわふわと、何かが浮かんでいました。


 「え? なにこれ? もしかして妖精?」


 みよはマリーの方に目をやると、彼女もまた目を丸くしている。


 みいの方はまだぐっすりと眠っている。色々あったからきっと疲れていたのだろう。


 遅れてマリーは答える。


 「そ、そうみたいね。妖精ってもっと......なんというか神聖な感じだと思ってたけど」


 「かわいい!! なにこれ? ぬいぐるみみたい」


 珍しくみよははしゃいでいる。


 「ち、ちょっとやめなさい! 私はぬいぐるみじゃないわ!」


 みよの頭くらいの大きさの不思議な妖精は怒っている。


 「それにもふもふね!」


 マリーも目を輝かせている。


 「ちょっと貴方達聞いてるの? 私が旅に同行するシエルよ!」


 「え? 貴方が?」


 みよとマリーは目を丸くしている


 「んん......おはようです」


 みいもようやく目を覚ましたようだ。


 後ろからメイドのソフィが入ってくる。


 「ソフィ? 本当にこの人が?」


 「そうです。シエル様には旅に同行していただくように仰せつかっています。」


 マリーは落ち着いてきたようだ。


 「それより、お父様はどうしてシエルさんを知っていたのかしら」


 「それなら私から説明するわ。まあ細かく説明すれば長くなるんだけど......簡単に言えばあんたのパパには貸しがあるのよね」


 「それでこの旅について同行するように頼まれたってこと?」


 みよはシエルにそう尋ねる。


 「まあ、そういうことね。あ、貴方達なんだか不安そうな顔をしてるけどこう見えて私強いのよ?」


 シエルはおもむろに窓の方へ向かい、詠唱もせず空に花火を打ち上げた。


 「すごい......」

 

 3人ともそのただならぬ力をみて立ち尽くすしかなかった。


 「もう、今度はボーッとしちゃって。ほんと人間ってめんどくさいわね」


 「えっと......その、私達に何かするですか?」


 みいは少し怯えてマリーの後ろに隠れる。


 「大丈夫よ。第一人間をどうこうしようなんて思ってないし、それにここの主人には貸しがあるって言ってるでしょ」


 シエルはみいの方に飛んでいき、頭を撫でる。


 みいも落ち着いたようだ。


 「それじゃあ出発する前に少し確認しておこうかしら、貴方達の旅の目的と予定を」


 みよは旅についてシエルに詳しく説明した。


 「なるほどね......貴方達まだ小さいのにとんでもないことをしようとしてるのね」


 3人はコクリと頷く。


 「まあ、私はあくまで手助けをすることをお願いされたわけだから、絶対に無理をしないこと。みんなでどんどん危険なことをされたら私とて守ってられないわ」


 (確かにそうだよね......私達なんて部外者な訳なんだから他国にいったら何されるかなんてわからないんだ)


 「まあ、これから一緒に旅に出るわけなんだからよろしくね! 気軽にシエルって呼んでもらっていいから。あ、それと3人とこの家の人以外には私は見えてないからそこだけ気をつけて」


 「わかったわ! よろしくね、シエル」


 マリーは、いい人だと確信したのかにっこりしている。


 「あ、それと貴方達の話を聞いてて少し気になったことがあったんだけど......」


 

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