アイドルは恋愛禁止だけど、百合ならちょっとはいいよね?

路地裏の本棚

愛恋あずさの可愛いお腹と胸

「みんな~‼ 今日は来てくれて、ほんっとうにありがとう~‼」

「「「「「わぁ~‼」」」」」

「「「「「俺たちのあずさちゃ~ん‼」」」」」


 可愛らしい高く甘い声で大観衆に応えながらステージを退場したのは、国内でも有数のアイドル事務所「サファイアオーシャン」に所属している17歳のアイドル・愛恋あいれんあずさである。


 赤とオレンジを基調とし、各所にフリルをあしらい、大胆なへそ出しセーラー服に身を包み、丈の短いスカートと、赤と白のニーハイソックスの間の絶対領域からは白く眩い太ももが輝きを放っている。

 栗色のウェーブのかかった長い髪をお嬢様結びし、ピンク色のリボンの形をしたバレッタがトレードマークとなっている


 彼女の持ち味はその甘い声を最大限に活かした甘々なアイドルソング、可愛らしい衣装にスベスベのお腹に豊かな胸と、枚挙にいとまがない。


 無論、性格面でもファンを大事にする誠実さ、真面目で真摯にアイドル活動に取り組む積極性、反面にちょっとドジを踏むことがあるという抜けたところがあり、そう言った面でも非常に親しみやすいアイドルとして、男女問わず人気が高い。


「お疲れさまです、あずさちゃん」

「今日もいいライブだったよ!」

「はいっ、スタッフの皆さんも、こんな素敵なライブを作ってくださって、私、感激ですっ! 本当にありがとうございました!」


 激励してくれたスタッフ達に感謝を述べるあずさ。こういう部分も彼女が人気の理由であり、裏方のスタッフ達からの評価も高いのだ。


「本当に素敵なライブだったわ、あずさ」


 そこへ現れたのは、闇に溶かしたような漆黒の長い髪を靡かせ、すらりとした手足を青や緑を基調としたスタイリッシュなパンツルックの制服風のアイドル衣装に身を包んだ少女だった。

 彼女は同じ事務所の11人組のアイドルグループ・Marianの不動のセンタ―を務める18歳の少女・涼本すずもとユリカだった。


「ユリカちゃんっ! ありがとう」

「本当に可愛いわね、あずさは。いつも一緒に居るけど、アイドルとしての輝きを放っている時のあなたは格別ね」

「嬉しい、ユリカちゃん」


 いつも一緒にいる、と言うのは文字通りの意味である。何しろ彼女達二人は同じ寮に住んでおり、プライベートでは四六時中一緒でいることが多いのだ。そのイチャイチャぶりは事務所の内外から「あの二人って恋人同士みたいね」と茶化されることが多いのだ。


「ねぇあずさ、まだちょっと時間あるでしょ?」


 ユリカはあずさに近寄って耳元でささやいた。


「うん、もうユリカちゃん達のライブも終わったし、後は後輩の子達のライブを挟んでだから、三十分くらいはあるわね」

「じゃあ、いつものあれ、いいかしら?」

「えっ、でもどこで?」


 ユリカの提案に戸惑いを見せるあずさ。もっとも、彼女にユリカの提案を拒否するよ見られなかった。


「この会場をちょっと見て来たんだけど、空き部屋が見つかったわ。あまり人通りもない場所だし、ほんのちょっとだけなら大丈夫よ」

「うう~ん、じゃあ、ちょっとだけなら良いわよ」

「ありがとう、あずさ」


 ユリカはにっこりと微笑んで喜んだ。


「スタッフさん、ちょっとの間休憩しますわ。場所は自分達で決めますので、おかまいなく」

「分かりました、でも後三十分なので、なるべく十分前に戻れるようにスタンバっといてくださいね」

「了解しましたわ。ありがとう。行こう、あずさ」

「うん」


 そう言いながら二人は、舞台裏を後にした。



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 ユリカが見つけた空き部屋と言うのは、会場となったドームの小準備室である。この部屋があるのは地下一階であり、一応立ち入りは禁止とはなっていないのだが、彼女達にとっては基本的に使うことがない場所なので、誰もいないのだ。ここはユリカとあずさにとって、をするのに最適と言えるである。


「ユリカちゃん……」

「可愛いわぁ、あずさぁ……」


 ユリカはあずさを後ろから抱きしめ、彼女のお腹を右手で触っていた。


「もう、ユリカちゃんったら……」

「あずさのおなかって、スベスベで肌触りがいいわ~❤」

「もうっ、ユリカちゃんは私のおなかが大好きよね~」


 恍惚とした表情でユリカにそうつぶやくあずさ。そこにはファンの前で見せている明るい表情はなく、どこか大人な雰囲気すら漂わせていた。当のユリカはと言うと、お腹をくすぐり始めた。


「絶対領域も色っぽいわね~❤」


 続けてユリカは、あずさの絶対領域から覗く太ももを撫で始めた。


「ユ、ユリカ、ちゃん……」

「本当に好きよ、あずさ……❤」


 ユリカにそう言われ、嬉しそうな表情のあずさ。


「この衣装ってキュートだけどセクシーよね❤」

「あたしのお姉ちゃ、プロデューサーがこんな風な格好なら可愛いって言うし、私も気に入ったから選んだだけだよ~」


 照れながらもそう言ったあずさ。ちなみに彼女のプロデューサーは、八歳年上の彼女の姉である。姉の方は大のアイドル好きで、妹のプロデュースには余念がないのだ。


「あずさのお姉さん、ナイスなチョイスをしたわね❤」


 姉に感謝しつつ、目の前のあずさの身体を堪能し続けるユリカ。


「私はあずさが世界で一番大好きよ❤」

「ユリカ、ちゃん……❤」


 熱のこもったユリカの口説き文句に、あずさは完全に陥落した。いや、既に陥落していたものが、更に落ちるところまで落ちたと言った方がいいだろう。


 その直後、ユリカの腕時計が、最後の歌の開始まで残り十分を告げるアラームを鳴らした。


「ふふっ、そろそろ時間ね。またあなたの可愛いところ、ファンの皆に見せなきゃね」

「も、もうユリカちゃんったら、ここまで私で遊んどいて、すぐにアイドルモードに戻るなんて……」


 先程までのあずさ可愛がりモードから一転、アイドルモードに戻ってしまったユリカに、あずさは少々物足りなさを感じていた。


「また後で可愛がってあげるから、それまでは我慢よ❤」

「ううっ、あずさ、我慢するっ」

「宜しい。じゃあ、戻りましょう」

「うんっ」


 そう言って二人は小会議室を出て、再び多くのファンが集うドームへと戻るのだった。

 







 

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