白状します!

世界三大〇〇

第1話 むかし、嘘が本当になったはなし

 むかしといっても、40年くらい前。つまり昭和のいつかのはなしです。


 とあるエイプリルフールの日に、僕は嘘をついた。その嘘は、直ちに街中を駆け抜けた。その証拠に、僕のところにその嘘がまわってきた。

 午後5時ごろ、友達と公園で遊んでいた。お腹を空かせた僕たちを襲う、どこかの家庭の夕飯の匂いがした。今日はカレーのようだ。


「おい、◯◯。知ってる? カレーとチーズを混ぜると美味いんだぜ!」


 それは今朝、僕が言った嘘と同じだった。僕のこの日の朝食はカレーだったから、家族に対してついた嘘だった。

 だが、僕のついた嘘がまわりまわって僕のところへきてみると、それが真実の輝きを放ちはじめたんだ。だから、僕はすっかり信じてしまった。自分のついた嘘を! 恐ろしくバカだったからね。


「バーカッ! ◯◯、信じたろう。今日はエイプリルフールだぜ!」

「なっ。僕、騙されたのか……。」


 ちょっとだけ、腹が立った。だから言ってやったんだ。


「エイプリルフールといえど、嘘をついて良いのは午前中だけなんだぜ!」


 友達は信じたみたいで、平謝りしてきた。それが、僕がついた嘘とは知らずにね。そのときの友達の顔は、今も忘れないよ。僕は、友達の姿があまりにも滑稽なので、嘘だということを明かさずに今でもそのままにしている。


 次の年、エイプリルフールは様変わりしていた。午前中しか嘘をついてはいけなくなったんだ。僕の嘘が、本当になったみたい。

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