第36詩 誰かの特別になりたかった

特に嫌いな人もいない 嫌われた経験もあまりない

だから 誰とでも仲良くなれた

だから 皆に同じ接し方をした

それが『なりたいもの』を遠ざけていたのかな


彼のことが好きでした 隣にいられればよかったのに

だけど 友だちも多かったから

だけど あなただけに見せる何かを持たなくて

それが『あなただけのわたし』を失わせていたのかな


みんなに好かれることは あなたの特別になることじゃない

みんなに嫌われれば きっとあなたもわたしを嫌った

嫌われたくない 臆病なわたしは あなたの好きにはなれないの?


誰にでも笑顔で 誰にでも同様に それを良しとされた季節はもう過ぎた

もうあなたは傍にいない きっと何処かで幸せに

わたしはそれを願いながら 独り寂しく膝を抱える


どうすればよかったの? でもきっとあの頃に戻れても

わたしは変わらないのだろう あなたを特別に思うのだろう

きっと あなたはわたしに気付かないだろう

わたしは あなたの友だちの一人

それだけの存在でしかないのだから


いつも元気ね? 褒め言葉は 時に心をえぐる刃

心が流す涙を誰か そっと救ってくれませんか


もう壊れそうなんだ もう崩れ落ちそうなんだ

誰か助けて そのSOSは もうきみには届かない


わたしは胸に抱えたままで 抱き締めたまま歩いて行く

心を温める方法を知らないままに わたしは自分を抱き締める

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