第二章凱旋から出立 1話 私は帰ってきた!けど・・・

ターダノが前魔王から連れ去られ・・・いや、訓練をしに行ってから3年経った。

現在ターダノはかなり大きくなっており、父ダノンゾルデに引けを取らないほど大きくなった。

そして訓練をしていたとある場所から魔王城に帰る時期だと前魔王から告げられた。


「そろそろ、帰る時期じゃな!

本当に大きくなってからに・・・」


「前魔王様、そんなに大きくなりましたかね?

前魔王様が大きすぎて、大きくなった感じがあまりしないんですが・・・」


「前魔王様とかそんな言い方戦でえぇ。

バスタブと呼べと何度言うたらわかるんじゃ」


「バスタブノーウェ様をそんな愛称で呼ぶと僕の首が物理的に首が飛びますよ!」


「そんなんで首を飛ばすバカがおったらそいつの首を飛ばすわ!はは!!」


「そんな笑顔で言わないでください、もう!

でも、もう3年経って昇華の儀式の時期になったのですね・・・

3年の訓練が今となってはかなり短い時間に感じられますが、ただ、以前の状態を考えたら今の僕は影も形もありませんね!」


「ふほほ、そうじゃろうそうじゃろう!

それだけの成長を経験したと言うことじゃ!誇って良いぞ!」


「はい、誇ります!

そして、この姿を私の父と母に見せて驚かせたいと思っています!」


「はは、本当に訓練しだした頃は数時間おきに大丈夫か大丈夫かと何度も何度も思念伝達されたもんじゃが、流石に1年経った頃からは大分少なくなったからのう。

まぁ、それでも毎月一回は必ず連絡が来るくらいターダノのことを愛しておったんじゃろう!

まぁ、わしは生きとるとしか思念で返信はしとらんかったから、帰ったら驚くぞ!」


「はい、本当にありがとうございました!

えーと、では、家に帰ろうと思います。

バスタブノーウェ様、また会えますでしょうか?」


「あぁ、会える。必ずな!」


「はい、では、失礼します!」


ターダノは手を前にかざし目を閉じると、モザイク状の残像が浮かび、その瞬間、以前住んでいた街へと飛んだ。

以前住んでいた街は以前と変わらずとても綺麗な街並みだったが、成長し背がかなり伸びたこともあってか以前とは違う街並みに見えた。

現在のターダノの背は180センチほどとなっており、強靭な肉体も相まってかなり人目を引いていた。


(あれ?なんか以前と違う景色に見えるな。

やっぱり背が大分伸びたみたいだな。

てか、家に直接入りたいとは思ったけど、以前と違いすぎてお父さんやお母さんから攻撃されたりしたらたまったもんじゃないからな。

見た上で驚かれてもいいけど、驚かせたら僕が死んじゃいかねないから、やっぱり扉から入った方が良いよね。)


ターダノはそんなことを考えながら歩いていると、凄く小さい子がつまずいて転びそうになっているのを発見したので、そっとその場に移動し転ぶのを防いだ。

するとその子がターダノの顔を見上げ、


「お父さん?」


と、呟いた。


「違う違う、僕は君のお父さんじゃないよ。

君、僕は君のお父さんに似ているかい?」


「うん、似てるよ!凄く似てる!

かっこいいところとか!」


「ふふ、それは光栄だな!

ありがとうね。」


そんなことを言いながら歩いていると、


「おと・・・違った、お兄ちゃんと話すのがとても楽しかったらもっと話したいんだけど、でもそろそろ帰らないと・・・」


「そうなんだね。送って行こうか?」


「大丈夫!一人で帰れる!」


そう言って小さい女の子はターダノに手を振った。

それにターダノは手を振り返しその女の子と別れたのだった。


(というか、この辺僕の家だな、ちょうど良かった。

だけど、お父さんとお母さんになんて挨拶しよう。

てか何話そう・・・転生する前もこんな経験ないもんな。

あ、やっぱりここは私は帰ってきた!かなぁ・・・

まぁ、家がもし違ったらアレだし、とりあえず窓越しにちょっと家覗こう。)


明らかに不審者なターダノは以前いた日本では見つかると即逮捕レベルの状態を叩き出しながら外から家を覗いていた。


「へー、家具は変わってない感じだなぁ・・・てか、少し内装変わってる気がするなぁ・・・懐かしいなぁ「ねぇ、ちょっと、君?」」


「え?は、はい、どうしましたか?」


「君、ここの人?違うよね?明らかに怪しい感じを出しながら家の中を見てる奴がいるって近所の方から伝達があったんだよね。

ちょっと話を聞かせてもらえるかな?」


「え、ちょ、ちょっと、僕はこの家の子で・・・」


「この家の子?いやいや、それは違うよ。君もうかなり大きいじゃないか。

それに、ここには二人の女の子が住んでいるだけだから。」


「え、女の子が二人??意味がわからないんだけど!ちょっと、頭を引っ張らないで!ちょっとぉ!」


「いいから、ちょっとこっち来てね〜」


「あっ!」


するとさっきお父さんに間違えられた女の子が家から出てきてターダノと目があった。


「あれ、お兄さん、どうしたの?」


「いや、ちょっ「この魔族は君の家の中を覗いていたんだ!君、危ないからこの魔族に近づいちゃいけないよ」」


ターダノは言葉を遮られた上で酷い誤解を受けた。

しかも、小さな女のはとても恐怖の表情でターダノを見ていた。


「え、お兄さん・・・」


「き、君、ち、違うんだ!」


「おい、行くぞ、早く来い。」


「あ、頭を引っ張らないでぇ!てか、誤解なんだってぇ!!」


ターダノの凱旋は牢屋への直行ルートになったのであった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る