9.やんちゃなゴウト!
もう!
またゴウトがお夕飯の支度の邪魔をしたの!
ゴウトはロクレイが大好きだから、わざと意地悪したり、いたずらしたりするのよ!
えっとね、わたしのひとつ下の、九歳の子は、三人いるの。
前にお話しした、わたしのかわいい妹シースと、なんでも覚えてるロクレイ、それからもう一人、“やんちゃ”なゴウト!
“やんちゃ”っていうのは、いたずらをいっぱいして、みんなに怒られることが多い子を言うんだって。
ふふっ、ゴウトのことね!
いつも同じ歳のロクレイと一緒にいてね、ロクレイはゴウトにやんちゃをされるんだけど、怒ったのは見たことはないんだよ。
ロクレイがおとなしいからゴウトはからかうんだって大きいお兄ちゃんは言うんだけど、違うと思うんだ。
わたしとかシースは人見知りでね、誰かと話すのが恥ずかしいからあまりおしゃべりできないけど、ロクレイはもっとで、知らない人には近寄らないし、絶対にしゃべらない。
でも、それよりも、もっともっと、寂しがる子なの。
だからね、ゴウトはずっと一緒にいてあげてるの。
ロクレイが寂しくないように。
ロクレイの顔を突っついて、スウィンお姉ちゃんが作ってる料理をつまみ食いしてロクレイの口にも突っ込んで、少し伸びたロクレイの髪を寝てる間に変な形に結んで、他にもいろんないたずらをして、そしてね、ロクレイにたくさん笑ってあげてるの。
ロクレイはあんまり笑わないけど、ゴウトを嫌がったことは一度もないよ。
楽しいのかな。嬉しいのかな。
わたしにはロクレイの気持ちはわからないけど、ゴウトがすぐ横にいるときのロクレイは、一番ロクレイらしくしていると思うんだよ。
なんていうのかな、ゆったりとしてて、落ち着いてるのかな。
うん、二人は、一緒にいるのがとっても自然なんだ。
しゃべらないロクレイの代わりっていうくらいに、ゴウトはよくしゃべるの。
ロクレイはちょっと特別な子だから、ゴウトはロクレイをそうやって守ってるんだ。
大きいお兄ちゃんたちが来てくれるまで、小さい子供だったわたしたちを守ってくれたのはタグお兄ちゃんで、ニキやイチヤお兄ちゃんも頑張ってた。ゴウトとロクレイはまだできることが少なくて、その頃のゴウトは怖い顔をしてることも多かったんだ。
いまは、ゴウトはすごく嬉しいんだと思う。
大きいお兄ちゃんたちがみんなを守ることができてて、イチヤお兄ちゃんが無理をすることもなくて、ロクレイが泣きそうな顔をすることなんてない。
だからゴウトは自由なの!
好きなことをできるって、楽しいんだよね。
でもね!
せっかくできてたお夕飯のおかずの一つが、ゴウトがロクレイを走って追っかけ回してて床に落としちゃったのは“やんちゃ”がすぎると思うの!
スウィンお姉ちゃんが久しぶりに好物を作ってくれたって、セリュフや大きいお兄ちゃんたちが喜んでたから、みんなにいっぱい怒られるといいわ!
ちょっと赤みの強い茶金の髪と、黒に近い茶色に薄茶の混じった眼の男の子が近くにいたら、いたずらされないよう気をつけてね!
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます