4.エヴァンスは秘密の男なんだって


 こんにちは!

 今日は誰のことを書こうかなって、ずっとずっと悩んでたの。


 一緒に住んでるのはね、この前書いたスウィンお姉ちゃんとセリアお姉ちゃん、あと、女の子はわたしのひとつ下にシースがいるよ。

 それから、男の子は、わたしとおんなじ歳のニキ、イチヤお兄ちゃんは十二歳、一番小さいのはまだ五歳のシチェックで、ゴウトとロクレイはわたしのひとつ下で九歳、一番大きいのがタグお兄ちゃんで十四歳だって。


 うーん、どうしようかな。

 ほんとはね、リーヴのことも書きたいの。

 だって、みんなの王子様だから!

 でもね、大好きなものは、最後にとっておくのもいいんだって。

 誰が言ってたっけ?


 決めた!

 今日はね、エヴァンスのことを書くよ!

「人の期待を裏切るのも楽しいじゃない」って、わたしが書いてるこれを見て、いまエヴァンスが言ったんだよ。

 わたし、エヴァンスのことも大好きだよ。

 きゃあ!

 エヴァンスが頭を撫でてくれた!

 うれしいうれしい!

 でもすぐに「カッコイイお兄さんだって書いておいてよ」って言って、大きいお兄ちゃんたちが集まってるお部屋に行っちゃった。


 エヴァンスは冗談を言うみたいに笑ってたけど、ちゃんと、すっごくカッコイイお兄ちゃんだよ!

 えっとね、リーヴがいなかったら、エヴァンスが王子様になってもおかしくないの。

 髪はね、きらきらの金色じゃないけど、お外で太陽の光があたると綺麗な金色になるし、水色の眼もとっても綺麗なのよ!

 何歳って、エヴァンスにきいたけど、教えてくれないの。

 どうしてなのかな?

 秘密がある男は魅力的でしょってエヴァンスは言ってたけど、本当かなあ。


 どんなことでも「秘密」って言ってエヴァンスが笑えば、落とせない女の人はいないんだって。

「七、八割だな」って、いまこれをみてセリュフがぼそっとつぶやいたんだけど、えーと、十人の女の人がいて、その中の八人くらいは落ちるってこと?


 どこに落ちちゃうのかな?

 穴みたいなところだと痛くないかな?

 そんなに笑わないでセリュフ!

 もうあっち行って!


「そこに書いてることみんな、声に出せるといいな」って言って、セリュフはあっちに行っちゃった。

 でも、恥ずかしいの。

 なにしゃべろうかなって思ってると、すぐに声が出ないの。

 他の人がいたら、スウィンお姉ちゃんの後ろに隠れるし、イチヤお兄ちゃんの腕にしがみついちゃうの。


 いろんな人と、いっぱいいっぱい、おしゃべりしたいのに。

 でもね、あのね、大きいお兄ちゃんたちも最初は怖かったけど、みんな優しいの。

 だから、もっとちゃんとおしゃべりできるようにがんばるから。

 いっぱいお勉強して、お料理もたくさん覚えて、素敵なお姫様になるの。


 待っててね!

 わたしだけの王子様!



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