開店10周年記念のお祝い③

「「「「「いらっしゃいませ~!」」」」」


 からんころん、という扉にの上につけられたベルの音が鳴り、ウェイトレス達と踊り子達が店の玄関で今夜のお客様を歓迎する。遂にこの日、ダンサブルングの酒場の開店10周年を記念したフェスが遂に始まったのだ。


 10周年という節目の年を記念としただけに、長年この店を愛している常連客から、この日をきっかけにこれから通ってみようと思っている新規のお客様まで、老若問わずの女性達がぞろぞろと入ってきて、店はあっという間に超満員の状態になった。


「凄いわね~。まさかこんなに集まってくれるなんて……」

「これもカミーラさんの経営手腕と人徳の賜物ですね」


 と、ウェイトレス統括役のレセカナがカミーラに言ったが、当のカミーラは微笑みながら首を横に振った。


「あなた達が頑張ってくれたおかげよ。私は単に提案しただけ。そこからあなた達が積極的にお店を盛り上げようといろんなアイデアを上げてくれたわ」

「カミーラさん……」


 踊り子統括役のミラは、そんなカミーラの言葉に、目をウルウルさせていた。


「あなた達はこのお店を愛してくれている。そして最愛の人を見つけて愛を育んでる。彼女達と一緒にこのお店を盛り上げてくれて、私は本当に嬉しいわ」


 そう言いながらカミーラはレセカナとミラを優しく抱きしめた。


「カ、カミーラさん……?」

「どうしたんですかぁ~?」

「ありがとうレセカナ、ミラ。私の右腕としてここまで頑張ってくれて……」


 普段であれば大人の余裕を見せて冷静沈着、そして常に妖艶な笑みを浮かべているカミーラ。その雰囲気こそ変わらないが、発している声は今まで以上に優しく、慈愛に満ちたものだった。


「カミーラさんのこのお店は、私達にとって第2の家と言ってもいい場所です」

「その節目の年にとなった今年に、そしてずっと私達を支えてくださったカミーラさんへの恩返しもしたいって思ってたんですよぉ〜❤️」

「レセカナ、ミラ……」


 2人の感謝の言葉に、カミーラは目頭が熱くなった。


「「「「「メリンさぁ〜ん❤️ こっち向いてぇ〜❤️」」」」」

「「「「「ユリちゃんマユちゃん、こっちきてお触りし合いましょぉ〜❤️」」」」」


 既に店内では踊り子達の情熱的かつ扇情的な踊りが始まっており、客達は彼女達の踊りと身体に魅了されていた。


「行こっ! マユ」

「うんっ!」


と、踊りを終えたユリ・マユのコンビはお客さま達のいるテーブルへ駆け寄り、彼女達とおしゃべりしながら胸や太ももを触り合う等のスキンシップを行い始めた。


「はぁ〜❤️ やっぱり踊り子ちゃんのおなかはスベスベで気持ちぃ〜❤️」

「頬擦りすると分かるわぁ〜❤️」

「ありがとうございますっ!」

「この子の胸も大きくて、揉み応えがあるわぁ〜❤️」

「お客様のお胸も大きくて素敵ですよぉ〜❤️」

「あんっ❤️ お客様ったらお尻触り過ぎですよぉ〜❤️ 今度は私がいっぱい触っちゃいますよぉ〜❤️」

「いいですよっ! いっぱい身体をすみずみまで触ってくださぁ〜い❤️」

「シルクちゃん可愛いわぁ❤️ こっちにきて一緒にお話ししましょ〜❤️」

「分かりました! ルチアさん!」

「ふふっ、私も行くわよ!」

「「「「「ルチアさん綺麗❤️」」」」」


 一通り舞を終えた踊り子達のほとんども、お客様達との触り合いや談笑を始めており、店内のはピンクの空気が漂い始めた。


「流石に記念の日ってこともあって、いつも以上にみんな積極的ねぇ」

「この踊り子達との距離の近さが、日頃の仕事の疲れが溜まったお客様の憩いとなっているんですよね〜」


 いつも以上にこの空気に酔いしてる彼女達を眺めながら、カミーラとレセカナは微笑んだ。


「そろそろ私もいくわよぉ〜❤️」


 と、ここで踊り子統括役のミラが入り、店内の熱気は一気に最高潮に達した。


「ミラお姉様ぁ〜❤️」

「こっち来てくださいませ〜❤️」


 お客様達はミラを見るや否や、彼女を求めて艶のある声を出した。


「ほらほらぁ❤️ 私と戯れましょ〜❤️」

「「はぁ〜い❤️」」


 と、早速お客様達はミラの太ももやお尻を触ったり揉んだりし始め、ミラは微笑みながら彼女達の頭を撫でた。すると他のお客様達も彼女に群がり、胸やお腹を触り始めた。


「相変わらずミラは大人気ねぇ〜」

「あれがミラさんの人気の秘密ですからね。本当に最初っからあんな感じですもの」

「あの子の踊りと振る舞いが、このお店の踊り子達にとっての憧れと目標になった。本当にあの子には感謝しても仕切れないわ……」


 そう呟きながらパイプを吸うカミーラ。その瞳には微かに涙が浮かんでいた。


 「メルル〜! 5番テーブルと7番テーブルのお客様方の注文が入ったわよ!」

「分かったわカレル! 私のウェイトレスグループで対処するわ! ラメルナ、お願いね!」

「分かりました!」


 と、いつも以上にウェイトレス達が忙しなくお客様の対応を行う。


「では、3番と4番テーブルは第3グループで対応します!」

「じゃあ私は6番と8番テーブルは私達第4グループで対応するわぁ〜❤️」


 と、第3ウェイトレス長のサレンと第4ウェイトレス長のメリッサも、先輩達に負けない働きを見せた。


「レセカナ。あなた達ウェイトレス達にも本当に感謝してるわ。お料理にお酒に、それに事務にも色んな形でこのお店に貢献してくれたわ。あなた達無くしてこのお店はここまで成長しなかったわ」

「そ、そんなことは……/////」


 カミーラの賛辞に照れるレセカナ。


「あなた達がいるからこそ、このダンサブルングの酒場は盛り上がれる。私は、これからもずっとあなた達とこのお店をやっていきたいわ」

「……私もです。カミーラさん」

「みんなのこと、愛してるわ❤️」

「私も、このお店と皆さんと、カミーラさんを愛してます❤️」


 そう言いながら2人は手を繋ぎ、踊り子やウェイトレス達の働きを眺めた。


 ここはダンサブルングの酒場。男子禁制の、女性だけが入店を許された場所。これまでもこれからも、疲れ果てた女性達を癒す為、ウェイトレス達は絶品の料理と接客を、踊り子達は魅力的な踊りを披露していく。

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ダンサブルングの酒場の乙女達~美しき踊り子達とウェイトレス達の百合色の日々~ 路地裏の本棚 @gonsuke2001

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