第6話 僕と契約して魔王になってくれないか?6


 アイコンが変形して縦長のリストになる。


 上から順番に髪型、肌色、装飾品、服……

 よくある初期設定の方法だ。


 俺は順番に選んでいく


 髪型 自分と同じ

 肌色 自分と同じ

 装飾品 メガネ

 服……



 基本的に現実の自分ベースでアバターの設定を終える。



 目の前には俺そっくりの人間がいた。


「あはは、まんま裕くんじゃん!」


 学が笑ながら指を刺す。

 緑の羽が凄まじい速さで動いているのがなおムカつく。


「うっせ、考えるの面倒だからいつも大体こんな感じなんだよ」


 俺はランドセルを摘む。

 凄いバランスだ……どう動かしてもランドセルと羽が絶妙に当たらない。



「あのー、私は無視ですかー?」


 赤い光の妖精が小さい声で喋っているが、

 早く役職を決めたい俺には届かない。


 しかし学は気付いてしまったようだ。


 あっ!と声を上げながら涙目でこっちを見ている妖精に手招きする。


「酷いです、無視ですか

無視なんですね、無視なんですかー」


 遠目からだと幼稚園児に見えた赤い妖精が泣きながら近づいてくる。

 学は光の色と同じく緑の羽に緑の髪だったが、こっちの妖精は白い羽に金髪の美少女って感じだった。

 年齢で言うと12歳くらいだろうか?

 ちなみに学は6歳の新一年生を目指して設定したらしい。



「ごめんねー、つい夢中になっちゃって!

忘れてたよー」


 小学生が悪気なく答える。


「なんのフォローにもなってねぇよ

あー、ごめんな、佐藤 裕二です」


 敬語を使おうか迷ったが学の反応と見た目的にやめることにした。


「グスッ グスッ いいんです

どうせ私なんて忘れられる存在なんです

居なくても変わんないんです」


 勝手に自己嫌悪してる少女になんて声をかけて良いのかわからない俺は学に視線を送る。


 見られてることに気づいた学は苦笑いをしながら手をバツにして首を振る。


 はぁ……

 心の中で盛大に溜息をついた俺は仕方なく話しかける事にした。


「はじめまして

 えーと、学と同じ会社の人かな?」


 まぁこのタイミングでここにいる以上間違い無いと思うが他に上手く話せる方法が思いつかなったので質問する。


「うぅ、そうです

遠藤 真由と申します

佐藤さんと……学さんと同じチームに所属しています」


 そういえばどっちも佐藤さんでしたと呟きながら自己紹介をしてくれた。


「取り乱してしまいすいませんでした

今日は学さんと一緒に裕二さんのキャラクター設定とその後の戦闘等のお手伝いをさせて頂きます」


 少し落ち着いたのか先程までの幼いイメージとは逆に出来るOLみたいな感じな言葉使いだ。

 それにしても戦闘か……

 ゲームの醍醐味にして俺がもっとも好きな瞬間だ。

 特にPvP……プレイヤー対プレイヤーなんて一瞬の判断やどう動けば良いか必死に働く頭、

 日頃死んでる自分が生きてる感じがする。


「真由ちゃんも僕達と同じ歳だよー

だから裕ちゃんも仲良くしてあげてね!

よしっ、じゃあ役職いっちゃおうか!」



 遠藤さん同い年なのか……

そしたらこのまま敬語なしでいいか。


 同僚が落ち着いたのを確認した学が次のアイコンを指差す。

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