第5話 僕と契約して魔王になってくれないか?5


 目の前に星が流れる

 意味わからないな…

 でも例えるならそんな感じ

 黒い世界に光の線がどんどん広がっていく。


 俺はこのログインする瞬間が好きだ。

 ワクワクする


 そして視界がホワイトアウトした。







「ようこそThe 2nd worldへ」



 どこからか声が聞こえる。

 目の前は真っ暗だ。



 技術的介入を開始します

 精神的介入を開始します



 機械的な声が聞こえる。



「ようこそThe 2nd worldへ」


 同じ言葉だ。

 目の前は相変わらず真っ暗だが、

 自分と同じ姿をしたものが立っているのがなんとなくわかる。

 あぁ、楽しみだ

 今までの経験からこいつをベースに俺のアバターを作るのだろう。



 真っ暗だった世界に異変が起きる。

 赤と緑の2つの光がこちらに向けて飛んでくる。

 それが近づいてくるとだんだん輪郭が見えてきた。


 妖精……?

 王道なら初期設定のアシスタントみたいな感じか?


 それは羽が生えている掌サイズの人だった。

 良く遊んでいたゲームではフェアリー等と呼ばれていたものだ。



「はじめまして、あなたが佐藤 裕二さんですね?」


 赤い光に包まれた妖精が見た目通りの幼い声で話しかけてくる。



 返事をする前に、

「やぁ、裕ちゃん!

僕だよー」


 緑の光に包まれた妖精は小学生を意識しているのかピカピカのランドセルを背負って話しかけてくる。


 裕ちゃん?

 俺を裕ちゃんと呼ぶのは世界であの自称親友1人だけだ。



「もしかして… 学か?」


 勝手に声が出ていた。



「うん、そうだよー

さっきぶりだね」


 妖精……もとい学は普段と同じ口調で返事をする。


「ログインしたは良いけど、どうすれば良いんだ?」


 早くゲームがやりたい気持ちを抑えて学に聞く。


「ここは他のゲームと変わらないんだ

まずは外見を決めて、その後役職、得意装備、魔法、ステータスポイントの振り分けをして初期設定完了だよ!」


 学は手を振りながらドヤ顔で説明する。

 そして指差しながら、

 まずはここだよーと丸いアイコンを指差す。


 そうだよなぁ…

 これ学達が作ってるんだよな


 心の中でだけ感心しながら、

 学の指示通りにアイコンをタッチする。

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