お守り

「じゃあね黒乃さんと阿呆。困ったことがあったらいつでもいらっしゃい。」

八雲がこれでもかというぐらい嫌味を言ってくる。黒乃はニコッと笑う。畜生こいつもグルだったか。

「最後にもうくるか婆さん。」

「分かった死神呼ぶね。まったく素直じゃないな。」

この言葉のやり取りがさようならたい挨拶らしい。

まあこの時悪口は呆れているのか、どうなのか。

「なあこんな着物あったっけ。」

雨寺様はそっぽ向いて話しかけてくる。

「えっと貰いました。はいどうです。似合いますよね。」

私は嫌味たらしく言った。どうせ返ってくる言葉は分かっていた。期待なんてしていない。

「まあいんじゃない。少し年寄り臭いけど。」

ブチ。私の中で、堪忍袋という袋が切れた。流石に今のは予想していたのよりも酷かった。

「阿呆神様。少しだけ余計です。」

「阿呆とは何だ黒乃。だって事実だろう。あの八雲からの貰い物だろう。」

「私が欲しかったのは…。はあこんなこと言っても阿呆だから通じませんよね。それよりもです。帰ったらお守り作りましょう。」

「はいなんでですか黒乃さん。仕事あるんだけど。なんで。」

「えっと人間の仕事をしても5円しか、もらってこないからです。阿呆様サービスはいいですけど、生活費ぐらい稼いでください。」

「で何円で売り捌く。」

「1000円です。はい、それぐらいですね」

なぜか阿呆様は珍しく怒っていた。そんなに阿呆阿呆言っただけな。

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