Agnus Dei 11
ういーん。
機械と化したオガシラ・マサルは、その言葉を待っていたかのように、今までにないほど大きな作動音を響かせた。無機質な重低音が研究室いっぱいに広がる。
「——質問に、答えよう」
そして、オガシラ・マサルは最後の質問の回答を始めた。
「『
「ひとつ?」
「あの強さのものが、他にもいるということ?」
「私がその方に命じられて製作したものは三体。うち一体は製作途中の事故で死亡したことに、もう一体は製作途中に脱走したことになり、残りの一体が『零式』だ。この三体は、ある女性研究員から提供された卵子を原初としているため、姉妹にあたる」
「脱走って……じゃあもう一体いるってこと?」
「いや、脱走したことになっているということは……まさか」
ハルカは既に気づいていた。自分の脳裏に消された記憶が何物なのかを。
そして、レイ・ホウリュウがどうしてその記憶を選択して消去したのかも。
「『零式』は、白銀の美しい鱗を持ち、他のドラゴンを圧倒する大きさが特徴の、私が作り上げた中で最も美しいドラゴンだった。彼女のおかげで
——それで滅びてしまうのであれば、そういう運命なのだろうと、私は思う」
「ちょっとハルカ! やめなよ」
ハルカはオガシラの説明を待たず、次の質問を入力する。
「こうなるところまで、オガシラは読んでいるはずだ。コウサキ・アヤノがいずれここに来ることを彼は知っていたんだ」
「残りの二体はどうなったのですか」
ハルカはすかさず質問を入力した。
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