Kyrie 5
ハルカが目を覚ますといつものように、灰白色の天井がそこにあった。自分をのぞき込んでいるふたつの見慣れた頭が、いつもと同じように表情を変える。
「予定覚醒時刻より三時間遅れている」
「やはり
守衛長としては異例の戦歴を誇るホウリュウ大佐は、【
現状、
ハルカはゆっくりと起きあがった。
「大佐がそうおっしゃっても、わたしは
ハルカは淡々と、それだけを口にすると、ベッドから飛び降りて外へと歩き始めた。
「それがわたしの役目ですから」
ホウリュウ大佐は、ふう、と深いため息をつく。無駄なのはわかっている。最初から今まで、ハルカとセリナは変わることなく、ずっとここまで戦ってきているのだから。
ハルカの足音だけが規則的に響いて、病室の扉は閉じた。
「あたし、行ってきます」
いつも通り困惑の表情を浮かべた守衛長に、極めて冷静な口調と表情でセリナは告げた。
「申し訳ないな」
「いえ、これがあたしの役目ですから」
「そうか……」
やや慌てた足音が遠ざかると、ホウリュウ大佐は、はあ、と大きなため息をついた。
「あいつらは、似ているんだか、似ていないんだか、いつもわからなくなるな」
その独り言を聞く者は、誰もいない。
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