無題


長い長い旅を続けてきたと思う。

これからも、それは変わらないと思う。

だからこそ、僕はこの旅を続けたいと思えた。


悠長な夢なのかもしれない。

お気楽な考えなのかもしれない。

縛られたくないだけの我儘だったのかもしれない。


だから、僕は歩く。歩き続ける。楽しいこの長い旅を。


深々と被ったシャッポに、くたびれたレザーローブ。

くるんと丸まったリスの尻尾はまだまだ疲れを知らない。

だから、歩くんだ。


「おや、にぃちゃん。あんた、風獣だね?」


喧噪賑わうバザーを歩いてたら、声を掛けられ、一言そういわれた。

僕は、あぁ。とだけ、答えてまた歩く。


僕はただこの旅を続けたいのだ。


「おぅ、にいさん!旅の荷物にこの酒はどうだい?陽気な気分になれるぜ?」


またある所では、酒場の前で客引きをしていた屈強な男が声をかけてきた。

特徴的なピンと伸びた尻尾は、猫の証拠。

でも、僕は、要らない。と答えた。


僕はただ、この旅が楽しいだけなんだ。



目的は勿論、ある。

僕の目的、それは、この世界から見える星空を全部見つける事だ。

だから、僕は常に歩き続ける。あの星は、綺麗だ。

あの星は、悲しいんだ。と感じながら


だから、僕は歩くんだ。この星で生きた何かを残したくて、そして、この星以外で生きてる誰かにこの旅の楽しさを伝えたいから。


「ひっひ、急ぎなさんな。おにいさん、どれ占ってやろうか?」


小さな路地裏の中、僕はしなくても大丈夫です。と、答えた。


そんな未来や過去占っても、今の楽しさには叶わない。

だから、この旅は楽しいんだ。歩くだけでも楽しいんだ。


良い?


もし、君がこれを感じているなら

君も旅に出てみないかい?


きっと、疲れる事だろう。

勿論、嫌な事も起きるだろう。

突然、好きな事にも恵まれるかもしれない。


だから、僕は歩くんだ。この旅を


END

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