大学受験に失敗したら、車いす美少女と仲良くなった

little bear

第一章 それぞれの紹介と出会い

第1話 プロローグ


 第一志望の大学に落ちた。


 センター試験の結果に基づいた志望校判定を見て思う。

 厳密に言うと、まだ二次試験を受けていないので落ちてはいない。

 しかし、志望校判定欄に書いてあるE判定を見る限り、受かる可能性は低いだろう。

 

 コメント欄にある『あなたの合格可能性は20%以下です』という文字を見て、頭に血が上ってくるのを感じる。


 なんだこのコメント。

 言われなくても分かってるわ! 

 この三年間でどれだけお前を見てきてると思ってんだよ!

 二度とつら見せんな!

 

 



 ……ふぅ。

 少し情緒不安定になってしまったが、正直に言うとこの結果は想定内ではあった。

 受けていて手ごたえをあまり感じなかったし、センター試験の自己採点をしていて涙が止まらなかったし……。

 しかし、想定内ではあったが、心の準備ができていたわけではない。

 こうして一つの事実としてE判定が突きつけられると心が折れる。


「どうすっかなぁ……」


 思わず志望校判定の紙を握る手に力が入る。

 紙がクシャクシャと悲鳴を上げるが、悲鳴を上げたいのは俺の方だった。

 この大学に入るために多くの努力をしてきた。

 勉強をするために多くのものを犠牲にしてきた。

 友達や親友、彼女の連絡先も全て消したし、毎日十時間以上勉強をした。

 それでも、現実というものは厳しいもので、頑張った結果がこれだ。

 

「志望校、考え直すかしかねぇか……」

 

 とりあえずは、親にこの結果を見せて相談しなければならない。

 俺の大学受験はまだ終わってない。

 受験のために払った代償を考えるのは、すべてが終わった後にしよう。


◆◇


 結果として、第一志望の大学を変更することになった。

 

 俺の家に私立大学に行けるほどのお金はない。

 俺自体にも、浪人するほどの体力はない。


 誰が浪人なんかするか。

 受験勉強なんて高校三年時のみで大丈夫です。延長しません。結構です。


 そうなると、俺のセンターの点数でどこの国立大学に行けるのかという話になる。

 もともと農学部志望だった俺は、他に農学部がある国立大学を近くから探した。

 しかし、近くにある国立大学の農学部は少し偏差値が低い。

 せっかく一年間勉強したのに、半年間の勉強で受かるようなところに行くのは勿体ない。

 そう考えた俺は、D判定だった近くの薬学部に行くことにした。


 正直に言って、薬学部なんて考えたこともないし、微塵も興味はない。

 しかも、志望する薬学部の学科も、薬剤師になれない四年制の学科なのだ。

 行ける大学が少ないからと言って、適当にもほどがあるだろ。


 

 このように行き当たりばったりの俺。

 しかし、この決断が俺の人生を色づけていくとはまだ思ってもいなかった……。

 車いす美少女と仲良くなることも。

 モデルの親友と一線を越えそうになることも。

 元カノと再会して、ヤンデレに成長していることも。

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