不幸な少女と幸福な少女

@SO3H

不幸な少女と幸福な少女

昔々あるところに、不幸な少女と幸福な少女がおりました。不幸な少女には人の心が聞こえる呪いが、幸福な少女には必要な時以外人の声が聞こえなくなる魔法がかけられていました。

2人に聞こえている世界は違います。不幸な少女には多くの皮肉や怨恨が聞こえ、彼女を蝕む人たちが寄ってきます。幸福な少女には愛と称賛だけが聞こえ、彼女にとって愛おしい人で溢れています。同じ場所にいても聞こえる世界は違います。けれどどちらも彼女たちにとって真実でした。


不幸な少女は幸福な少女のことが好きでした。でも妬ましくも思っています。不幸な少女には幸福な少女はたくましく映ります。きっと特別に努力したから幸福なんだと思っています。それに憧れはすれども、自分には無理だという声が聞こえます。

幸福な少女は不幸な少女のことが好きでした。幸福な少女には不幸な少女の傷が見えていません。だから不幸な少女からそれを見せられて初めて、その背負ったものに気が付きました。きっと彼女は特別に努力してきたのだろう、と思いました。


幸福な少女は言いました。

「私が貴女の呪いを解いてみせるわ」

不幸な少女は返します。

「無理だよ。どうせ解けっこないよ」

不幸な少女は驚きました。幸福な少女がにっこり笑っていたからです。

「その時は一緒に呪われましょう」

そう言って幸福な少女は不幸な少女の手を取りました。

こうして幸福な少女と不幸な少女は、**な二人の少女になりましたとさ。

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